緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

入院料の条件に盛り込まれた「人生の最終段階における適切な意思決定支援の推進」

2024年09月08日 | 医療
2008年
こんな診療報酬が設定されました。

後期高齢者終末期相談支援料
 診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)(抜粋)B018 後期高齢者終末期相談支援料 200点 注 保険医療機関の保険医が、一般的に認められている医学的知見に基づき回復を見込むことが難しいと判断した後期高齢者である患者に対して、患者の同意を得て、看護師と共同し、患者及びその家族等とともに、終末期における診療方針等について十分に話し合い、その内容を文書等により提供した場合に、患者1人につき1回に限り算定する。

対象:75歳以上の後期高齢者
身体状況:回復の見込みが難しい
          (死が近い)状態
算定条件:終末期の治療の方針を
   話し合い、それを文章
          にして患者・家族らに渡す。
算定:200点(2000円)
結果:2008年4月開始後、国民から
   何故、75歳なのか
   文章を取り交わしたら変更
   できないのかなどなど・・
反発→ 6月に凍結→ 廃止


2019年11月
人生会議ポスターを厚労省は作成


一部の国民から反発→ 廃止



2024年6月
診療報酬改定の概要を発表

入院基本料の算定条件として
2025年5月末までに厚労省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた指針を作成すること




おお・・ついに
病院に国は振ってきたか~
予想していましたが・・

条件は、各病院に任されています。

入院基本料は
すべての入院患者さんに
適応される病院にとっては
とても大きなものです。

そこに
終末期の意思決定支援が
盛りこまれてきました。
最初は
指針を作成すればよいだけ
いずれ
それをどう実践しているか
実行性を評価対象としてくることでしょう。


年齢の制限は設けないこと

何を人生の最終段階とするか指針に落とし込むこと

身体の状況が変化すれば一旦決めたことも変わることを前提にすること

文書にして渡すことが目的ではなく共有することが目的になるようにすること

患者さんの意思決定を何よりも尊重すること

代理意思決定者はあくまでも患者さんの代弁者であることを大切にすること

など
要点は外さないようにしつつ
書きすぎないことが
大切だと感じています。

すべての病院が今、取り組んでいる内容です・・

紆余曲折の終末期の意思決定・・
どうぞ、適切に取り組まれていくことを社会からも見つめていってください。


Kohji AsakawaによるPixabayからの画像

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ヌマンタ)
2024-09-09 09:40:40
医院を顧問先に抱えているので、ここ数十年の厚生労働省のミスリードには、けっこう本気で怒っています。医療法人から持ち分(出資金)を奪おうとしたり、無理やり介護老人用の施設への転換を要求してきたりと馬鹿ばっかやっています。なので私なんぞ大きな声で「役所の言う事は聞かなくいいです」と指導しています。地方の医療を担う小さな診療所を無視した間抜けな行政指導なんぞ従えません。
返信する
Unknown (aruga)
2024-09-10 00:06:41
ヌマンタさん

現場のお声、なるほど……
貴重なコメント、ありがとうございました。

aruga
返信する
Unknown (makako12521726)
2024-09-12 21:33:34
私は今のところ、人生の最期の時を迎える方やそのご家族の気持ちにただただ寄り添ってケアを提供したいという現場の気持ちで関わらせてもらっています。
算定とかってあまりピンとこないのが正直な感想です。

行政と現場との目線は同じにはなり得ないのかなぁと思うことも多いので。
返信する
Unknown (aruga)
2024-09-13 00:05:15
@makako12521726 さん

現場の目線、コメント下さりありがとうございます!
来年6月から、病院の入院は影響を受けそうです。
返信する

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