緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

モヒ服用中、でも痛い

2006年12月15日 | 医療

モルヒネなどのオピオイドを服用されていて
尚、痛みがとれないとき、どのように考えるか・・


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まず、併用薬として確認する点は、
非ステロイド性抗炎症薬は併用しているか、どうか。
炎症性などのオピオイドが効き辛い疼痛の緩和に必要です。
副作用のため、服用できない時を除き、基本的には併用します。
胃潰瘍や出血しやすい時は、代替薬としてアセトアミノフェンを用います。

もう一つ、
神経障害性疼痛の有無です。
腹腔内の疾患でありながら、足が痛いといった場合
脊髄から出た神経が足に向かう何処かで刺激を受けていることがあります。
そのような場合は、オピオイドが効き辛いため
抗うつ薬、抗けいれん薬などを うつやけいれん止め目的ではなく
少量併用すると神経の痛みを緩和することができます。
鎮痛薬ではないのに鎮痛効果がある薬剤を鎮痛補助薬と総称します。

この点を踏まえて、
オピオイドの投与状況と副作用の便秘の有無を確認します。
オピオイドの種類にもよりますが、ピークは内服後2~3時間ですので
その時疼痛がどのくらいあるか、また、効果が持続する時間から
必要量を推測します。
次の内服時間の前に痛みが強く出る時は、同量分割では不足してしまうことが多く、
大半は増量または、増量分割が必要になります。
同時に、便秘で吸収不良がないか、
オピオイドが効き辛い痛みの混在がないか、
非ステロイド性抗炎症薬は併用しているかなどを見返していきます。

このように
診察と問診、画像との照らし合わせで
オピオイドの増量か、投与経路の変更か、オピオイド・ローテーションか、
鎮痛補助薬や非ステロイド性抗炎症薬の併用か
このように多角的な判断が大切です。
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コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
奥が深いですね (まつ)
2006-12-16 06:29:57
大変勉強になりました。がん疼痛治療は、患者さんの希望、先生の治療目標が"痛みを取る”とのシンプルなものだと思いますが、先生のお話にもありますようにいろいろな要因があり、本当に「奥が深い!」と率直に思います。もっと、先生方、患者さんを含めた一般の人々にモルヒネの必要性が理解され、偏見が解除されながらがん疼痛治療がもっと広がっていくことを切に望んでおります。
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そうなんです (aruga)
2006-12-16 21:33:02
16日分も痛みをテーマに書いてみました。勉強すればするほど、痛みをとる意味を感じます。その時、いろいろな要因を考えながら良質の緩和を目指したいと思っています。
返信する
我が家の場合も。 (ぴょん)
2006-12-17 08:55:15
我が家の場合も、本当に、王道の痛みのコントロールをして下さっていたのだと本当に思います。
ハイ。
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