かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 29

2023-04-18 17:55:56 | 短歌の鑑賞
    2023年度版 渡辺松男研究4【地下に還せり】
      (2013年4月実施)
      『寒気氾濫』(1997年)12~
       参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、鹿取未放
       司会と記録:鹿取 未放(再構成版)


29 榛の木に花咲き春はきたるらし木に向かい吾(あ)はすこしく吃る

     (当日意見)
★榛の木、花、春とハ音の頭韻が明るい気分を醸し出している。結
 句が普通の歌の着地から逸れていて魅力的。「吃る」で榛の木に
 向かってたじたじとなりながら嬉しがっている気分がよく出てい
 る。(鹿取)
★木に花咲きの歌を思い出した。(鈴木)
★前田夕暮の「木に花咲き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠く
 もあるかな」ですよね。私もあの歌ういういしくて大好きですけ
 ど、夕暮は後にこの妻と離婚しているんですよね。歌った時は心
 からこう思っていたろうに、哀しいですね。松男さんのこの歌、
 樹を愛している気分が暖かく伝わって来ます。(鹿取)
★なんか恋みたいですね。(曽我)
★でも榛の木ってそんなにきれいじゃないんだよね。春早く咲くら
 しいから群馬で育った人はこの樹に花が咲くと春が来たんだって
 嬉しいんだろうねえ。(鈴木)


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