Days of Dragonflies & Moths

トンボや蛾に関わる記事中心。
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写真集「関東甲信越のトンボ2010plus」

裏ヤンマ 其の三

2007年08月05日 | トンボ

盛夏の候。
今年はおとなしめの夏だが、さすがにここに来て35度近くなる日が
続く。こういう気候になると、影ヤンマを探しに行きたくなる。
この日8/4は、かつての自分の古巣としていたあたりに出かけた。
昨年も仕事の打ち合わせの合間に二度詣でをして、マルタン♂と
ヤブ♀に出会っているが、今年はどうか?



これは綺麗だ!ヤブヤンマとはかくもしゃれたヤンマだったのか!と思わせる
色合いである。♀はひたすら地味だが、♂はこの青い目の輝きと黒と黄色の
コントラストが何とも言えない。



お次はこれ。
マルタン♂の影ヤンマは去年一昨年と写せたが、♀の昼日中の個体にはまだ
ちゃんと出会えていなかった。今年はいきなり、ヤブ♂とマルタン♀をゲット
できた。
影ヤンマは探し出すのも一つの醍醐味だが、今回は同好の方がたまたま現地にいらして
最初の数頭はその方が見つけたのを教えて頂いたものであった。
その点、若干残念ではあったが、後半更に数頭自力で見つけたので、まあよしと
しておこう。

一本の枝にヤンマがぶら下がるようなロケーションが好ましいのだが、大体
バックはごちゃごちゃして暗いのが当たり前なので、条件の厳しい撮影には
なる。色々アングルを探したが、マルタン♀は足場を確保しつつ、収まるように
するには上の大きさしかなかった。もう少しマージンの取れるショットだったら
絵的にも良かっただろうが、まあ迫力のある画像が撮れたので良しとしよう。
感度も200に限定して臨んでいるので(条件さえ良ければ、1600でもさほど
画像は荒れないのだが。。。)シャッタースピードに制限が出てしまう。
大体1/20以下での撮影になってしまい、200ミリ手持ちの自分にはいささか
つらいものがある。



しかしうまく集中出来れば、ぶれずに度アップの画像を撮れなくもない。
上記は1/10のスローシャッターで撮影したマルタン♀の度アップだ。



これは普通に絞り込んで写したヤブのアップ。やはり目玉の色が素晴らしい。
目玉の色はマルタン♀の鮮やかな黄色も捨てがたい。これはマルタン♂の深い
青と好対照だが、現地のマルタン♀の目玉は今ひとつ深遠さが足らない気がする。



現地では、最近の自フィールドで滅多に見かけないコノシメトンボを見ることも
できる。この日はこの一頭だけだった。



ヤブの鮮やかな♂もいいが、この老熟した♂もいい。
私は、ヤンマの翅が濃く煙った感じが好きで、この渋さがたまらない。
帰りがけに空を見上げたら、スマートで羽のいい感じに煙ったヤンマが
上空を飛んでいたが、この個体だったのかもしれない。

子供の頃、科学展を見に行ったとき、トンボの標本も飾られていたが、
オニヤンマとヤブヤンマとそれぞれ記された大きなヤンマの標本を見た
のを覚えている。オニヤンマとヤブヤンマは姿形がよく似ていて、子供
の自分にとって彼らの違いは、翅の色であった。その頃から、ヤブヤンマは
翅の煙ったヤンマ・・・という印象がインプットされているものと思われる。

百蛾夜行 第六巻 フィールド復帰

2007年08月05日 | 
ここのところフィールドに出られない日が続いたが、やっと身辺も一段落し、
とりあえずは慣らし運転として、低山の様子を見に出かける。
7月前半ほど蛾影は濃くはないが、よくよく見ると、ミクロを中心に面白そうな
メンツが顔を揃えている。



中でもひときわ目立ったのが、ルリモンクチバ。今まで見たルリモンクチバより大きく
見え、随分黒っぽいので新顔か?と思ったが、新鮮な個体であったためであろうと
思われる。

