マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

猿之助奮闘連続公演を観る

2014年10月31日 | 映画・美術・芝居・落語

 市川猿之助が10月は新橋演舞場で、11月は明治座でと、2ヶ月連続の文字通り、奮闘の公演を勤めている。
 幸運にも、私たちは、10月の新橋演舞場での、昼の部
・夜の部両方のチケットを頂き、奮闘ぶりを堪能する事が出来た。
 夜の部を観たのは10月13日(月・体育の日)。台風がまさに、関東地方を直撃しようとする夜。家を出るときには風雨はそれほど強くなかった。交通機関は地下鉄利用だから、電車が止まるようなことはよもやあるまと思いつつも、万一、帰りの時間帯に交通機関がストップした場合には、タクシーで帰宅しようと腹を括っての出発だった。それだけ、猿之助のスーパー歌舞伎を観たかったのだ。不思議にも台風前夜なのに空席は少ない。それほどに猿之助人気が高いのだ。

 夜の部は通し狂言「獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)」のみの一本立て。お家騒動と仇討が絡み合う展開なのだが、筋はあって無きに等しい展開。私には理解不可能なほどの速い流れで物語は進行するが、この芝居、筋の理解が不十分でも、猿之助の演技で、十分過ぎるほど楽しめた。水中での、ずぶ濡れになっての立ち回り、宙乗り、化け猫の怪異、早替わり等々。
 何せ十八役の早替わりが凄い。人物入れ替わりの手品を見ているような場面もあった。最大の見せ場は宙乗り。昼の部「金幣猿島郡(きんのざいさるしまだいり)」の宙乗りでは、天井から金の短冊が降ってきた
。私たちはこれを手掴みして、記念にした。
 歌舞伎は、観客を楽しませようと数々の工夫を凝らしてしてきたことだろう。その集大成が、猿之助のスーパー歌舞伎だと思う。(写真:左は夜の部の猿之助。右は昼の部の清姫と忠文の合体の”双面”)


     (宙乗りの猿之助)


 幕間に隣席
の老婦人と話した。小諸から新幹線利用でやって来たのだ、「先代猿之助を贔屓にしていました、夫が存命の頃は、娘の所に泊まって夜・昼の部を見てから、特急”あさま”で帰ったものです」と語られた。三代目猿之助が確立した復活通し狂言を懐かしむだけでなく、果敢にその役に挑む、当代猿之助の大立ち回りに心躍らせる老婦人。80代とのことだった。脱帽!
 東京新聞演劇評蘭は「十八役を鮮やかに演じ分けるのは、歌舞伎の役柄の基本が身についているからだ、宙乗りや立廻りも力が抜けて素晴らしい」と絶賛した。機会があれば、猿之助の舞台、更に見続けたい。帰路、奇跡的にも雨は止んでいた。