かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 2の216

2019-11-07 19:05:23 | 短歌の鑑賞
   ブログ用渡辺松男研究2の28(2019年10月実施)
     Ⅳ〈水〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P138~
     参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、菅原あつ子(紙上参加)、鹿取未放
     レポーター:岡東和子    司会と記録:鹿取未放

216 空かぎりなければ青きなみだおち水一滴のなかに人体

      (レポート)
 かぎりなく広い空から青い涙がおちて、その一滴のなかに人体がある。限りなく広く青い空から、雨がポツンと落ちたのだろう。その一滴の雨に写つてしまうほど、人間の体はちつぽけである。 (岡東)


     (紙上参加意見)
 人体は、ほぼ水でできている。その人体が限りなく広く青い空のこぼす涙の一滴なのだ。ちっぽけな人間をいとおしむ美しい歌。(菅原)


          (当日発言)
★水に人間が映ったんだろう。存在と繋がっているんだという感じ。(真帆)
★宇宙観のようなもの。青き、一滴がよい。「青きなみだおち」って虚だけど、その虚が
 よい。きれいだし、宇宙がふぁーとあってかすかに人間が生きている。きれいな喩。
 「なかに」も効いている。この言葉は普通は出てこない。(A・K)


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