拾ってきた端にはまるで…ここで喰っておかなければ二度と獲物にありつけない…とでも思っているかのように大量の飯を喰らい…喰っても喰っても満たされぬかのようにガツガツしていたラック…。
鼻黒の小屋を住処として一週間もすると…食…が保証されたことを感じとったのか…それほど貪欲には食べなくなった…。
浮き出ていた腰骨も柔らかい脂肪に包まれ、眼と耳ばかりだった顔もビーグル種の陽気な可愛らしさを取り戻した…。
呼び名もすぐに覚え…誰が家族で誰が他人か…という区別もすんなり把握した…。
ラックの持ち前の性格もあるのかもしれないが…最初からここに住んでいたかのように…不思議なほど自然に家族となった…。
暖かい日には小屋から毛布を引っ張り出して天日に干し、その上で自分もお日さまの光を浴びながら心地よさげに昼寝していた…。
犬もよく夢を見るらしく…鼻黒も眠りながらポンッポンッポンッポンッ…などと鼻や喉を鳴らしていたが…ラックの場合は…フクッフクッフクッ…。
いったい…どんな夢を見ていたんだろうなぁ…。
鎖には繋がれていたものの…届く限りの場所へ移動のたびに毛布を運んではその上で眠っていた…。
鼻黒と大きく異なっていたのは…ラックの運動神経の良さ…。
猛烈なスピードで森の藪の中を駆けても何処にもぶつかることなく…目標も見失わない…。
鼻黒なら…どこかでこけているところ…。
さすがに猟犬種…。
藪の中から覗くピンと立った特徴ある尻尾…これもビーグル種特有のポーズ…。
尻尾の振り方も大胆…。
柴系の巻き尾だった鼻黒は左右にめいっぱい振っていたが…真っ直ぐな尾のラックの場合はブルンブルングルグル回す…。
まるでスクリューのようだ…。
但し…ラックの尻尾振りは喜んでいる時だけじゃないので…その辺りは注意が必要だった…。
自分の知らない他人が家の中から覗くと…怒って延々吼えまくるのだが…この時にも同じように派手に尻尾を振りまくるのだ…。
たとえ…その人がどんなに犬好きであっても…油断して近付いてはならない…。
ラックの牙は鋭いのだ…。
春になって陽気が良くなると…ラックは小屋の外に居ることが多くなった…。
狭い小屋の中は犬にとっては退屈な場所…。
暖かくなれば外の方が気持ちがいい…。
で…何処がラックの気に入ったか…というと…。
或る日…何気なく外を見たら…こちらを見ているラック…と目が合った…。
えっ…と思って見直すと…ラックは小屋の上に乗ってこちらを見ていた…。
自分の背丈より高い小屋の屋根…。
ラックにはそんなところくらい造作なく飛び乗るだけの脚力がある…ということが判明した…。
しかも…。
自分で毛布を小屋の屋根に干し…その上に飛び乗っていた…。

まぁ…自分で蒲団を干してくれるわけだから…世話がないといえばないのだが…。
面白いことに…ラックは自分で毛布を取り込み…小屋の中へ運び…眠りやすいように寝床を整えて眠った…。
それまで…犬は小屋から毛布を引っ張り出してあちこち運べても…小屋の中にしまうことはできない…と思っていたdoveたちの考えをあっさり覆し…ちゃんと自分で始末できることを証明したのだった…。
何だか…やることが人間臭い…犬である…。
次回へ…。

この物語を読んでくださる方が…捨て犬や捨てネコについて少しだけ…興味を持ってくだされば幸いです…。
この物語を書く決心をさせてくれた記事です。
http://blog.goo.ne.jp/wildboar_36/e/a86629d45b6e4487bf2eecdc41ab92b0

鼻黒の小屋を住処として一週間もすると…食…が保証されたことを感じとったのか…それほど貪欲には食べなくなった…。

浮き出ていた腰骨も柔らかい脂肪に包まれ、眼と耳ばかりだった顔もビーグル種の陽気な可愛らしさを取り戻した…。
呼び名もすぐに覚え…誰が家族で誰が他人か…という区別もすんなり把握した…。
ラックの持ち前の性格もあるのかもしれないが…最初からここに住んでいたかのように…不思議なほど自然に家族となった…。

暖かい日には小屋から毛布を引っ張り出して天日に干し、その上で自分もお日さまの光を浴びながら心地よさげに昼寝していた…。
犬もよく夢を見るらしく…鼻黒も眠りながらポンッポンッポンッポンッ…などと鼻や喉を鳴らしていたが…ラックの場合は…フクッフクッフクッ…。

いったい…どんな夢を見ていたんだろうなぁ…。

鎖には繋がれていたものの…届く限りの場所へ移動のたびに毛布を運んではその上で眠っていた…。

鼻黒と大きく異なっていたのは…ラックの運動神経の良さ…。
猛烈なスピードで森の藪の中を駆けても何処にもぶつかることなく…目標も見失わない…。
鼻黒なら…どこかでこけているところ…。
さすがに猟犬種…。
藪の中から覗くピンと立った特徴ある尻尾…これもビーグル種特有のポーズ…。

尻尾の振り方も大胆…。
柴系の巻き尾だった鼻黒は左右にめいっぱい振っていたが…真っ直ぐな尾のラックの場合はブルンブルングルグル回す…。
まるでスクリューのようだ…。

但し…ラックの尻尾振りは喜んでいる時だけじゃないので…その辺りは注意が必要だった…。

自分の知らない他人が家の中から覗くと…怒って延々吼えまくるのだが…この時にも同じように派手に尻尾を振りまくるのだ…。
たとえ…その人がどんなに犬好きであっても…油断して近付いてはならない…。
ラックの牙は鋭いのだ…。

春になって陽気が良くなると…ラックは小屋の外に居ることが多くなった…。
狭い小屋の中は犬にとっては退屈な場所…。
暖かくなれば外の方が気持ちがいい…。

で…何処がラックの気に入ったか…というと…。

或る日…何気なく外を見たら…こちらを見ているラック…と目が合った…。

えっ…と思って見直すと…ラックは小屋の上に乗ってこちらを見ていた…。
自分の背丈より高い小屋の屋根…。
ラックにはそんなところくらい造作なく飛び乗るだけの脚力がある…ということが判明した…。

しかも…。

自分で毛布を小屋の屋根に干し…その上に飛び乗っていた…。

まぁ…自分で蒲団を干してくれるわけだから…世話がないといえばないのだが…。
面白いことに…ラックは自分で毛布を取り込み…小屋の中へ運び…眠りやすいように寝床を整えて眠った…。

それまで…犬は小屋から毛布を引っ張り出してあちこち運べても…小屋の中にしまうことはできない…と思っていたdoveたちの考えをあっさり覆し…ちゃんと自分で始末できることを証明したのだった…。
何だか…やることが人間臭い…犬である…。

次回へ…。

この物語を読んでくださる方が…捨て犬や捨てネコについて少しだけ…興味を持ってくだされば幸いです…。
この物語を書く決心をさせてくれた記事です。
http://blog.goo.ne.jp/wildboar_36/e/a86629d45b6e4487bf2eecdc41ab92b0