カトカラは殆ど飛来せず、ヤガではモンシロムラサキクチバの姿が目立つばかりだったが、
かろうじてキシタバだけ飛来した。まだ新鮮な綺麗な個体だ。





またひときわ目を引いたのが、夜のコミスジ。。。

そんな感じで、イマイチパットしない夜ではあった。



1.シロスジヒメエダシャク 2.シロオビオエダシャク
3.キオビカナサンツトガ 4.ミミズク
シロスジヒメエダシャクは珍しい蛾と言えそうだ。まだ出会うのは二度目である。
白いエダシャクでは、ミスジシロ、バラシロ、フタホシシロなどいつものメンツに
加え、比較的低山では珍しいホシスジシロエダシャクも見られた。
このポイントで時々見かけるシロオビオエダシャクは、他ではまだ会ったことがない
が、二化目の個体だろう。頭が黄色く近似のシャンハイオエダシャクにも似るが、
全体的な雰囲気がおとなしめでちょっと毛色が違う気がする。
ソトモンツトガは時々見かける蛾だが、今夜のはずいぶんと色調が暗く、オレンジ色の
線も一本しかないので、変異かと思い調査したところ以下参照。
蛾像掲示板に問い合わせたところ、蛾類通信242に出てるキオビカナサンツトガがよく似てると、
Kawaさんからご教示頂いた。当然初物。この辺でもまだまだ新記載が出そうな感じである。

ミミズクは夏になると灯火で見かけるが、面白いのでついつい撮ってしまう。



ectropisは、最近スルーしがちだったが、たまには撮っておこうと思って撮影。
線の曲がり具合からフトフタオビエダシャクの一種だと思われる。・・・の一種と
いうのは、最近、食草に基づき、更にDNAの検討を加えて二種に分かれたらしいから
である。元々面倒な仲間が更に細分化されると、近くて遠すぎる存在になって
しまう。DNAの話題を持ち出すと、まだ拒否反応を示す人もいて、まるで異端の
ように目の敵にされているような気配さえ感じることもある(苦笑)。別に自分は
DNA検査マンセイではないが、そういう研究成果も出ている・・・ということを、
その事実を伝える必要のある時に、話題に出しているだけなんだが、自分もその手先
・・・なんて思ってないだろうが・・・みたいに思われるのも何だかシャクだ。
(おあとがよろしいようで・・・)



今年はお目にかかる頻度の比較的高いムラサキシャチホコと、県内では初めて見た
サカイマルハキバガ。ムラサキシャチホコは縦位置だと、ただのくっきりした模様の
シャチホコにしか見えない。実際は横位置に止まっていたものを縦中横にしたもの。
サカイマルハキバガは黄色を基調とした美しいミクロだ。

それでは、今回の初顔。



ミクロを中心に低山だけの割に多くの初顔があった。
但し、マダラメイガ系は怪しい同定もあるので、もう一度あとで見直した方が良いかも
しれない。

1.ナシモンクロマダラメイガ 2.フタモンマダラメイガ(多分二化目) 
3.ホソアカオビマダラメイガ
4.ウスアカオビマダラメイガ?(acrobasisとは違う属のようで、ますます紛らわしく混乱する)
5.ホソバキホリマルハキバガ(前々から会いたかった大型のマルハキバガ)
6.スジウスキキバガ 7.ハチノスツヅリガ(意外に大きめ。これも会いたかった種類)
8.ツマキハイイロヒメハマキ 9.マダラギンスジハマキ 10.スギカサヒメハマキ?
11.カタキマルハキバガ 12.クロヘリキバガ 
13.リンゴケンモン(初めて見るタイプのケンモンヤガ。白黒系だが、
ちょっとアオケンモンの雰囲気も併せ持つ)

他にも不明ミクロなど若干目を通してないが、当座14種を追加。
通算1386種となり、1400種も射程距離に入ってきた。

尚、8/4分 裏ヤンマの投稿は後日時間のあるときに・・・。