Days of Dragonflies & Moths

トンボや蛾に関わる記事中心。
当ブログの写真、文章の無断使用禁止。
写真集「関東甲信越のトンボ2010plus」

百蛾夜行 第拾八巻 ウスタビガの夜

2009年11月28日 | 


自分が蛾に本格的にはまったのは、2003年のことである。
その顛末は、こちらにある。

http://matsz.la.coocan.jp/tyouga/tyou/yasan.html

野蚕へのあこがれからすべては始まった。




自分のセカンドソロアルバムとなった 「MIST」(2003)
最初は、シンジュサンを使うつもりだったが、その姿に接することは出来ず、
オオミズアオを使おうと言うことになった。しかし、ろくな写真が撮れず、
webのトンボ仲間から画像を拝借してジャケットに使った。

そんな流れの中で、野蚕を求めてはるばる秩父の山を彷徨うようになり、その内に
どくがのこなにあたって、蛾飢道に墜ちたのであった。
いや、最初はどう転んでも、野蚕以外の蛾には目もくれないつもりだった。
冗談でその内に中型、小型の蛾にはまったりして・・・と言っていたが、
本当にはまってしまった!

以来、埼玉の山里を夜な夜な巡り、1500種近い蛾の画像(県外種65~70を加えた
約1550が現在の数)を収集して今日に至っている。

話は野蚕に戻るが、自分の蛾好きの原点は、野蚕にあった。
子供の頃、開張マニアだったこともあり、大きなヤママユの類は元々大好きだった。
ヤママユは最も贔屓の蛾であったが、シンジュサン、ウスタビガ、クロウスタビガなどには
子供の頃出会ったことが無く、心のどこかではあこがれの存在だった。

その中の一つ、ウスタビガは、あこがれの野蚕の中では、最も早くに出会えた蛾である。
その顛末は上記に示したURLにあるとおり。この2003年の出会いにはじまり、10月11月に
どうしても時間のとれなかった2007年を除き、毎年ウスタビガには確実に埼玉で出会っている。



ところで、最近、webで埼玉においてはウスタビガは稀であるという話を目にした。
今までウスタビ狙いで出かけて外れたことがない自分の感覚としては、
「そんなことはないだろう・・・」という感じだった。

野蚕は年により増減が激しく、ここ二三年は特に出現期も異常になっている。
例えば、蛾を始めた当初には腐るほど見られたクスサンが、ここ数年激減している。
ヤママユの出現期が従来7月末から9月だったのが、9月から10月を中心にシフトし、
クスサンに代わってヒメヤママユが爆発的に増え、出現期も9月ころまで早まった。
ウスタビに関しては、たまたま自分が運が良かったのかもしれないが、実は県外では
ウスタビには会ったことがない。今まで見た何十頭かのウスタビはすべて埼玉で見た
ものであった。自分の感覚としては、埼玉でまだ会えていないクロウスタビガはレア、
ヤママユ、クスサン、オオミズアオはかなり普通だが、クスサンは激減、ヤママユも
相当減っている。(外灯や自販機の光波長の変化の影響もあるだろう)シンジュサン、
エゾヨツメ、ウスタビガは稀ではないが、出現期が短いために、会う機会が限られる
という感じだ。(シンジュサンは、6月から8月に断続的に出るようだが、自分のタイ
ミングとしては、6月半ば過ぎと7月末である)オナガミズアオにも言及しておくと、
2006年の夏の雨の夜、ふと思い立って、訪れた近場のコンビニで偶然の出会いをした
のがただ一度の出会いである。

ウスタビガが実のところ埼玉においてレアなのかどうか?は、実はそんなに
重要なことではない。

(一応、埼玉昆虫談話会では最近目にしなくなった身近な昆虫の一つとして
ウスタビガを取り上げて情報を募集している。他にアサマイチモンジ、イボ
タガなどがあるが、昔より少なくなったけど、ちょっとがんばれば見つかる
ようなステータスの種類であり、レアな種というわけではない)

でも、今年も一応目にしておかないと何となく気が済まない感じになった(笑)

そんなこんなで、既に二週間ほど前、近場の丘陵地を偵察に出かけたが、ウスタ
ビガよりも若干早めにでるオンタイムの種類が見られただけで空振り。
それを受け、そろそろ出ている頃か?と言うことで、11月末近くになって偵察に
出かけることとなった。

二週間ほど前は、夕方までは暖かかったが、風が急に強く吹き出し、夜半には結
構寒くなった。しかし、今回は比較的暖かく、観察するにはまあまあの夜となった。

3年前の同時期、周辺のコンビニでは数頭のウスタビガが見られたのだが、今回はな
にやら工事をしているらしく、蛾の姿は皆無であった。
そこで、同じく三年前に1♀を確認している駅舎へと向かう。
この周辺は、数こそ少ないが、面白い普通種が代わる代わる現れ、ここに通うことで、
県内確認種を確実に増やしていった場所である。ここで得られた個人的初物としては、
オオトモエ、カレハガと言ったタレント蛾をはじめ、他では見ていないシロミャクオ
エダシャク、クサビヨトウ、クリイロアツバ、マルシラホシアツバ、ヒメボクトウな
どが印象に残っている。
春にイボタガとエゾヨツメを同時に見ることが出来たのもここである。



最初に目に付いたのは、カバエダシャク。蛾を探しに行ってもこれしかいなくてガッカリ
という話を良くきく気の毒な存在である。



前回予定通り姿を現したチャエダシャクは既に亡骸となって転がっていたが、
その代わりに、随分遅いクロクモエダシャクが出ていた。遠目から見たら
テンヅマナミシャクとか、この時期旬であるトガリバナミシャクにみえたの
だが・・・。



トガリキリガトリオ。見事に一頭ずつ亡骸となって転がっていた。
ウスキトガリはノコメトガリと間違えて見逃すところだった。



高いところに一頭だけ目立っていた初冬の大型ヨトウ、ホソバハガタヨトウ。

駅舎を一周した時点ではこんなもんだった。
でも、この駅舎の面白い点は、かならず二周すると良いことがあると言うこと。
だからいつもかならず二周以上している。

案の定、見逃しているのがいくつかいた。



最近では当たり前のような存在になってしまったウスモモイロアツバ。
秩父の低山でもよく見かける。



越冬前のカシワオビキリガ。



いつもだまされてしまうトビモンアツバ。セクロモンアツバだったかな?オオトビモン
の秋型の♀だと思い込んでいたので、初物のオオトビモンアツバだと思ったのだが、た
だのトビモンということで、初物ではない。

そしてやはり見つけた!



