2024年度版 渡辺松男研究40(2016年7月)
『寒気氾濫』(1997年)
【明快なる樹々】P136~
参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放
332 寝てあれば虫の音だけのまっくらな闇の浮力を背中に感ず
(レポート)
真っ暗闇のなかにいると、自分を支えているベッドや床の存在も闇に溶け込み、在るのはただ暗闇だけと感じる。暗闇で冴えた聴覚に虫の音だけが届くと、この闇の構成成分は虫の音だけ、という感じがしそうだ。寝ている作者を闇の力が押し上げてくる、そんな背中の感触が伝わってくるようだ。(真帆)
(当日意見)
★自分が2階にいれば虫は2階で鳴いている気がするし、4階にいると4階で鳴いてい
る気がする。それを2階とか4階とか言わないで、虫の音のことを闇の浮力と言った
ところが素晴らしいなと思います。(慧子)
★いや、虫の音を「闇の浮力」といっているのではないですね。真帆さんが書いている
ように闇の中に虫の音だけが聞こえていて、背中で「闇の浮力」を感じている。寝て
いると全てがフラットな感じになって、何か中空に浮いているような頼りなげな感覚
を言っているのかな。それとも、もっと強力な押し上げる力なのでしょうか。(鹿取)
★自分で感じられるのは呼吸だけなんですよね。吸い込んだ時は浮力を感じて体が浮く
ような感じがする。テレビなんかでそういう映像を見ますが、たとえば吸い込むと富
士山などの景色がグーとズームになって、吐き出すと富士山が遠くなる。暗闇で寝て
いるとそういう浮力を感じますね。寝ていると視力とか働かないから、浮力とか受け
やすくなるのかなと。(鈴木)
『寒気氾濫』(1997年)
【明快なる樹々】P136~
参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放
332 寝てあれば虫の音だけのまっくらな闇の浮力を背中に感ず
(レポート)
真っ暗闇のなかにいると、自分を支えているベッドや床の存在も闇に溶け込み、在るのはただ暗闇だけと感じる。暗闇で冴えた聴覚に虫の音だけが届くと、この闇の構成成分は虫の音だけ、という感じがしそうだ。寝ている作者を闇の力が押し上げてくる、そんな背中の感触が伝わってくるようだ。(真帆)
(当日意見)
★自分が2階にいれば虫は2階で鳴いている気がするし、4階にいると4階で鳴いてい
る気がする。それを2階とか4階とか言わないで、虫の音のことを闇の浮力と言った
ところが素晴らしいなと思います。(慧子)
★いや、虫の音を「闇の浮力」といっているのではないですね。真帆さんが書いている
ように闇の中に虫の音だけが聞こえていて、背中で「闇の浮力」を感じている。寝て
いると全てがフラットな感じになって、何か中空に浮いているような頼りなげな感覚
を言っているのかな。それとも、もっと強力な押し上げる力なのでしょうか。(鹿取)
★自分で感じられるのは呼吸だけなんですよね。吸い込んだ時は浮力を感じて体が浮く
ような感じがする。テレビなんかでそういう映像を見ますが、たとえば吸い込むと富
士山などの景色がグーとズームになって、吐き出すと富士山が遠くなる。暗闇で寝て
いるとそういう浮力を感じますね。寝ていると視力とか働かないから、浮力とか受け
やすくなるのかなと。(鈴木)
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