かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞  75

2022-05-05 11:59:59 | 短歌の鑑賞

    公園で見かけた根っこをむき出しにした木


  渡辺松男研究2の10(2018年4月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【邑】P50~
     参加者:泉真帆、K・O、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:泉 真帆    司会と記録:鹿取未放


75 逆立ちをしたまま太き樹となりぬそよぐみどりはわれのあなうら

        (レポート)
 樹木は地中にバンザイするようなかたちで根を張ってゆくが、作者は野原だろうか戸外で逆立ちをして、いま自分は木になっているという心でいるのだろう。手の先に根をぐんぐんのばし、ふといふとい樹となり、自分の足裏には木の葉がそよぐ、そんな気分を詠ったのではないか。(真帆)


         (当日発言)
★宮崎駿監督の「もののけ姫」か何かに出てくるような感じ。自分が太い樹になっちゃう。それが
 読者の自分もそうなっちゃうような体感を持てる。映像性もあって、ユーモアがあって、でも根
 源的なところを歌っている。下句が全部ひらがなで、ゆっくりと樹になっていくような感じを出
 している。(K・O)


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