二週間前には見つけられなかったので、この二週間の間に発生し、飛来した可能性が大きい。
ウスタビガ♀の翅だ。これで、一応、今年も会えたということになる。
埼玉の低地、丘陵地では、11月20日を目安に考えると良さそうだ。2006年はある意味
当たり年だったのかもしれないし、最も蛾にのめり込んだ年であったのもあるだろう。
その翅を撮影しようとしていたら、その横からクロオビフユナミシャク?と思われる個
体が飛んだが、見失ってしまった。

今年はすっかりトンボ中心の年に戻り、蛾探索は今までで最も手薄の年になった。
その薄さを象徴するかのように、この夜出会えた内3種は、その名前に「ウス」
を冠していたのであった。

高原の蝶

2009年10月08日 | 


この夏の高原の思い出から。





ウラミスジは偶然の出会いだった。
エルタテハは炊事場に飲水にやってきた。非常に臆病な蝶で、人の姿に気づくと必要以上に逃げる。





ギンボシをはじめとした高原特産のヒョウモンは、閉翅、開翅など色々なバリエーションを撮ったが、
あまり芳しいショットは得られなかった。露出も意外と難しいものだ。
高原ではコムラサキやヒオドシチョウの姿が目立った。




高原で吸蜜している大半はクジャクチョウだった。コヒョウモンは良い感じの訪花が撮れた。



狙って出かけたが、数が少なかったスジボソヤマキ。昔、秋に山梨の山中でこれでもかと言うほど群れていたのを
思い出す。仕事中だったので、写真に撮る気など起きず、ただのヤマキもいた可能性もある。





去年37年ぶりの再会を果たしたヒメキマダラだが、高原の蝶の大半はこれとクロヒカゲとヤマキマダラと
オオチャバネセセリだった。




ふと立ち寄った場所で見かけたヒメシロチョウ。いい加減に写しても絵になる。
ウラギンだけダブってしまったが、交尾の写真が撮れたので(構図はよくないが・・・)





ベニヒカゲはちょっとだけ粘ったが、結局ろくなショットが撮れなかった。また行きたい。
ミヤマカラスも200ミリでは手に余ってしまった。




キベリも近寄れただけで満足してしまった・・・。

蝶の写真はつくづく難しい。ろくな写真が撮れてないので、また機会が在ったら色々撮影したいものだ。

10月13日より、私が音楽を担当したお芝居がスタートする。
チケットは9月中にSoldOutだそうですが、新しく席を追加したようなので、
興味のある方はどうぞ。
http://www.parco-play.com/web/play/inju/

百蛾夜行 第拾七巻 蛾羅舞氏歓待御府 アゲハモドキの夜

2009年08月13日 | 


早くも8月。
個人的休暇の取れるチャンスが訪れたが、現実はそううまくはいかないものだ。。。

さて、先日のこと。ネットの蛾仲間 蛾Love氏がやっと休みを取れると言うことで、
こちら方面へやってくるという。
せっかくの機会なので、当方のフィールドを案内し、蛾粉に塗れていただこうという
ことになった。

夕方から体が空いたので、某所で探索中だった、もりうえ氏、真神ゆ氏、蛾LOVE氏と
合流、そのまま一路、山奥の会場へと三台の車で出かけたのであった。

蛾LOVE氏には、過去二回?だったか、こちらへ来てもらったことがあったが、彼が
来ると、その蛾ホルモンに吸引されてか?見たことのない蛾がよくやってくるので、
その成果が期待された。

思ったよりも長い一本道(笑)をひたすら進み、現地付近のコンビニでラーメンやら
パンやらを調達。向かうはいつもの低山のポイントであった。

途中、官舎の窓にアゲハモドキを見かけたが、現地に着くと、今まで見たこともない数
のアゲハモドキが集まっており、この日はアゲハモドキの夜だったようだ。



この一角には五頭集まっていたが、画角に納めきれず。

クワガタとりの親子なども来ていて、昆虫少年を見ると放っておけない真神ゆ氏
が熱弁をふるう。子供よりもお父さんの方が、少年のように目を輝かせて、聞き
入っていた。

プロ写真家もりうえ氏の興味深く面白い話など聞きながら、飛来する蛾を愛でる
時間は過ぎていった。蛾LOVE氏は、昼間の不漁の反動もあってか、採集にいそしんで
いるようだ。ここは珍種(笑)こそほとんど来ないが、数だけは凄いので、皆さん
それなりに満足していただけたのではなかろうか?




トビイロトラガ、ベニモントラガ、
ヒメクビグロクチバ、プライヤアオシャチホコ
ナカグロモクメシャチホコ、ヒメコブヒゲアツバ



スゲオオドクガ、スジモンアツバ
ニレキリガ、:::ノメイガ
開翅しアピールするも振り向かれなかったモンシロムラサキクチバ、:::コヤガ



アクロベーシス?、ヒゲブトマダラメイガだっけ?、茶色の黒化型、クロモンキバガだっけ?
ナカアオフトメイガ、シロテンクロマイコがだっけ?、ムモンフサキバガ、・・・ツトガ



ご当地名物2ショットシリーズなど
エゾシモフリとシモフリ、キドクガに寄り添われて迷惑そうなゴマケンモン
サラサエダの2ショット・・・ちょっとシジミチョウ風、ウスベニコヤガだっけ?とハカジモドキ系
カメムシが多かった、ツマキリヨトウ系



ちょっと不明な蛾。今のところ、調べる気が起きない。。。

さて、この夜注目、蛾LOVEフェロモンの効果は・・・



これは効果抜群だ!当地で会えそうな他の蛾を差し置いて、予想外の種類の連続だった!

ナシモンエダシャク、シラホシヨトウ
アカモンドクガだっけ?、オオシロテンアオヨトウ(既見でした・・・ちゃんと見てなかった)
サツマキノメイガ、フトスジエダシャク

この場所で5種新顔とは、最近、まず無かったことだった。
当方も行った甲斐のある夜となった。

皆様、お疲れ様でした。またネットでお会いしましょう。

百蛾夜行 第拾六巻 戻り梅雨

2009年07月29日 | 


今年は実に天気の悪い年である。
6月は梅雨らしく、7月は早々に梅雨明けと思ったら、
毎日雨や曇りの天気が続く。

昼間のフィールドにはなかなか出られないので、ここに来て
夜の探索モードにシフトしつつある。
とは言っても、1500も蛾を見てしまうと、そうそう新顔は出
てくるものではない。

この夜もどんよりとしたムシムシする感じにて、山の方はあまり
降っていないようであったので、久々に奥まで入っていこうと思
いつく。



自宅には、久々の遠出を祝ってか?自宅初飛来のリュウキュウ
キノカワガが。。。意外と小さいんだな・・・。

まずは道中、温泉のポイントを覗くと、結構飛んでいるようなのだ。



キイロツヅリガの美麗個体がいたので写す。
左下はこれはただ者ではないヨトウだ!と写したら、ただのヨトウガだった。
ヨトウガはヨトウの仲間でもひときわもっともらしい模様をしているので、
よくまどわされるのだ。
右下は、クビワゴキブリホソバ。どれも蛾にはまりだした頃のメンバーで
懐かしい感じがして、久々に写した。



いつもはスルーするリンゴツノやトビネオオも、今夜はとても懐かしく
感じられて、写すことにした。
ゴマフボクトウの求愛に、撮影機会の割と少ないヘリスジシャチホコ。
今夜はシャチホコも色々見つかるかも。。。

