ブログ版 清見糺の短歌鑑賞
鎌倉なぎさの会 鹿取 未放
221 高見順、江國滋とすさまじき先達はあり ありがたきかな
2003年5月作
「すさまじき」と「ありがたき」が絶妙である。高見順も江國滋も食道癌で亡くなった作家である。そして共に壮絶な闘病日誌を遺している。まさに「すさまじき先達」だった。それを作者は「ありがたき」という。この「ありがたき」はもとの字義どおりのめったにない「有り難き」であり、皮肉と屈折をこめたいわくいいがたい感謝でもあるのだろう。
ちなみに、江國滋句集『癌め』の巻頭一句は次のとおり。詞書きを含めて引用する。
矢吹外科病院にて、早朝、小松崎修先生の内視鏡検査
その場で食道癌と宣告される。先生の第一声「高見順です」
寒の明け告知の一語「高見順」 平成9年2月6日
なかなか文学的な医者である。江國は句会をもっていたので、その仲間の医師かもしれない。最後の文士といわれた高見順が「癌が怖くて文士が務まりますか」と啖呵を切ったように、江國にはそれを見習う覚悟があり、高見順を詠み込んだ句を意識的に巻頭に置いたのだろう。それ故、この歌で高見・江國と並べたとき、清見糺にも歌人として同じ覚悟があったとみるべきである。
鎌倉なぎさの会 鹿取 未放
221 高見順、江國滋とすさまじき先達はあり ありがたきかな
2003年5月作
「すさまじき」と「ありがたき」が絶妙である。高見順も江國滋も食道癌で亡くなった作家である。そして共に壮絶な闘病日誌を遺している。まさに「すさまじき先達」だった。それを作者は「ありがたき」という。この「ありがたき」はもとの字義どおりのめったにない「有り難き」であり、皮肉と屈折をこめたいわくいいがたい感謝でもあるのだろう。
ちなみに、江國滋句集『癌め』の巻頭一句は次のとおり。詞書きを含めて引用する。
矢吹外科病院にて、早朝、小松崎修先生の内視鏡検査
その場で食道癌と宣告される。先生の第一声「高見順です」
寒の明け告知の一語「高見順」 平成9年2月6日
なかなか文学的な医者である。江國は句会をもっていたので、その仲間の医師かもしれない。最後の文士といわれた高見順が「癌が怖くて文士が務まりますか」と啖呵を切ったように、江國にはそれを見習う覚悟があり、高見順を詠み込んだ句を意識的に巻頭に置いたのだろう。それ故、この歌で高見・江國と並べたとき、清見糺にも歌人として同じ覚悟があったとみるべきである。
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