かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の短歌鑑賞  164 165

2021-11-14 14:27:30 | 短歌の鑑賞
   ブログ版清見糺鑑賞 24       かりん鎌倉なぎさの会 

                 
164 夜神楽も天の岩戸も牧水も売られておりぬ日向道の駅
   「かりん」2001年5月号

 鉄道のない山中の道の駅、人的資源も伝統の芸能も神話も切り売りするしかない現実の矛盾。道の駅では、それらの絵はがきやちなんだ土産物が売られていたのだろうが、山深い宿に泊まって高千穂神社境内の神楽殿で夜神楽を観たり、天岩戸神社にお参りしたりしたのだった。


165 まつろわぬ人なるわれはお祓いのなれた手つきをさめて見るのみ
        「かりん」2001年5月号

 天岩戸神社では白装束の神主がお祓いをした。ほとんどの参拝者は分からぬままの人も含め神妙に頭を垂れている。しかし作者にはうさんくさい作法としか映らない。
 この歌、発想に岡井隆の影響が見られる。その頃愛読していた『禁忌と好色』の「九州反乱説その後」である。直接的には、その一連の次のような詞書によっている。
   「まつろわぬものは球磨(くま)にも蘇(そ)にも居た」


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