12月7日のBS『こころ旅』で火野正平氏が高千穂神社の鳥居の前で“お手紙”を読んでいた。2015年4月に自転車旅で訪れた場所だ。
福岡まで飛行機輪行し、九州の北部海岸沿いに平戸の生月島まで行き、長崎、天草、熊本と南下して、南阿蘇山麓から高千穂の嶺を越えて別府鉄輪温泉にゴールするという850Kmの旅だった。
暫くぶりの『 私の自転車旅物語』は、初めての九州自転車旅。3週間の長い旅だった。
《唐津→呼子 2015.4.6》
2015年4月4日
《福岡空港に到着》
飛行機輪行は初めてだった。自転車は預け荷物にしてトータルで重量をクリアすればOKで無料だ。
サイドバッグ1個を一緒に預け、機内にはもう一つのサイドバックを出来るだけ軽くして持ち込んだ。
テント設営のペグやハンマーなどの金属類は出来るだけ預け荷物へ。自転車は到着地では航空会社の職員さんが直接持って来てくれる。いつも申し訳なく思う。
この夜は福岡市内のゲストハウスに泊った。
2015年4月5日
《アクロス福岡シンフォニーホール》
自転車を始めた20年ほど前、ツール・ド・フランスのドキュメンタリーで、色とりどりのジャージを纏った一団がアルブスを越え行く時にBGMで流れたのがチャイコフスキーのバイオリンコンチェルトの最終楽章だった。
テレビ局に問い合わせて知った。
ソリストに三浦文彰さんを迎えた九州交響楽団の定期演会でこの曲を聴いた。さあ明日からは初めての九州自転車旅だと思うとちょっとウルッとなった。
2015年4月6日
福岡から唐津駅までは地下鉄とJRで輪行した。航空機貨物なので念のため変速機周辺を段ボールで補強していたが問題無かった。
段ボールはゴミ処理しなければならないので、以後、サイドバッグに薄いプラスチック板2枚を入れておいて適宜、補強材に使っている。
《呼子大橋》
この日、ずっと小雨が降っていた。夕方に唐津から15Kmほどの呼子港付近に着いて民宿を訪ねるとどこも港湾工事関係者で埋まっていて満室。
観光客向けの高いホテルには泊まれない。はてさてと思案し、近くの屋台で干物を売っていたおばさんに相談すると、近くに閉館中の旅館があるから泊まるだけなら何とかなるかも、と教えてくれた。
早速、F旅館へ。快くお願いを聞いてくれた。ご主人は高校の先生を退職した方だった。先日、糸島の息子宅を訪ねドライブで訪ねてみたらあいにくカギが掛かっていて再会することが出来なかったのは残念だった。
夕食に入った食堂で北海道で歯学を学び診療所の巡回で来ていた青年歯科医師と出会った。銀行務めの後に歯学部に入り直し、1年前に鳥取から無医村解消のために唐津に移住してきたという。
店の主人も1年前に長崎から移って来たばかりで、「私達も風来坊です。」の一言で大笑いした。
F旅館さんの計らいで〝呼子のイカ〟を安く食べさせて貰った。
翌早朝、「呼子の朝市」を見てから伊万里へ向かった。
(つづく)