そんなこんなで今夜の目的地である神社に到着。
ここは相性悪いんだよな~。知人は結構成果を上げているんだが・・・。
以下、現地の蛾からいくつかピックアップ。



うーむ、やっぱしイマイチ。。。
しかし、しばらく探索は続く。




右上のナミシャクが気になるな~・・・Acasis属(ルリオビナミシャク)あたりっすかねえ。



まだまだもう少しがんばろう・・・
(一応、左下のコブガはオオマエモンで初顔かな・・・オオコブガに
ちょっと似ているが小さいコブガだ)



うーむ残念!やっぱり相性悪いかなー。

そんな中、これは一目で初物とわかった久々の収穫!標高に見合った蛾とでも言うべきか。。



このあと、飛ばせて黄色い後翅を確認。しかし写真には撮れず・・・。



勿論、初物ではないが、非常に愛くるしい?エゾシモフリ!
この夜は他でも何度か見かけたが、この個体が大きくて綺麗だった。



これはまだ精査していないが、雰囲気同定でモモイロキンウワバ。初顔。

で、結局、神社はこんなもん。
いつもの相性悪パターンでした。
他に、早出のシロシタバもいたが、写せず。

峠も行こうか?とちょっと思っていたが、神社で結構時間を食ったので、
そのまま帰途につくことにした。

でも、せっかくのシーズンなので、帰りに寄り道してみることにした。
ターゲットは、筆者を蛾飢道に導いたあの蛾である!

ショートカットして向かったつもりが道を間違えて結局大回りすることに
なってしまったが、せっかくなので、しばらく行かなかった上のポイント
も覗くと・・・



これは久しぶり!蛾にはまりだした5年前に見かけて以来だ。キササゲノメイガ。

もう一カ所、最近、チェックすることにしている所では・・・



そして、いつもの低山ポイントに着く。



かなり湿度が高くもやっているので、蛾の数も多いが、大体いつもの
メンツだ。

そんな中、見慣れぬ小さなAthetis(初顔)。



前翅中程に黒点・・・コウスイロヨトウだっけ?(うろ覚え)



これは初物ではないが、以前、峠でボロ個体に出会ったことのある大きなカバナミシャク。
家に帰って画像を開いたら、結構綺麗な蛾であることに改めて驚いた。



えー、これはまだ調べてないけど、初めて出会うマダラメイガで良いのかな?
・・・ウスアカスジマダラメイガでっす。

そんな感じで百蛾夜行の夜は、深々と更けていったのであった。
そろそろ帰らんとやばいねえ・・という丑三つ時を過ぎようとする頃に、
不意に大きな影が・・・

来た~~!

そうです。来ましたよ。しばらく会いに行ってなかったが、3年ぶりの再会街道であった。



というわけで、ほんの少しの初顔も得つつ、永遠の憧れシンジュさんにも
あえた久々の蛾行きであった。

百蛾夜行 夏の蛾特集

2009年07月23日 | 
いや~、夏休みに入ったのに、全然夏らしくないですね~。
ということで、この夏に撮った蛾の写真を貼ることにしましょう~






ちょっと息切れしたので、続きはまたのお楽しみ!

ではお待たせしました!









これでもだいぶスルーしてるんだけどな~。しかも初物はほとんど無し!

百蛾夜行 第十四巻 晩春の山行

2009年04月26日 | 


今年はトンボの年にするつもりだ。
だからほとんど夜の山にも入っていない。
しかし、この週末は天気が崩れるという。
そこで、興味のあった春の山の蛾を探索することにする。
狙いは、ウスベニトガリバなど未消化の種だ。

思い起こせば、今の自家用車を買って、初めて遠征に出たのは
このルートだった。どきどきしながら初めてのETCを体験し、
従来カセットテープだったカーステレオも遅まきながらCDにし、
自作アルバムのオムニバスを聴きながら山へ向かったことを
思い出す。

今夜も昭和の面影を強く残す町並みを山へ向かって走り、まずは
トイレのポイントで小休憩する。
予報では夜半に雨はやむとのことだが、小粒の雨が少々降っている。
昼間晴れて気温が上がっていたなら絶好の蛾日和なのだが・・・
土砂降りにならなかったので、多少は脈有りと踏んでの山行だった。
トイレでは、オオエグリシャチホコと小型のクビグロクチバ系を見つけた
のみ。ここはそうそうに切り上げ、橋のポイントへ。



いつもはかなり蛾影の濃いところだが、あいにく電灯が一個消えていて、蛾の
姿は少ない。カバナミシャク系はとりあえずスルーとし、めぼしい物をあたると
狙いの一つ マエモンハイイロナミシャクが結構な数見つかった。
また、ハイジロハマキ系も一頭見られたが、傘を差しながらの撮影がうまく
いかず、ピントを合わせられなくて残念。。。ハイジロ系は解剖しないと同定は
難しいかもしれないが、幾分大きめに見えたので、オオの方なのかもしれない。

そんなこんなで、目的のトイレに到着。



そこそこ蛾は来ているようだ。
最初に目にとまったのは、ウスバシロエダシャク。実は今更ながら初見だが、
一目でそれとわかった。ウスバキとは明らかに雰囲気が違い、確かによく見ると
赤みがさしている。

そして、トイレに入ると、いきなり一見シロジマシャチホコのような蛾姿(冒頭)
狙いのウスベニトガリバだ。珍種ではないが、タイミングが合わず今まで会えて
なかったので、初見だ。

そして、トイレの床で、これまた狙い通り クロモンキリバエダシャクを発見。



辺りを見回すと、そこら中にクロモンキリバエダシャクがいる。
低地のミスジツマキリエダシャク状態だ。
今まで会えなかったのが不思議なくらいの初見。

更に探索を進めると、キリガもいくつかいる。



アオヤマキリガだ。初見。



角っこでこっそりしていたウスアオキリガを見つける。これも初見。
ウスアオキリガには二タイプあり、その薄いタイプだと思われる。




窓辺を見上げると、これまた初見のキリガ。最初はアメイロホソキリガだと
思っていたが、ナカグロホソキリガだ。山地の普通種とのこと。

せっかくなので、いくつかキリガを集めて並べてみた。
キリガカルテット。



こちらはほとんど相手にされなかったスギタニ、アトジロエダシャク(真ん中はアオヤマ)



個室に入ると天井に大きなエダシャクが・・・


これも狙っていた ニッコウエダシャク。
独特な翅の形雰囲気は他に類似種がいないので、すぐわかる。
春の普通種で、今まで人のをさんざん同定してきたのに、自分は初見だ。



ハマキをはじめとしたミクロはほとんど見つけなかったが、このハマキは
何だろう?素直にネグロハマキなのか?

そんなこんなで、時計を見ると21時を回っている。
夜遅くなると生活が乱れるので、撮影もそこそこに切り上げることとする。
エゾヨツメやイボタガには会えなかったが、久々の探索で多くの初見を得られ
まずは効率が良かった。

帰り際、個室で未練がましく一応写しておいたエダシャク。
なんとこれも初見のハルタウスクモエダシャクだ!



