七ページの五行目から
解読
扨夫ヨリ何国ともなく雷の如く鳴来り在中
驚入候中間もなく大津浪打来り壱番の
浪ハ左程ニ茂なく其後川口ヨリ黒嶋邊迄河原
乃如く汐干キ切り其有様左茂春さましき(続く)
読み方
さて、夫れより何国ともなく、雷の如く鳴り来り、在中
驚き入り候中(うち)、間もなく大津波打ち来たり、一番の
浪は左程にもなく、その後川口より黒嶋辺り迄河原
の如く汐ひき切り、其の有様さもすさまじき
解説 「扨」・・・さて。 「何国」・・・「国」の崩し字は覚え易いです。 「ともなく」・・・「奈」は変体仮名の「な」。 「く」は次行の「く」と比較して、「へ」としか読めませんが、上から続けているのでしょう。 「如く」・・・難しいですが、よく出ますから覚えましょう。 「鳴」・・・この字も難読です。 「候中」・・・この「中」は「うち」と読みます。 「津浪」・・・この「津」も難しい。 「一番」・・・番は何回も出ました。 「黒嶋邊」・・・「嶋」は山扁の嶋。「邊」は「辺」の正字。 黒嶋は古座川河口の沖、海岸から約一㌔付近に浮かぶ島で、地図では九龍島と表記しています。 「能如く」・・・「能」は「の」の変体仮名。 前の日に出ました「蚊の啼く如く」と同じです。 「其有様」・・・その有り様。 「左茂」・・・「さも」。 「春さましき」・・・「春」は「す」の変体仮名です。昔は春を「す」と読んだ時期もあるようで、日本には「春原」(すのはら)と言う苗字も有ります。