古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第四章 極月改書・その六

2011年06月13日 14時16分55秒 | 古文書の初歩

第四ページの六行目から

解読

 漂流致居翌八日ニ者舩形見へ不申夫ヨリ江戸表へ

 参り候由相聞へ其後伊豆下田浦ニ滞留致居候中

 左之津浪ニ出合右異舩之儀者破舩ニ相成人数三百

 其内六十人水死致候尤右舩ハヲラシヤゴクノ舩ニ

 御座候

読み方

 漂流致し居り、翌八日には舩形見え申さず。夫れより江戸表へ

 参り候由相聞こえ、其の後、伊豆下田浦に滞留致し居り候中(うち)

 左の津浪に出合、右異船の儀は破船に相成り、人数三百

 其の内六十人水死致し候。尤も、右船はヲラシャゴクの船に

 御座候。

解説

 (この辺を)漂流していて、翌八日には船形は見えなくなった。夫れより江戸表へ行ったと言う話が伝わって来た。その後は伊豆の下田浦へ滞留していた時に、次に述べる津波に遭い、この異国船は破壊されて乗組員三百人のうち六十人が水死した。ただし、この船は「ロシア」の船であった。   「翌八日ニ者」・・・翌八日には。   「船形」・・・形の崩しに注意。   「見へ不申」・・・見え申さず。   「江戸表」・・・表という表現はよく使いますが、ある程度の都市部で、大体、官庁のある地名に付けるようです。官庁とは、江戸の場合は幕府、和歌山表とは和歌山藩のある都市を表す。「周参見表」という表現も有ります。すさみには「代官所」が有ったからと思います。  「左の津波」・・・左記の津波とは、安政の大地震による津波の事。   「水死」・・・水の字も難しい。   「ヲラシヤゴク」・・・オラシャ国=ロシア国。   「御座候」・・・最後の「候」は「し」のようですが、こんな「候」もあります。