そして山を下る途中、一応寄ってみた小さな明かりの影に隠れていたのを
偶然懐中電灯で見つけたのが今日の〆蛾。



懐中電灯で照らしたときは、青っぽく見えたのでウスミドリコバネナミシャクか?と
思っていたが、帰ってから画像を展開してびっくり!
昔同定したことがあるエダシャクだ。でも名前が思い出せなかった。
キバネトビスジエダシャクだ。
割合少ない種類のようだ。

そんな具合で、10種ほどの初見があり、効率的な山行だった。
あまり深夜に及ぶと生活が乱れるので、修正はまた時間のあるときに・・・

追記:そういえば思い出したが、一応タケウチエダシャクも狙っていた。
でもそのことを忘れていて、まじめに探さなかったのもあって、見かけなかった。

この一年間に自宅に飛来した蛾

2008年11月08日 | 
今年もはや11月である。
今シーズン通じて感じたことは、各昆虫の減少が激しいこと。
原因は色々あるだろうが、各個体群の基礎体力の低下に乗じた何者か
の仕業ではないかと感じている。何者かはわからないが、目に見えない
ミクロなものなのかもしれない。昆虫は一度に多くの子孫を残すが、
母体を何らかの手段で生殖不可にしてしまうと根絶されてしまう。

外灯巡りもさえない一年だったが、外灯で得られる蛾が少ないのは、
節電に伴う常夜灯の減少、光源の変化(例えば紫外線の少ないタイプ
・・・特に最近の自販機がそうだ)などが原因であると思われる。

前置きが長くなったが、昨年11月からの一年間自宅に飛来した蛾を
まとめることにした。



上段左 
  ヨトウガ 個体数は少ないが、初夏と初秋に飛来する。
上段右 
  オオアカキリバ 秋口に飛来。山でも見かけることは少ない。
下段左から 
  キノカワガ 時々飛来する
  クロクモヤガ
  ゴマダラキコケガ 晩夏に飛来
  フタスジシマメイガ 発生期に若干数が飛来した

    ********************************************************************

 下写真上段左から
  クロモンキノメイガ 10月下旬頃発生のピークに飛来した
  ハマキ類(忘れた)
  マエモンクロヒロズコガ
  モンシロドクガ 発生期に比較的よく見かける



中段 
  トビイロトラガ 発生期に割と見かける
  ウスバフユシャク クリスマスの頃から1月頃に稀に飛来
  ノシメマダラメイガ
  シバツトガ
下段
  キマエキリガ 2シーズン続けて1個体ずつ飛来。山間部では秋の蛾だが
 低地では11~12月に出るようだ。これは正月1月3日に飛来した目出度い蛾。
  シロスジツマキリヨトウ 
  ウスチャヤガ
  カブラヤガ たまに飛来する

    ********************************************************************

 下写真上段
  ナカグロクチバ 初見の種。北上中の種と思われる。
  ヒメミズメイガ 発生期によく飛来する



 中段
  マエアカスカシノメイガ 時々飛来する。
  トビスジヒメナミシャク
 下段
  ヒメトガリノメイガ
  カシノシマメイガ

    ********************************************************************



 上段
  コスズメ 夏の初めによく見かける
  セスジスズメ 付近で稀に見かけるが、自宅飛来確認はこれが初めて
 下段
  チャオビヨトウ 割とよく見かけた
  ツマジロエダシャク 10月後半頃。年に一度は見かける感じ。

    ********************************************************************

 下写真上段
  シマケンモン 自宅へは初飛来。
  ウチジロマイマイ 近所で定期的に発生しているようだ。
  カバイロトガリメイガ 発生時期によく飛来していた
  スギタニモンキリガの仲間 キマエキリガと同様、低地では晩秋から初冬の蛾であるようだ。
 これも1月1日の夜に自宅に飛来した目出度い蛾。



 中段
  アシブトクチバ 自宅へは初飛来。
  オビベニヒメシャク 小さな蛾なので結構見逃しているかもしれないが自宅へは初。

 下段
  ウスイロオオエダシャク 自宅へは初飛来
  クロスジカギバ 自宅へは数回飛来している。

    ********************************************************************

 尚、今年はまだ二ヶ月残しているので、昨年の11月からの蛾相を拾ってみると、
 2007.11.5 アオアツバ(初飛来)
    11.7 チャハマキ
    12.4 キバラモクメキリガ
 がある。

 2008年中、今日まで自宅でその他に確認出来た蛾は、
 エグリヅマエダシャク
 チャドクガ
 アブラクサス
 ホソオビアシブトクチバ
 オオバコヤガ
 ナカジロシタバ
 スジキリヨトウ
 シロモンオビヨトウ
 ハスモンヨトウ
 スギドクガ
 ヒメシロモンドクガ
 ブドウトリバ
 といったメンバーだった。
 その中で割とよく見かける印象のあるのは、エグリヅマエダシャク、スジキリヨトウなど。
 記録には残してないが、夏にモンクロシャチホコが今年も多かったような気がする。
 他にも若干見逃していたり忘れているのもいるだろう。

 年間を通じて最も蛾が多く飛来したのは6月上旬だった。
 1日に10種以上が飛来していたこともあった。
 また、ミクロ蛾は上記の他は殆ど見かけなかった。
 今年は山間部でもミクロが少なかった。

百蛾夜行 第十四巻

2008年08月30日 | 


帰郷して少しからだが空くので、どこかに出かけようと思っていたら
これでもかと悪天続き。
しかしこの手があった。
夏の山を目指し、未見のカトカラを写す。
これはまだ今年実行出来ていないことだった。
二日ほど地元はひどい雷雨が続き、山へ出かけるのも恐ろしい気がするが
調べると山の方はあまりふっていないらしい。

晩飯を食ってしばらく様子を見たが、大丈夫そうなので、
久々の奥地行きを決行することにした。

山にさしかかろうかというところで遠目に自販機にとまるカトカラ風の
影を発見。かなり大型だ!これはひょっとして・・・・
ただのキシタバだった。キシタバの存在だけ綺麗に忘れていた。苦笑。
そんなこんなで、まずは、自分とは極めて相性がわるい神社のポイント。
ここは、自分の巡っている場所の中では最も蛾相が充実している
はずだが、日頃の行いが悪いのか?行ってあたったためしがない。

現地に着くと、蛾影はそこそこ出ている。
これは期待出来るかも?。。



見られた主なメンバーはこんな感じ。
一段目
@ツマジロカラスヨトウ・・・今まで何度か会っているが、いつも高いところにいて
ちゃんと写せなかった。今回も高い天井にくっついていたのを見つけて、またか・・・
と思っていたら、別のところで目の前にいるのを発見。目出度く近接ショットをゲット。
@ニセキバラケンモン・・・二カ所で見られたが、いずれも偶然下翅を見せてくれて、ニセと
判明。
@アオアカガネヨトウ・・・見事なカラカネ色の綺麗な蛾だ。この類に遭遇するのは二度目。
近似種にやや暖地性のカラカネヨトウがいて紛らわしい。一番内側の線がややはっきりとカー
ブを描く特徴は、アオアカガネヨトウ的と思われる。
二段目
@ヒトテントガリバ
@ネズミエグリヒラタマルハキバガ・・・だと思う。大きさを測ってない・・・・
@トビスジシャチホコ・・・同定の面倒な仲間。合ってるかな?
三段目
@アトキハマキ♂・・・見かけたとき、肩がはっきり淡色に見えたので、未見のカタカケ?と
思って写したらアトキだった。
@イタヤキリガ・・・調べてないが多分。
@ハガタクチバ・・・毎年同じところにいる
四段目
@オオトビエダシャク・・・巨大なエダシャク
@マツオオエダシャク・・・夏の山の定番
五段目
@アミメリンガ・・・白地に達磨の顔のような模様
@カシワマイマイ♀・・・♀は巨大でなまめかしいピンク。熟女系?

