古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第四章 極月改書・その二

2011年06月09日 13時55分53秒 | 古文書の初歩

極月改書 第二ページ

解読

 中之町廣小路ヨリ下地八幡宮迄焼失火元ハ

 阿弥陀寺少し上ミヨリ出ル尤両度共死人なし

 嘉永七年甲寅六月十四日夜八ツ半時ヨリ

 諸国大地震別而勢州四日市大和ノ奈良

 越前福井抔者大震ニて人家大井ニ破損致し

 怪我人死人多く有之候様子ニ相聞へ左候へ共

 当所ハ少し茂障無之故在中一統大井ニ

 悦居候

読み方

 中之町廣小路より、下地八幡宮迄焼失、火元は

 阿弥陀寺少し上ミより出る。尤も両度共死人なし。

 嘉永七年甲寅(きのえとら)六月十四日、夜八つ半時より

 諸国大地震、別けて勢州四日市、大和の奈良

 越前福井抔(など)は大震にて、人家大いに破損致し

 怪我人、死人多くこれ有り候様子に相聞こえ、さ候えども

 当所は少しも障りこれ無き故、在中一統大いに

 悦び居り候。

解説 「上ミ」・・・「上」・「下」の読み方によって、この様に送り仮名を付ける事が有ります。この場合は、ウエミではなく、「カミ」と読みます。  「両度」・・・「両」は読みにくいので、形を覚えて下さい。 「夜八つ半時」・・・午前三時。  「別而」・・・別けて、特に。前回出ました。 「勢州」・・・伊勢の国のこと。「州」の崩しは独特です。慣れるまでは読めません。「州」の上の、国名の知識が必要です。 「抔」・・・など。等と同じです。「抔」の下の字は「者」で変体仮名の「は」です。 「大井ニ」・・・このようによく当て字を使います。 「多く」・・・多も難しい字です。 「有之」・・・これあり。 「聞」・・・難読文字。 「左候へ共」・・・さそうらえども。(そうではありますが) 「茂」・・・「も」の変体仮名。 「障」・・・障り、差しつかえる事。この場合は「被害これ無く」。 「故」・・・難しい崩し字です。 「在中一統」・・・村中一同。 「悦居」・・・読みにくい字ですが、「悦び居り」です。

文意 (火事により)中之町廣小路より、下地八幡宮まで焼失、火元は、阿弥陀寺の少し上手より出火。但し二度とも死者はなかった。 嘉永七年(1854年)六月十四日、夜中の午前三時頃、諸国(外国ではなく、伊勢の国、大和の国、等日本の方々でと言う意味)大地震発生。特に伊勢(三重県鳥羽方面)、大和(奈良県)の奈良市、越前(福井県)の福井市等で大震災あり、人家多数損壊、死者負傷者が多い様子に聞こえて来たが、しかしながら当地は少しも被害無く、村中一同たいへん喜んだ。