あのうの幸せトンボ

日々の何気ない出来ごとを、思いつくままに……。

幸せな溜息

2021-06-09 23:54:45 | 日記

先月は投稿出来ませんでしたので、先月書いた迷文を載せることにします。

読んでおくれやす~。

幸せな溜息

十年ほど前になるが、和子が温泉へ行った時のことである。季節は秋の終わり頃だった。

その頃、和子と智子は温泉にハマっていた。二人が通っている週一回のエアロビクス教室が終わると、一台の車に乗り込み、あちらこちらの温泉に行ってエアロビでかいた汗を流し、ランチも楽しんでいた。

智子とはエアロビ教室で知り合ったのだった。聞けば、同じ町内で年齢も同じだった。目立たない性格の智子と、何事にも行動的な和子は、正反対だったが、凸凹コンビでよく気が合った。

その日は車で三十分の所にある〝猪の倉温泉〟へ行こうということになり、二人揃って来たのだった。

折角、温泉に来たのだから露天風呂へも入ろうと、智子を誘ったが、寒いから行かないと言うので、和子だけで入ることにした。

内風呂で十分体を温めて、少し下にある露天風呂への坂道を、滑らないようにそろそろと歩いて行った。

露天風呂では、白髪交じりの八十歳くらいの人を囲んで何やら姦しい。和子が野次馬根性でそっと近づいて耳をそばだてると、そのおばあさんが得意気に喋っている。

「好きでもなかったんやけど、旦那が死んだらエライ痩せましてな。これではアカンと思うてあちこちの銭湯の炭酸泉へ通いましたんや。そしたら、えらい体の調子がようなってきてな。それからは、カネは生きとるうちに使わなアカンと思いましてな、あっちやこっちへ行ってますんや。それでな、今日はここがええと聞いたもんで、来ましたんや。……今日は入れ歯を家へ忘れてしもて……」と、歯のない口でふごふごと喋っている。 

おばあさんに相槌を打っているのは六十代から七十代の四人組。

「どちらから来られましたん?」の和子の問いに「猪の倉温泉へ行こ! と朝から電車に乗って大阪から来ましたんや」といかにも〝大阪のおばちゃん〟らしき人が答える。

 和子もしばらく大阪組と肩を並べて、フムフムと、おばあさんの話を聞いていたが、智子が待っていることを思い出し、お先に湯からあがることにした。

風呂上りに智子と〝猪の倉定食〟を食べながら、露天風呂のおばあさんの話をした。そして、あの大阪組はいつまでおばあさんと、お風呂談義をしていたのだろうかと、笑いあった。

 

もう、十年も前のことであるから、くだんのおばあちゃんは亡くなっているだろうな、と和子は思いながらも、あの時の光景が目前に浮かんでくるのだった。

果たしてあのおばあちゃんは、心おきなくお金を使えたのだろうか? 

自分に授かった残りの寿命は分からないし〝ピンコロ〟で逝ける保障はない。  

という事実に財産の半分も使えなかったのではないだろうかーと想像してしまう。

 

例年なら国内外の旅行に一緒に出かけていた和子と智子は、コロナ禍でどこへも行けなくなってしまった。

和子は定期的に振り込まれる年金によって残高が増えていく通帳を見ながら、あのおばあさんの「カネは生きとるうちに使わなアカン」との言葉を思い出して幸せな溜息をつくのだった。

足元の座布団には、高齢猫のドラミが、薄目を開けて和子を見ていた。


チビちゃん受難

2021-04-11 21:54:05 | 日記

ブログを休んで1ヶ月余り経ちました。

休んでいるうちに色々なことがあり、中でも雄猫チビの件が私にとって一番の大事件。

2月にミケが家出をして帰らず、やっと帰ってヤレヤレと安堵していたら、今度は3月にチビが家出をして4日ぶりに帰って来て安堵したのも束の間、左の後ろ足を引きずっているのです。

帰ってきたときは、痛くて餌も食べない状態。すぐに動物病院で診てもらうと「レントゲン検査をしたところ骨が外れていて靱帯も切れているようだ」とのこと。

今の時期は雄猫の発情期で、我が家の近くも見慣れない雄猫が来て夜など鳴いているが、うちのチビがその猫に追いかけられて逃げるときに靱帯が切れたのかも?と医者がいう。

チビは去勢手術がしてあるので、ケンカには勝てっこないので逃げようとして何かに足が絡まったのか……。

痛くて歩けなくてどこかで寝ていてやっとの思いで帰ってきたのかと思うと、不憫でならない。「とりあえず骨は嵌めましたので10日後に来てください」と言われて帰ってきたが、

10日経ってもびっこをひいている。再度、動物病院へ行っても少し診ただけで、「様子を見ますので10日後に来てください」との診断。

我が家のドラちゃんも以前、野良猫に追いかけられて後ろ足の骨が外れ、嵌めてもらっても外れて今はびっこを引いているので、我が経験からこれはドラちゃんと同じケースやなと判断。

外れたところに筋肉をつけて少しでも足を丈夫にしなければー、と散歩をさせています。

元気なときは遠くまで出かけてなかなか帰って来なかったのが、今は5時の時報と同じころに帰ってくるので、よかった点もあるみたい。

そんなこんなで猫に振り回された3月でした。

 