そんなこんなで、先行きが危ぶまれたが、とりあえず初物と目される一種をゲット。



左 オオヨスジアカエダシャク・・・大きめだったので写しておいた。後で別地点で多数見た
ヨスジアカはずっと小型だったので、横線の状態等も鑑みてオオヨスジでよさげかな?
右 ただのハナマガリアツバ・・・見かけたときにピン!と来たが、確認したらただのハナマ
ガリアツバでした。お粗末!



あたりで見かける大型種はヤママユとシロシタバばかり。
どちらも数頭~10頭は見かけられた。
でもこんなものかな~。。。。
時期的には微妙ながらオオシロ、そして、ベニを狙っているのだが、気配すらない。
そんな中、一頭だけ見かけないカトカラが現れた!



初めて見る種だが、一目でそれとわかった。ノコメキシタバ。
珍種ではないが、とりあえず神社に来た甲斐はあった。

あまりゆっくりもしてられないので、山をおり、ショートカットして別の地点へといくことにする。
途中、ログハウスがあったので見てみると、明かりに多少の蛾が集まっていた。
でもカトカラは、キシタバだけ。



チャマダラエダシャク率いるウスアオシャク、トビスジシャチホコ部隊。
右は最初見たとき、甲虫とがが向き合って何かしているのか?と思って写したら
こんな残酷な場面だった・・・冷や汗。シロモンオビヨトウを食するサビキコリといったところか?

カトカラの収穫が(いつもながら)芳しくないので(LTやらないんだからある意味当たり前)
移動して県境付近にまで足を伸ばす。
途中の道の駅でトイレに立ち寄ってみると、これがいた。



シロスジエグリシャチホコ
写そうとしたら偶然他の蛾がぶつかってきて反射的に擬死体勢をとっている。

そして久々の県境越え。。。去年、ムラサキを結構見たところだ。



しかしこちらも芳しくない。毎日通えば、何か撮れるかも?(絶対無理)

その少し手前の場所の自販機でのことだが、いい物を見つけていた。



スカシカレハ。結構大型なカレハ蛾だ。このワイン色が好みだ。勿論初見。

さて前後してしまったが、頼みのポイントではめぼしいのはこの位。。。



左は悩み中、外横線が二列の点列になっていることなどで当面スジアカヨトウにし
たが、やっぱりカドモンヨトウあたりが無難かな~・・・保留。
右は、確認してないがニセの方でオーケーだと思う。(確認しました)



その付近で見かけたノメイガ。
キイロフチグロノメイガとした。フチグロノメイガが三種にわかれ、特に、キイロとただのフチグロは
区別が難しいが、前翅外縁が若干出張っているので、キイロにしてみた。

さて、結局、奥地まで行って殆ど収穫らしい収穫もなく、それでも初物は一応何種か撮れたようだし
帰ろうか?と思ったが、出がけにケチって2000円分しかガソリンを入れなかったのが、何とかもち
そう・・・とわかったら、空模様がもったいなくなった。小雨の絶好の蛾日和なのである。
そこで、もう一踏ん張り。いつもの低山に寄ってみることにする。

確かに寄った甲斐あって、多数の蛾を見れたが、多分、知った顔ぶればかりだったと思う。
その中からの抜粋ショット。



夏の外灯巡りでは蛾ばかりでなく、色々な昆虫に出会うが、その中からいくつかピックアップ
してみることとする。



左は時々灯火下で会うミミズク。今回は正面からのカットに挑戦。
雨模様で傘をさしながらであまり自由にアングルを選べなかったが、顔が苔生したように
なっている。葉っぱの葉緑素が付着か?
ミヤマは夏の山で少なからず見かける。最近の桑株ブームは大したもので、休前日の夜などは
蛾のポイントで必ずと言っていいほど家族連れを見かける。相当遠くから来ている人もいるようだ。
しかし人が蛾の撮影をしているところに見境泣く割り込んできてその辺を漁ったり、♂ばかり捕まえて
いくのには閉口する。子供よりも大人の方が夢中になりすぎて血眼になっているのは何とも・・・。



面白い模様の羽を持つマダラウスバカゲロウ、サキグロホシアメバチ?
大きくて綺麗なアオクチブトカメムシ(カメムシは特ににおいが嫌いだけど・・・笑)
定番カマキリモドキの仲間。

百蛾夜行 第十三巻

2008年07月21日 | 


蛾には随分御無沙汰である。
一週間ぶりの休演日。東京での仕事も残り一週間となり、気持ちが若干軽くなってくる。
地元は風が強く涼しい夜が続くが、時間をとれるのもこの夜くらいしか思いつかないので
とりあえず山へと出かけてみた。
山の方(といっても低山だが)むしろ下界よりも蒸し暑く、風もなかった。
ポイントに着くと、絶頂期には及ばないが、そこそこの蛾影が見られた。
着いてすぐ、早出のシロシタバが派手にお出迎え。(一瞬、オオムラサキかと思った)
しかし、どこかへ消えてしまった。
ちなみに去年も同時期に出かけている。
http://blog.goo.ne.jp/dragomoss/e/367ab7a4154b616ebc4bf3353bf61fdd
参照。



遠目から見たら、新顔のシャチホコ?と見えた。近づくと、夏の定番の一つ。
ギンモンスズメモドキ。賑やかし要員には最適なメンバーだ。

しかし、予想はしていたが、どれもお馴染みの顔ぶればかり・・・






ついてすぐ、去年ちゃんと写し損なったフタイロコヤガの姿を発見!
今度こそ!!!とファインダーに入れたら、別の蛾の襲撃に会い、
そのまま二度と姿を見せなかった・・・・・・

