古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十八章 潮御崎神社・古記録その百五

2013年09月28日 07時09分47秒 | 古文書の初歩

潮御崎神社古記録まとめ(五)、三ヶ浦申入に付き大庄屋宛神主口上

十一、昔から三月三日は毎年潮祭りと決まっており、近所の浦々より思い思いに寄り合い、お湯上げの神事をしていましたが、その後私(神主)の先祖が言われたのは、潮祭りをしても、浦々の者が海へはまった事を隠して、お祓いのお湯上げをしない為に、潮の流れも狂い漁獲も無いとの事なので、其の寄り合いの場で相談し、ともかく担当の役の者を付けて、今後は監督させる様にと言いましたら、出雲・大嶋・串本の三浦より申し出でには、我々は近くの浦なので、その役をさせて下されば、十分監督してどこの者がはまっても捕まえて来て、お湯立てさせます。総じて潮祭り等もお世話しますので、其の代わりにこの三ヶ浦の者が海へはまっても、お祓いのお湯立ては免除して欲しいと申しますので、私の先祖は、前々からの行事を免除する事は出来ないが、万事世話をすると言う事であれば、「うけながし」(注2)と言う祓いだけにして正式なお湯上げは免除してもよいとの事なので、右三ヶ浦の者で今後御崎の面(注3)で海へはまったならば、その旨断りを言って来る様にと申し渡しましたので、現在でも其の作法は残っております。(注1)

(注1) 近世の文章は、「候間」とか「候得者」とか「候得共」等々の接続詞を多用して、一つの文章が長いものになる傾向があります。この文も実に長くて判りにくいところがありますが、慣れるしかありません。

(注2) 「うけながし」とは「お湯上げ」(お湯立て)の祓いの神事を簡略化したものか、全く省略したものか分かりませんが、文章からすると簡略化した神事と推定されます。串本町史によりますと、「見逃し」と解釈していますので、省略したものかも分かりません。

(注3) 本年7月22日付け第十ページ3行目の「御崎西」と解読した「西」は「面」が正しいのではないかと気がつき、崩し字字典で確認したところ、「面」も同じ様な崩しになりますので、この「まとめ」では「御崎面(表)」と修正させて戴きました。