金魚をアライグマに全部食べられて落ち込んでいましたが、また、飼うことにしました。

コメット2匹、琉金2匹、和金2匹の計6匹。今度は動物に開けられないよう丈夫な蓋を置いて飼っています。

全員が健やかに育つことを期待して飼っています。

楽しみが増えました(^_-)-☆

 

 

 


たかが猫、されど猫……

2021-02-27 22:27:08 | 日記

我が家の3匹の猫の内、4歳の三毛猫「ミケちゃん」が、23日から25日の昼過ぎまで帰って来ず、痩せる思いで大変心配しました。

 

いつも、昼過ぎに「遊んでおいで」「早く帰って来るんやに」と言い聞かせて外へ出してやると、5時頃には決まってミケのお兄ちゃんの「チビちゃん」と前後して帰ってくるのに

その日に限って暗くなっても帰ってきません。チビはちゃんと帰ってきているのにー。

まだ、田んぼで遊んでいるのかと「ミケー、ミケー」と呼びながら農道を歩いても応答なし。

以前、雨降りの日に帰ってこなくてイチゴを栽培している家へ、もしや害獣捕獲用のオリに掛かっているのではないかと聞きに行き、見てもらったら雨にずぶ濡れになってオリに入っていたことがあったので、また入っているのかも? と、聞きに行っても「イチゴの収穫が済んだので、オリはかけてない」とのこと。

そうすると、どこかの小屋へ入り込んで出られなくなったか? それか、何かで動けなくなったに違いない……と心配は増すばかり。

いなくなったその日から、暖かかった陽気が一変して寒くなり、夜でも風の音がビュービューと聞こえます。

もしかしたら、凍えて死んでいるのではないかと想像して、心配は増すばかり。

いつものように高齢猫のドラちゃんと一緒に寝ながらも、心はミケの事ばかり。「ミケちゃんは何処へ行ってしまったんやろなぁ」とドラちゃんに言っても私の手枕でゴロゴロ喉を鳴らしているのみ。

朝、犬のトトの散歩に行って猫好きの友人に会えば、ミケが帰って来ないことを言い、見かけたら連絡をもらうように頼みながらも、「もう、帰ってこないかも……」と半ば諦めかけていた。

25日、出先にいる私のスマホに旦那から「ミケが帰ってきた」との連絡がー。急いで帰ってみると、ミケがいるではありませんか。

急いで抱き上げてケガをしてはいないかと調べ、ケガをしてないようなので安心したのでした。安心感とヤレヤレ感で心が軽くなったのを実感いたしました。

たかが猫、されど猫ーなんです。

3日間、何も食べていなかったと見えて、お腹が凹んでいるので早速餌をやり、ガツガツと食べているミケを見ながら、どんな経験をしたのであろうと聞きたくなりました。

「ミケちゃん、何処へ行ってたん?」と聞いても「実はさー」と答えるはずはなく、猫言葉の分からないもどかしさを思ったのでした。

もし、猫と会話が出来たら毎日、どんなに面白いだろうなーと想像したのでした。

 

誰か猫語を教えておくれへんやろか~~~ (^_-)-☆

 

 

 

 


読書

2021-02-01 19:45:21 | 日記

最近、読書に凝っている。

もともと、読書は好きだったが今まで「ドライアイ」であまり、読書することが出来なかった。

 

ずーと昔の学生時代は、クラブ活動は図書部専門で休みの日は朝から1日中本を読んでいたものだ。

結婚してからは、会社や家の仕事などでなかなか読書が出来ず、それが、今、思い切り読書ができる環境になったのに、少し本を読むと目がコロコロとして痛く「ドライアイ」と診断されて

長時間の読書を諦めていた。

しかし、テレビで温湿布がいいと聞き、毎晩寝る前に目へ温湿布を始めてから、読書しても目がコロコロしたり痛くならなくなり、これ幸いと、

今まであまり、読まなかった「山本周五郎」に今、はまり、図書館で借りては熟読している。

文体のうまさに感心しながら、私の文章に少しでも真似できないかと思うが、そう簡単にはいきまへん。

迫りくる課題文の提出期限に急かされながらも、少しもエンジンのかからない自分に、毎度のことながら呆れています。

今週中には、何としても完成したいもの、と思っています。

夢の中では書いているんだけどなぁ(>_<)

 

 


謙虚

2021-01-19 10:53:14 | 日記

「他県に住む友から、その人のエッセイ集を送ってもらったの。あなたも読む?」と友人から1冊の本を貸してもらった。

夫の転勤について各地へ行った事など、日常に感じたことなどが書いてある。

早速、読んで最後のページの著者略歴を見れば、関西の某私大出身と書いてある。「ふむふむ」と下へ目を移せば

本の価格が○○円と印刷されていた。「えぇー」とびっくりした。

書店で売るつもりなのであろうか?。果たして、この内容で出版代を回収できるだけの自信があるのであろうかーと思った。

自費出版なら、「非売品」と書く方がどれだけこの本の値打ちが上がるであろうかと思った次第。

自分の書いた文章を読んでいただくー、という気持ちならどれだけお金がかかっても、金額は書くべきだはないと思った。

また、ある人から「句集」を貰ったことがある。その本も今回と同じように自分の学歴賞歴などが書き連ねてあって、○○円と印刷されていた。立派な句集ではあったが、最後のページを見て幻滅したのを覚えている。

やはり、人間「謙虚」が大切だと思いましたの。