ちなみに上の写真最後尾のケンモンヤガだが、去年同所で写してリンゴケンモンと
同定している種類と同じものと思っていた。後日改めて見てみると、どうも違うよ
うだ。前翅がこの手のケンモンヤガとしては短めで幅広なところは共通するが、昨
年見たリンゴケンモンとしているものとは、斑紋の特徴が一致しないし、大きさも
違う。リンゴケンモンとしている個体は、前翅長21ミリ、今回のは前翅長18ミリ。
18ミリという大きさはナシケンモンのクラスだが、ちょっと違う気もする・・・
となると、ウスジロケンモンあたりか?と思うが、後翅も見ていないので、仮登録
も迷ってしまう。。
そもそも、当方でリンゴケンモンとしているものも、今にして思えば、なぜリンゴ
ケンモンとしたか?がよくわからない。
改めて見てみると、リンゴケンモンとは明らかに翅の質感及び、翅形が違うようだ
。。。となると、そちらは、キハダケンモンあたりかも?これも後日時間を取って
再検討してみたい。いずれにしても、ケンモンヤガの同定は、写真では危険だ
ということを改めて感じる次第である。


それにしても、今ひとつ面白い種類がいない。。。
仕方がないので、集合写真。。。





他にもいたが、これだけ見ても初顔にはなかなか会えないものである。。。


同定の厄介なマダラメイガの仲間。右端は・・・ヒゲブトマダラメイガ(初)


今年も見かけた謎の白い小蛾。

右端のカザリバ系は・・・・

そんなこんなで殆ど収穫のないまま、久々に数時間を現地で過ごす。
途中、クワガタ目当ての家族連れが次々と訪れた。彼らを見ると、
むしろ子供より大人が血眼になっている。

そんな中、やっと明らかに初物!とわかるソトウスベニアツバをゲット!
蛾像掲示板では散々人の画像を同定してきたが、実は実物は初めて。
暖地系の蛾のようである。


・・・ツバメアオシャクと顔面。


キバガの未見?



これは大いに迷ってしまう!
ビロードコヤガの擦れか?だとしたら初物。シロモンコヤガたSugiaだったら既見。
ビロードコヤガっぽい気もするのだが・・・・

そんなこんなで、久々に蛾の夜を満喫出来た。帰宅したのは明け方のことである。

百蛾夜行 第十二巻 瓢雨

2008年05月25日 | 


この週末も悪天だった。予定していた昼の遠征はとり止め。
前の晩はものすごくムシムシしていかにも蛾日和だったが、
最終的には行く体力がなく、この夜も雨がだんだん降ってきた
ので、どうしようか迷ったが、子供も行きたがったので、夜の
低山を目指すことにする。

山の方は、やや雨の勢いは弱かったが、前夜のような蒸し暑さはなく
それ程蛾は来ていないかも?と期待薄で臨んだ。
現地に着いてみると、予想以上に蛾が来ているようだ。
極めて沢山ではないが、遠目からでも割合多数の個体を認めた。



高い山地に多いハンノケンモン。下翅は見事な白色である。

飛来しているのは、ナカウスエダシャク、ルリモンエダシャクが中心で、
他エダシャク系では、白ゴマダラ系各種、シロモンキ、ヨスジアカ系、シタクモ、
ひたすら地味なシロモンキ、ハグルマ系、ムラサキ系、シロエダシャク系各種、
アトグロアミメ、エクトロピス、セブト、オレクギ系、ヨツメなど。。。

飛来している数は少なくないが、相変わらずの蛾相ではある。
それでも、注意深く見てみると、片隅に会いたいと願っていた新顔を見つけた。



ウスアカヤガ
モンヤガの仲間は、初夏と初秋に出るが、これもそのようだ。
やや小型種で、手に止まらせて写して見ると、木目模様が鮮やかである。
ヤガ系では、他に、ウスチャヤガ、クロクモヤガ、スジキリヨトウ、
ゴマケンモン、ウスムラサキクチバ、ヒロオビウスグロアツバ、
キクビヒメヨトウ、モンムラサキクチバ、モクメヨトウ、タイワンキシタアツバ、
ムラサキヒメクチバ、マダラエグリバ、ヒメトラガ、ネジロコヤガ・・・等の姿を確認したが、
それぞれ数は少なく、ヤガが少ないと面白みも半減する。
そんな中、やはり隅っこの方に、これまたいずれはお目にかかりたいと思っていた姿を確認。




ウチジロコヤガだ。この辺の仲間とコブガの一部は、犬や狐の顔のような模様をしている。
正面から写したいので、そっとお尻を押して、移動させようとしたが、嫌って飛んでいって
しまった。。。

更に、そのあたりで、小さなビロードスズメ大のスズメガを発見。
回り込んでみてみると、ヒサゴスズメだ!
これは昨年もずっと探していたが、そんなに稀ではないはずなのに、自分は会えなかった種類だ。
二頭飛来していた。



ウンモンスズメとの美麗スズメ2ショット。

そのあたりを覗いて回ると、ケンモンが翅をばたつかせているのを見つけた。
これは労せずして同定のチャンス!



ニセキバラケンモンだ。
この仲間も個体数はそんなに多くなくて、まだ生きている個体には会っていなかった。
一昨年、山奥で見つけたこれ系の死体は下翅を写さなかったので、結局同定できていなくて
種類は増えたことにならないが。

その他、いくつかの蛾をピックアップしてみることにする。



コカバスジナミシャク。これも惜しいことに擦れている。美麗個体に出会いたい仲間だ。
ソトシロオビナミシャク、クロスジアオナミシャクなどこの辺の仲間もいくつか見られた。
そういえば、今思い出したが、キンオビナミシャクの美麗個体も来ていたが、写し忘れた!
何しろ、雨脚もそんなに弱くなくて、傘をさしながらだったので、撮影は困難を極めたのである。
自分は濡れても乾くからいいが、カメラやストロボを濡らしたら大変だから致し方ない。
現地では一昨年だったか、小雨の中で写しまくっていたら、ストロボがショートしまくって、
非常に焦った。幸い、事なきを得たが、雨中の撮影には気をつけないといけない。




キヒメナミシャク。
これもあまり見かけない個体かもしれない。



オオギンスジハマキ
非常に綺麗なハマキだ。ミクロは非常に数が少なかったが、ヒメハマキもいくつか来ており、
また時間のあるときに、不明種など同定してみたい。



ギンモンカレハ
やや小型のカレハガ。比較的奥地で出会うことが多い。ギンモンが綺麗なので、
会うと写真を撮ることが多い。



ドクガ系では、スズキ、スギ、スカシなど。キドクガも若干来ていて注意しながら撮影した。
これは、黒過ぎドクガ(スギドクガの黒化型)。



雨なので、集中力に欠け、見落とした種類も多かったと思うが、ふと振り向いたときに
目に入ったカクモンキシタバ。この時期ではかなりの大型種である。
大型種といえば、ヤママユ系こそ来ていなかったが、エゾスズメ、フトオビホソバスズメ、
オオエグリシャチホコ(シャチホコでは、ニッコウ、ナカキ、シャチホコガなどなど)
が来ていた。



