潮御崎神社古記録まとめ(四)、三ヶ浦申入に付き大庄屋宛神主口上
七、(以下お宮の行事の内容) 当神社昔からの行事で、正月四日「氏神の的『まと』」と言う村じゅう寄り合いのお的の儀式があります。その順序は、私(神主)が最初に的を射始め、地下『じげ』(村内)から選ばれた二人が身を清め、的を射て正月の祝いをして参りました。その日一日は、神主宅の座敷で私が上座を務め、神社の供え物や御神酒『おみき』を戴いて、お祝いを致します。四日に掛けた的をそのまま残して置き、十八日に「納めの的」と言う儀式を私一人で行いお的の行事を終了として来ました。
八、11月1日は、村内では霜月虎『しもつきとら』と言って、私、神主の家に村じゅう残らず寄り集まり、上座を務め、其の年生まれの子供たちまでお供え物やお神酒をいただきました。
九、「お湯立て」(注)は、古来からの儀式で、料金は銀十二匁と決めて「お湯上げ神事」を執り行って来ました。(注、「お湯立て」・・・神前で湧かした湯に笹の葉を浸して、お詣りする人に振りかけてお祓いをする清めの神事。)
十、昔から、御崎前の海上で漁師が海へはまった場合は、潮の流れが上り潮(東から西へ)に変わるので、漁獲も無くなるとの言い伝えがございます。この為、御崎明神で神主によるお湯立て神事を行えば、潮の流れも下り潮(西から東へ)に変わり、漁獲も上がると言う事は、皆さんよくご存知のことでございます。(注)西から東へ流れる潮とは、いわゆる黒潮本流であり、カツオ・マグロ等の回遊魚はこの黒潮に乗ってやって来るので、漁獲が上がる事になります。 (続く)