マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

『うつ病 九段』(著:先崎学 出版:文藝春秋)を読む(その2)

2018年12月26日 | 読書

 幸いなことに先崎九段の兄は優秀な精神科医だった。結局は兄の忠告に従い慶応大学病院精神科に1ヶ月の入院。兄の忠告の一つに「うつにとって散歩は薬のようなものなんだ」があり、入院中によく外出し、信濃町駅付近や外苑あたりまでも出掛けられるようになった。
 退院後は弟子や研究会仲間との練習対局。この対局は楽しい面が多く、対局内容から自分の回復の程度が分かったそうな。兄への「自分の病は本当に治るのか」と問うメールには毎回「必ず直ります」との短い返信メール。この言葉が心強く胸をうち、携帯を何度も見たそうである。心の拠り所が必要なことが良く分かる。(写真:先崎九段。Wikipediaより)
 
将棋連盟も彼を休場扱いとし、2017年度は9月から翌年3月まで全休。この間に将棋界では”藤井ブーム”が起こり、将棋界は暗から明へと劇的な変化を遂げいく。その事を知って彼は悔しかったそうだ。将棋界を盛り上げようとあらゆる努力を積み重ねて来たのに殆ど報われず、自分が病んでいて蚊帳の外にいる間に、”将棋界は一発逆転”の事態が起こっていることを無念に思った。2018年に復帰して7月に漸く一勝をあげた。発病からほぼ1年が経過していた。
 
後から振り返ってうつ病となった原因として超多忙をあげている。「将棋ソフト使用疑惑事件」では、毎日のように佐藤会長と深刻な話し合い。漫画『三月のライオン』の映画化では多くの仕事を引き受ける、などが重なったことを挙げている。
 兄のアドバイスもあって本書を著した。
 
彼が知ったことは「うつ病は脳の病」。精神科医兄の言葉に「うつ病は必ず治る。自然治癒力を誰で持っている」。この言葉をしっかり記憶しておこうと思った。

 今日の一葉:ご近所の圓通寺にはまだ色鮮やかな紅葉が残っていた。