かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  70

2020-09-28 18:48:38 | 短歌の鑑賞
     ブログ版 清見糺の歌 8(修二会)   鎌倉なぎさの会


70 修二会創始者実忠和尚(かしょう)は謎の人にしてつくづく戦略家なり
            「かりん」95年7月号

 修二会は七五二年(天平勝宝四年)、二月堂開祖実忠和尚(かしょう)によって創始されたと伝えられている。しかし実忠の出自は分からず、当時二〇代であった実忠がどうしてそういう大きな行事を主催できたのか、さまざまな謎があるらしい。二〇代というのは、後年六〇年間修二会を執り行ってきたという本人の回顧録から推量してのことらしい。ちなみに和尚を「かしょう」と呼ぶのは天台宗の呼称である。
 さて、この実忠和尚、修二会五日目に即身成仏したと伝えられていて、今ではこの日に実忠忌が執り行われているそうだ。もっとも過去帳の声明と同じ日で、どこまでが声明でどこまでが実忠忌の法要か、素人には定かに分からないらしい。
 この歌、実忠が謎の人だというのは、どの修二会の説明を見ても書かれていることで作者の独創ではない。つくづく以下が作者の感慨である。ともかく戦略がなかったら二〇代でこういう大きな行事の主催を行うことは無理だろう。この行事は以後一二五〇年以上も続いているのである。その戦略の数々はどういうものだったのか。作者はおそらく実忠のような戦略が自分には不足していると思っているのに違いない。(鹿取)
               

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