トイレで見つけた、羽アリと共に殺虫スプレーで駆除されてしまったエゾヨツメ。

百蛾夜行 第十一巻

2008年05月06日 | 


2008年もシーズンインした。
しかし蛾に関しては、微妙に外しまくりで、春の蛾の収穫は殆ど無い状態である。
出張から戻ったこどもの日。駅に着くと、ぱらぱらと小雨模様であった。
蛾日和かもしれない・・・そう思うと、出かけずにはいられなくなる。
そう気温は高くないが、微妙な悪天はしばらくもちそうなので、夜半にかかる頃、
低山のポイントへと出かけてみる。

種類は期待できないまでも、天候故の蛾の群れを期待したが、まあボチボチと出ている
くらいなものだった。
この夜は、低山のポイント、そして、渓谷のポイントを覗いたが、収穫は殆ど無い状態。
しかし、せっかくのセミフルコースなので、せめて撮影した蛾を総登場させて、シーズン開幕
を飾ろうと思う(苦笑)



エダシャクの類
オオトビスジエダシャク、ウストビスジエダシャク、ウスバミスジエダシャク
ツマキリウスキエダシャク、ウスバキエダシャク、シロテンエダシャク
ウスムラサキエダシャク、シロズエダシャク、ウラベニエダシャク
ルリモンエダシャク、バラシロエダシャク、ハンノトビスジエダシャク



その他のシャクガ
マルモンヒメアオシャク、フタクロテンナミシャク、ナカアオナミシャク
ウスアオシャク、シロシタコバネナミシャク、シタコバネナミシャク
クロスジアオナミシャク、オオハガタナミシャク、ハガタナミシャク



ヤガの類
ウスムラサキクチバ、キイロアツバ、アイモンアツバ
アカフヤガ、ウスクロモクメヨトウ、シロフコヤガ、ヒロオビウスグロアツバ
ミツボシアツバ、モクメクチバ、ギンモンシロウワバ、ユミガタマダラウワバ



フタテンシロカギバ、ヤマトカギバ、ヒゲブトクロアツバ
マエモンコブガ、クロオビリンガ、ハネナガブドウスズメ、ナシハマキマダラメイガ(初)
オオエグリシャチホコ、エゾエグリシャチホコ、ヒラタマルハキバガ類、アヤトガリバ



トモンノメイガ、ハイイロヒメカギバ、フタナミトビヒメシャク
クロスジノメイガ、ナカジロフトメイガ?、マエシロモンキノカワガ?



フタマタノメイガ(初)

百蛾夜行 第十巻

2007年12月09日 | 


ここのところ多忙が続き、遠出する気もすっかり失せていたが、久々にさほど寒く
ない夜だったので、思い立って出かけてみることにする。
せっかくなので、低山と山奥のおもだったポイントを回ってみた。

百蛾夜行第十巻を記念して、今回は年末スペシャルとして、見かけた蛾総登場で
お送りしたいと思う。

まずは低山のポイント。
ここに蛾がいなければ速攻で戻ろうと思っていたが、蛾の姿はそこそこ見られ、
久々に体に活力が戻ってきた感じがした。



まず目に付いたのは、チャバネフユエダシャク(左)。一見、オオチャバネ?かと思ったが、
よく見るとチャバネでがっかり。チャバネは他にも少数見かけられた。
そして、ミドリアキナミシャク。これは初見だった。アキナミシャクに似るが、一回り小さく、
うす緑色をしている。秋というより初冬の蛾。



傍らにはミヤマクワガタの兜が落ちていた。。。



左は、何ともお騒がせのキトガリキリガ。二頭いた。
最初はキトガリキリガ?と思ったが、どうもおかしいので、
ひょっとしてウスミミモン?最悪ミスジ?と思っていたが、
写真をみたらやっぱりキトガリだった。残念。
右は、タマナヤガ。
見つけたときはどうと言うことはなかったが、この個体だけ
妙に元気が良くそこら中を飛び回っていたので、秋キリガでも
いるのか?と期待を持たせた挙げ句、またこいつか・・・・
と言う感じで騒がせてくれた。



続いて、左は、初物のゴマダラキリガ。
ホシオビキリガのゴマダラ型に似るが、色が鮮やかで背中にもゴマダラがある。
右は、初冬の常連ホソバハガタヨトウ。



ハマキ類はスルーするところだったが、ちゃんと見ておいて良かった。
左の二種は比較的稀な種類。
左からクロコハマキ、フタスジクリイロハマキ、そして、プライヤハマキ。

最初のポイントはまあこんなもので、そこそこの蛾相が得られた。
ついでに少し登ったトイレを覗いてみる。



二頭ほどやや小型のヨトウ風の蛾が高いところにへばりついていた。
一見、オオチャバネヨトウのように見えたが、降ろしてみると、初物、クシヒゲシャチホコ
だった。最初はたたんでいてわからなかったが、見事なクシヒゲだ。

さて、低山はこのあたりで切り上げるとして、山奥のポイントにもアクセスしてみることにする。
あまり多く回る気力もないので、比較的確実な渓谷のポイントを覗く。



フユシャク類が何頭か見られたが、シロオビ、ウスモン、クロテンといったメンツで珍種は
いなかったようだ。



確認しようと思っても、網を持参していなかったので何頭か確認し損ねたのは残念だが、
他、見かけるのは、冬尺蛾系のみで、ナカオビアキナミシャク(左)が最も多かったようだ。
右は、今度こそオオチャバネ!?と思って写したが、よく見たらチャバネのようだ。
オオチャバネはもう少し早い時期に出るようだ。



オオナミ?コナミ?よくわからない仲間だ。ナミスジフユナミシャクとされたいたものが
オオナミとコナミに分かれたという。これも何頭か見かけられた。


秋キリガをはじめ、ヤガ系の渋い蛾を見つけることは出来なかったが、
そこそこの蛾を見ることが出来、
まあまあ出かけた甲斐のあった夜行であった。
自宅に戻ると、ツマジロエダシャクの死骸が家の前に転がっていた。

百蛾夜行 第九巻 秋の夜長

2007年10月06日 | 
 

 10月の蛾探索。
 今年は前半こそまあまあだったが、夏を過ぎるころからどうも不調になった。
 山奥に行ってもめぼしい蛾を殆ど見かけないのである。
 当方も、今年はズルして楽をする暇がもらえず、夜の蛾探索も後半は
 かなりしんどかった。

 そんなこんなで、肝心要の気力がここに来て失せてきた。。。
 今日あたりも絶好の秋晴れでどこかにでかければ何か見られたのだろうが、
 その気さえ起きない自分に、むしろホッとしている別の自分がいたりする。

 前置きが長くなったが、昨夜は10月のまだ見ぬ憧れの蛾を見に、いつもとは
 違うコースを辿ることにした。

 到着したばかりの新車にETCカードを入れ、ドキドキの初トライもどうと言うことなく
 クリアした(笑)ここ三年ほど、仕事で高速の往復が増え、ETCを使ってなかったので、
 いくら損したかしれないが、これで少しは節約できそうである。

 インターを降りしばらく街道を進むとだんだんと山へと入っていく。
 いつも見る景色とはひと味違う感じだ。
 子供の頃読んだ探偵小説に出てきそうな風景が次々とよぎっていく。

