馬場あき子旅の歌40(11年6月) 【夕日】『飛種』(1996年刊)P132~
参加者:N・I、鈴木良明、曽我亮子、藤本満須子、H・T、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:藤本満須子 司会とまとめ:鹿取 未放
297 晩年の浪費のごとくエーゲ海の夕日しづかに沈むまで見る
(レポート)
エーゲ海と聞けばトルコを代表する高級リゾート地、港には数多くのクルーザーが係留され、真っ白い家並みが丘の斜面にまぶしく光る。紺碧のエーゲ海の深い色合い。どこかの城塞か、丘か、どこから眺めているのか分からないが、それは問題ではない。美しいエーゲ海に夕日が沈んでいく景をじっと見つめている作者。(藤本)
(まとめ)
「沈むまで見る」のだから、かなり長い時間、見ほれていたのだろう。そしてその景は作者の心を充たし豊かな気分になったのだろう。その喜びを「晩年の浪費のごとく」と形容したのだろう。エーゲ海の夕日を讃えた文章は無数にあるだろうが、見る位置は違うがたまたま手元にある本から引用しておく。(鹿取)
私はパルテノン神殿の巨大な大理石の円柱のかげに立ち、エーゲ海にまっさかさまに落ちて行
く太陽を望見した。息づまる美しさとは、あのような美しさを言うのであろう。美しさを通り
こして、それは荘厳であり崇高でさえあった。太陽が姿を消すと同時に急速に寒さが加わって
きたが、私は身じろぎ一つしないで、残照の空と海を見比べていた。
小田実『何でも見てやろう』
参加者:N・I、鈴木良明、曽我亮子、藤本満須子、H・T、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:藤本満須子 司会とまとめ:鹿取 未放
297 晩年の浪費のごとくエーゲ海の夕日しづかに沈むまで見る
(レポート)
エーゲ海と聞けばトルコを代表する高級リゾート地、港には数多くのクルーザーが係留され、真っ白い家並みが丘の斜面にまぶしく光る。紺碧のエーゲ海の深い色合い。どこかの城塞か、丘か、どこから眺めているのか分からないが、それは問題ではない。美しいエーゲ海に夕日が沈んでいく景をじっと見つめている作者。(藤本)
(まとめ)
「沈むまで見る」のだから、かなり長い時間、見ほれていたのだろう。そしてその景は作者の心を充たし豊かな気分になったのだろう。その喜びを「晩年の浪費のごとく」と形容したのだろう。エーゲ海の夕日を讃えた文章は無数にあるだろうが、見る位置は違うがたまたま手元にある本から引用しておく。(鹿取)
私はパルテノン神殿の巨大な大理石の円柱のかげに立ち、エーゲ海にまっさかさまに落ちて行
く太陽を望見した。息づまる美しさとは、あのような美しさを言うのであろう。美しさを通り
こして、それは荘厳であり崇高でさえあった。太陽が姿を消すと同時に急速に寒さが加わって
きたが、私は身じろぎ一つしないで、残照の空と海を見比べていた。
小田実『何でも見てやろう』