緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

太古の地から受けとった力

2009年04月24日 | 医療
昨年12月に英国研修に参加した時、プログラムの一つにメディテーションが入っていました。日本語で言うと、瞑想・・目を閉じ、気持ちを集中させ、心身の静寂を取り戻していきます。そして、自然の中にあるエネルギーを取り込んでいくような感覚の中に身を置きます。こんな風に書くだけでも、私には、何だか抵抗感がありました。宗教やマインドコントロールといった言葉を思い起こしてしまうような・・・ところで、先週、岡山に行 . . . 本文を読む
コメント (5)

死を目の前にして、“あなたを食事に招きたい”(2)

2009年04月18日 | 医療
患者さんは病状を理解されていなくて現実には、到底無理な事を話される場合と病状を十分理解した上で非現実的な希望を、話される場合があります。前者であれば支えになってくださる方に同伴して頂いて病状の説明を行い、現実に戻していけるよう言葉がけをします。後者の場合にはもう、無理ですよと伝えるとその希望を否定することになります。ですから、非現実的なことでも、否定しないで肯定的に返事をしていきます。前者か後者か . . . 本文を読む
コメント (5)

死を目の前にして “あなたを食事に招きたい”(1)

2009年04月15日 | 医療
患者さんは現実からは、とてもそうとは思えないような質問をされたときどう、答えるか・・ Aさんは、扁桃腺がんでした。気管切開、胃ろうからの栄養で小康状態でしたがコミュニケーションは筆談でした。首は腫れ、不安を訴えられるAさんと日本で緩和ケアの研修を始めたばかりの私は車椅子を押しながら、池の周りを散策したものでした。次第次第に病状が悪化し、日単位に変化し始めました。大変、厳しい状態となり、スタッフ間で . . . 本文を読む
コメント (2)

ジャズを流していたタクシーのお陰で・・

2009年04月12日 | つれづれ
先週後半・・・沢山の負荷がかかってきて、ああ・・もうだめだ・・どこかで、休みをとらなければ・・・と感じることがありました。一日は、8時間位寝ました。それでも、ぎりぎり・・という感じでした。金曜日も、このぎりぎりのところにさらに降ってきたことの処理に追われていました。夜、9時になって、もう、帰る!とばかりに部屋をでて、その日ばかりはタクシーに乗りました。乗り込んで、すぐに・・ジャズが流れていることに . . . 本文を読む
コメント (7)

緩和ケアは、がんだけが対象なのか・・

2009年04月09日 | 医療
2002年、WHOから出された緩和ケアの定義です。緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、 疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関して的確な評価を行ない、 それが障害とならないように予防したり、対処することで、クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチである(日本ホスピス緩和ケア協会 訳)生命を脅かす疾患・・・・がん、だけで . . . 本文を読む
コメント (15)

心を砕きながら、傍にいるということ

2009年04月06日 | 医療
「CV自己抜去」に、コメントありがとうございました。頂いたその日の内に、返信することができず申し訳ありません。返信に共通する事項があり、ここにアップさせていただきました。ERIYさん苦痛が取りきれない場合、うつらうつらしながら辛い時間を乗り越える調整は本当に大切ですね。患者さんからの「ありがとう」という言葉は、なさってきた医療が患者さんにとって肯定的なものだったからこそ出てきたものだと感じます。日 . . . 本文を読む
コメント (6)

CV自己抜去(4)

2009年04月03日 | 医療
沢山話かけたり、手をさすったりご家族とのゆっくりとした時間でした。最期の時間をかみしめるように大切に大切に過ごされていました。苦痛はないことを確認して、私達は離れました。2時間ほどして呼吸が止まりましたと連絡がはいりました。 身体的な状況下にせん妄が潜んでいれば患者さんは自分をコントロールすることは難しくその伝達方法も衝動的なものになってしまいます。もう、死にたいと抜いた高カロリーカテーテル。その . . . 本文を読む
コメント (6)

CV自己抜去(3)

2009年04月02日 | 医療
まだ、やれることがあります。そう、伝えました。 ステロイドなども併用しながら大変繊細な調整をしていきました。受け持って一週間たちました。ある朝、病棟師長が回ってくれたとき血圧が低下し始めていました。ご家族に連絡しました。到着されたときまだ、声をかければうなずくことも出来ていました。亡くなる前のぜい鳴が出始めていました。「痰で苦しくならないように点滴を止めましょうね。」このようなとき出すに出せない痰 . . . 本文を読む
コメント (2)