放射線治療照射の副作用の一つに悪心・嘔吐があります。
どうして吐き気が起きるのかといった機序から、それぞれの対処方法の概略
臨床上、解決したい疑問をまとめた一覧
クリニカルクエスチョンを頭文字をとって、CQと言います。
ここには18個のCQがあり、各CQ毎にその根拠と結論がまとまっています。
薬物治療(抗がん剤、化学療法)の悪心とともに、放射線治療の悪心も記載されています。
CQ10:放射線治療による悪心・嘔吐はどのように治療するか
放射線治療による悪心・嘔吐のリスク分類および治療法
リスク
リスク
分類
(頻度) ___照射部位______治療方法
高度 >90% | 全身照射(TBI),全リンパ節照射(TNI) | 予防的5-HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾン |
中等度 60~90% | 上腹部,半身照射(HBI),上半身照射(UBI) | 予防的5-HT3受容体拮抗薬±デキサメタゾン |
軽度 30~59% | 頭蓋,頭蓋脊髄,頭頸部,胸部下部,骨盤 | 予防的または症状発現後5-HT3受容体拮抗薬 |
最小度 <30% | 四肢,乳房 | 症状発現後のドパミン受容体拮抗薬 または5-HT3受容体拮抗薬 |
脳転移で脳圧亢進症状がすでに出ている患者さんでした。
頭痛、悪心は脳圧亢進症状の代表的な症状です。
ステロイド、高浸透圧点滴で軽快してきましたが、髄膜播種もわかり、ここから全脳照射で放射線治療が開始となりました。
総線量としては少なくない状況でした。
悪心が起きてしまうと食事が摂れなくなるなど全身の衰弱を進行させてしまいますから、いかに悪心を抑えるかということはとても大切なことになります。
グラニセトロン(2㎎)1錠 放射線治療の1時間前に内服
という予防投与を開始し、幸い、悪心は強く出ることなく、照射治療を行うことができました。
この予防投与方法は、保険適応で認められている方法です。
治療がまずは完遂できること・・
緩和ケアでは、このような支持療法の応援も今年の抱負の一つです!
sungho kimによるPixabayからの画像