緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

Clinical Practice Guidelines for Quality Palliative Care

2012年07月01日 | 医療

今、読み進めているもの

Clinical Practice Guidelines for Quality Palliative Care
第2版

2000年初頭、アメリカの緩和ケアに関連した学会や協会など5団体が集まり、
National Cnsensus Project for Quality Palliative Careというグループを結成し、
それまで、色々なところで作成されたガイドラインやマニュアルなどの
多数を整理するために、緩和ケアの世界地図に当たるガイドラインを作成しました。
2009年にその第2版が策定されました。

http://www.nationalconsensusproject.org/guideline.pdf

8つの領域からなりたっており、

ケアの構造とプロセス
身体的ケア
精神・心理的ケア
社会的な問題へのケア
スピリチャル、宗教的、実存的な問題へのケア
文化的な問題へのケア
死に直面した時のケア
ケアにおける倫理的、法的課題

最初、読み始めたとき、
こんなの当然なのに、なぜ、改めてガイドラインに??と思いました。
読み進めて、なるほど・・と思ったのは、

A病院の疼痛のマニュアル
B病院の呼吸困難感のアルゴリズム
C病院の患者登録票
D病院のソーシャルワーカーの評価表
E病院の遺族ケアプログラム
F病院のDN(A)Rの書式
G大学の卒後プログラムは、上記8項目でシラバスが構成
  ・
  ・
  ・

確かに、日本でも現在370程度のがん拠点病院には、
緩和ケアチームがあって、
マニュアルを整備することが求められており、
ある病院のものは、身体症状緩和を主体にしたもの
ある病院のものは、緩和ケアチームの手順書
ある病院のものは、倫理的な点にも言及したもの
と、
確かにばらついています。
それを整理するときに、
緩和ケアの項目がこのように整理されていると
どの項目のことを手順書にしたのか、
偏りも含め、一目瞭然です。
世界地図に相当し、
その中のどこの部分か整理できます。

最初は、ただただ英語との格闘だったのですが、
慣れてくるとやっと大枠がつかめるようになり、
このガイドラインの意味が見えてきました。




新理事会が始動しています。
将来構想委員会も設置されました。

私は昨年の11月の試験が終わったときから、
専門医の委員長は降りるお願いをしてきました。
半年以上かけて引き継ぐ調整をしてきたつもりでしたが、
簡単なことではありませんでした。
関係してくださった方々のご配慮に、
ただただ感謝です。

今後は、情報発信のあり方を考えてみたいとかねてから思っていましたので、
広報委員会の委員長として
今期は働かせて頂くこととなりました。
こうした場を与えていただけるのも
本当にありがたいことです。

つきましては、
学会会員で情報発信について興味がある方
HPやサイト作成、SNSなどに詳しい方いらっしゃいましたら、
是非、ご一報くださいますようお願いいたします。


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3 コメント

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日本のがんにおける課題 (くまごろう)
2012-07-02 00:55:46
昨夜(6月30日)に放送されたNHKスペシャル、「日本のがん医療を問う」ご覧になられましたか?
日本で認められている抗癌剤には限りがあること、そして、「がん対策基本法」との関係等、各都道府県に「がん拠点病院」は多くできたけれど、癌腫や医師の能力により、病院により、その特徴はさまざまであるという内容でした。
日本は、薬にしても研究にしても、世界の中で決して劣ることのない国でありながら、国の政策は、法的拘束力を有してはいても、なかなか普及せず、法案だけが先走っているような気がします。しかし外国においては、癌腫や治療、さらには家族のケアについてのガイドラインがきちんとできていたり、スゴイと思います。
日本ももう少しせっかく法律ができたので、その法律が生かせるような政策が普及すればいいのではないかと思いました。それでも日本においては難しい課題ばかりです。」
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法的拘束力 (くまごろう)
2012-07-02 18:28:40
6月30日土曜日に放送されたNHKスペシャル「日本のがん医療を問う」ご覧になられましたか?
日本の癌医療、「がん対策基本法」ができて、がん拠点病院が整備されましたが、病院による格差があったり、日本で使用できる薬が限られている等、問題点があげられていました。
「法律」という本来ならば拘束力が強い法案がありながら、なかなか進まない癌医療。
しかし日本は、研究にしても医療においても、決して他国に劣るものではなく、さきがけであることも多いと言われます。
他国の癌医療のやり方が、必ずしも日本で受け入れられるとは限りませんが、患者さんに必要な何かが、もっと法律の中に盛り込まれることが日本には必要なのではないかと思いました。
癌医療。予防も治療もケアも、大きく動いて欲しいものです。
返信する
くまごろうさん (aruga)
2012-07-08 23:33:18
コメントありがとうございました。
海外NGOから日本の疼痛事情のインタビューを受けたとき、法律があるということの強さを感じました。推進力になり切れていないのは確かに事実ですね。政府だけにお願いするのではなく、社会が大人になって進めていけるよう成熟せねば。。と思いました。
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