 だいぶ山を登っていくと、最初のポイントと思われる橋に着く。
 建物の壁にへばりつく大きなスズメガ風の個体を発見し降ろしてみると、
 ムラサキシタバだった。
 他にはヒメヤママユの黒化型や、秋のお馴染みの蛾の仲間などが見られた。


 

 ヒメヤママユの黒化型 / オオハガタヨトウ
 エゾキシタヨトウ?(最初、暫定的にウスキシタとしたもの。右後翅に黄色鱗片が
 見えるのと、その部分の形状等から擦れたエゾキシタの可能性が大きいが何とも言
 えない・・・) / マエモンオオナミシャクの綺麗な個体

 他に、初物となるナカアオナミシャク、キイロキリガをはじめ、アマヒトリ、キシタミドリヤガ、
 ナカウスエダシャクなどの姿を見かけるが、本命は現れない。。。

 
 ナカアオナミシャク

 そこは適当に切り上げ、更に登っていくと、峠の駐車場に到着。
 駐車場の下で待ち合わせていたSさんと合流する。

 駐車場のトイレで、ナカジロトガリバを見た瞬間、季節はもう10月なんだということを
 思い知らされる。頭ではわかっていても、フィールド心がまだ夏の終わりくらいの感覚で
 いたようだ。これで彷徨える心も少しは浮かばれただろうか?笑。

 

 ニッコウナミシャク(初) / キエグリシャチホコ /
 ナカジロトガリバ / コカバスジナミシャクの割と綺麗な個体 / キイロキリガ(Sさんには
 モンキキリガと言ってしまった。頭の中ではキイロキリガの文字が結像していたのだが・・・
 失礼!)

 そのあたりでしばし蛾を探していると、足下になにやら見たことあるような物体が・・・
 灰色の地に黒いスジが入っている・・・まさか・・・ギンモンセダカモクメ!!??・・・
 Sさんを呼んでしばらく観察してみたが、あれ?どうもおかしい・・・何と、タバコの灰
 だった・・・大笑。。。

 穴居奥、ここでも本命は見られず、Sさんを橋まで案内するが、
 ここでも相変わらずのメンバーだった。
 その内に気力も無くなってきて、本命をあきらめ、別路で山を下ることにする。

 そのまま往時のコースを辿っても面白くないので、別ルートでいつもの峠を通過するという
 豪華なコースだ。笑。

 途中、いつもの峠のポイントの少し手前の湖に寄ってみる。
 はじめていったところだが、カトカラの姿が目立つ。
 高い壁のあたりでは、ムラサキシタバが数頭へばりついたり飛んだりしていた。
 そのあたりで、初物のエゾシロシタバを得る。
 しかし、他にはシロシタバの姿が目立つくらいで、赤いシタバは見つからない。

 そこも適当に切り上げ、いつもの峠に到着。
 相変わらず、殆ど蛾の姿がない。カトカラはいい加減擦れたゴマシオ一頭だけ。

 

 エゾシロシタバ と ゴマシオキシタバ

 せっかくここまで来たので、本命の記録地をちょっとだけ覗いた方がいいかな?という
 気持ちもあったが、もう既にかなりしんどかったので、道の温泉と低山のポイントだけ
 覗いて帰った。途中見かけた色鮮やかなクスサンをもって、今回の蛾探索のレポートを
 終えたいと思う。お粗末。

 

百蛾夜行 第八巻 熱帯夜

2007年08月16日 | 
何とも暑い夜であった。
明日から仕事の山に向かうので、遠出は無理かと思われたが、
運良く真夏の山に繰り出すことが出来た。
昼間の遠出は来年以降の楽しみか・・・・。

早速、低山のポイントへ。
現場に近づくと、心なしか蛾影が少ないような感じがする。
車を降りて、近づくとどうも様子がおかしい。
蛾はいくらかいるのだが、みな同じようにもがいている。
しばらくは状況を把握できなかったが、スズメガを中心に
大型種は翅が濡れたようになっている。
何と!こともあろうに、殺虫剤を散布したのだ!
施設がやったことなのか?それとも通りがかりの者の仕業か?
周辺の虫はことごとく殺虫剤をかけられのたうち回っていた。
大型種は殺虫剤で翅が濡れ、同定もできないような状態。
コトラガが二頭ほど飛来していたが、これもやられていた。



近くのトイレも見たが、こちらも男子トイレのほうがやられていた。
いずれにしても、蛾は少なく、ホソツマキリアツバやシロスジキノコヨトウ
をみかけたくらいであった。
何とも悲惨な状況を見て、長居する気にもなれずポイントを移動する。

次は、峠のポイントへ直行。
カトカラ類は全くと言っていいほど見あたらない。
それでも、地面を丹念に探すと、いくつか面白いものも見つかった。



イボタケンモン(左上)、ベニモントラガ(右上)、フタオモドキナミシャク、
ヒメキホソバにちょっかいをだされるアマヒトリ



一頭、大きめのエダシャクが止まっていたので、写してみるがどうもピンと来ない。
他に該当種もいなさそうだし、ハミスジエダシャクの擦れでFA。


アオアカガネヨトウ

ホシナカグロモクメシャチホコ

クロスジカバイロナミシャク

ネグロフトメイガ

ソトキイロアツバ

と言った具合で、地面に落ちている個体から若干の初顔を得た。

続いて渓谷のポイント。
あまりゆっくりも出来ないので、手前の工事現場の明かりを見る。



ホシオビコケガ(左)は二頭見かけたが、いずれも胸背中点のある個体。
アイモンアツバの美麗個体(中)、モンキアカガネヨトウ(右)



これまた正体不明。ヨトウの小型系かと思ったが、擦れているし、気力のあるときに
調べてみよう。。。蛾は6000種もいるから、マクロでもまだまだ見かけてもピンと来ない
種類は沢山いる。なかなかに奥が深い。。。。。

落ち着いて見たら種類が判明した!
ヒメネグロケンモンだ。一応新顔。
現地付近はネグロケンモンが多く、スルーしまくりだったが、
今後要チェックだ。過去に写真も撮っていたら再チェックして
置かねば・・・


そこも早々に切り上げ、今度は神社のポイントへとワープ。
こちらでも蛾影は全く少ない。相変わらず、相性が悪いポイントだ。
一度くらいは蛾で群れている時に訪れたいものである。

ここでも地面に落ちている蛾を漁るが、ヒトツメオオシロヒメシャクの姿ばかりが目立つ。
今年は、エダシャク系が多く、ヤガは少なくて、今ひとつ面白みがない。
そんな中、大物の初顔。


モンホソバスズメ 独特の後翅模様。


アミメキハマキ
割合大型。高山性ハマキということだが、まあ標高1000メートルくらいはあるので、
いてもおかしくないか・・・。トイレの壁に付いていた。

そんな感じで、駆け足でのレポートとなったが、とりあえず1400種を達成できた。
また仕事その他が落ち着いたら出かけてみたいものだ。
カトカラが群れる日は今年やってくるのだろうか?