Days of Dragonflies & Moths

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写真集「関東甲信越のトンボ2010plus」

古き良きベッコウトンボ

2011年05月21日 | トンボ
その昔、東京の石神井公園には沢山のトンボがいたそうな。
古い文献を参照すると、55種ものトンボが記録されたとかで、
春には、ベッコウトンボ、トラフトンボ、アオハダトンボなど沢山の
トンボが飛び交っていたそうだ。(文中に出てくるアオトンボとは
アオヤンマのこと、サナエトンボはコサナエ、オオサナエモドキは
ホンサナエ・・・オオサナエとはアオサナエのこと)
近くに住んでいた頃、散歩中の年配の人から聞いた話だが、昔はトンボで
空が真っ黒になったそうだ。
また、石神井公園ではないが、石神井の写真屋さんからは、昔は多摩川の
河原でベッコウトンボが沢山見られたという話も聞いたし、新宿区上落合
あたりのちょっとした草むらで、昔はオオキトンボが普通にいたと、今は
亡きトンボの大先輩白石さんから聞いたこともある。


(草むらから飛び出す姿を見るとその色合い大きさ体型からバッタと勘違いしてしまうアオヤンマ)

「希少種」とか「レア」とかいった言葉や取り扱いは個人的にあまり好きでは
ないが、その意味ではベッコウトンボは古株の希少種である。
自分がトンボを追い始めたウン十年前にはすでにその辺の池沼で見られるような
トンボではなかった。
最近は物理的にトンボの住処自体が減っているから、いろんな種類が減っているが、
ベッコウトンボだけはだいぶ昔から他のトンボに先駆けて減ってしまっているのだ。



ベッコウトンボはなぜ真っ先にいなくなってしまったのか?
何とかすべての原因と真実を解き明かせないだろうか?
ベッコウトンボは、コバネアオイトトンボと共に古い池沼に固執すると言うが、
それが普通に見られた環境を基準と考えると、大変なバランス重視型なのかも
しれない。他のトンボは多少何らかのバランスが崩れても一定の条件が整えば
復活するが、ベッコウトンボは一度いなくなったら戻ってくる確率はゼロに近いのだ。
他にも色々な原因が想像できるが、もし、いろんな事がわかったら、
将来的にいろんなトンボのいる水辺を作れるかもしれない。



ベッコウトンボはいろんな意味で美しいトンボだが、撮影は難しい部類だと思う。
止まっているのを撮るだけなら、多少敏感で近寄りづらい事以外は特に障壁はない
が、ボディが黒系で透過しないので、晴天の順光撮影でないとなかなか映えないし、
完全なサイドショットでは、トレードマークの羽の模様が写らないことが多い。



草原が好きなトンボなので、羽の特徴を主と考えればイメージは広がりそうだ。



蜘蛛狩に意欲を燃やすアオヤンマ若雄と、そろそろ出始めた夏の池沼組。


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