古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第四章 極月改書・その十二

2011年06月20日 11時50分21秒 | 古文書の初歩

 

 

七ページの五行目から

解読

  扨夫ヨリ何国ともなく雷の如く鳴来り在中

   驚入候中間もなく大津浪打来り壱番の

   浪ハ左程ニ茂なく其後川口ヨリ黒嶋邊迄河原

   乃如く汐干キ切り其有様左茂春さましき(続く)

読み方

  さて、夫れより何国ともなく、雷の如く鳴り来り、在中

  驚き入り候中(うち)、間もなく大津波打ち来たり、一番の

  浪は左程にもなく、その後川口より黒嶋辺り迄河原

  の如く汐ひき切り、其の有様さもすさまじき

解説 「扨」・・・さて。 「何国」・・・「国」の崩し字は覚え易いです。 「ともなく」・・・「奈」は変体仮名の「な」。  「く」は次行の「く」と比較して、「へ」としか読めませんが、上から続けているのでしょう。 「如く」・・・難しいですが、よく出ますから覚えましょう。 「鳴」・・・この字も難読です。  「候中」・・・この「中」は「うち」と読みます。 「津浪」・・・この「津」も難しい。  「一番」・・・番は何回も出ました。  「黒嶋邊」・・・「嶋」は山扁の嶋。「邊」は「辺」の正字。 黒嶋は古座川河口の沖、海岸から約一㌔付近に浮かぶ島で、地図では九龍島と表記しています。  「能如く」・・・「能」は「の」の変体仮名。 前の日に出ました「蚊の啼く如く」と同じです。  「其有様」・・・その有り様。  「左茂」・・・「さも」。  「春さましき」・・・「春」は「す」の変体仮名です。昔は春を「す」と読んだ時期もあるようで、日本には「春原」(すのはら)と言う苗字も有ります。