江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

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「福島県耶麻郡誌」中の怪異伝説  その5

2023-06-10 23:31:12 |  伝説

「福島県耶麻郡誌」中の怪異伝説  その5

                   2023.6

21.閼伽井(あかい)
恵日寺(えにちじ)金堂の北にあり。
昔、(弘法大師)空海が修法の閼伽(あか:水のこと)に用いたと言う。

訳者注:閼伽アカは、仏教用語であり、ラテン語のAquaアクアと同じで、水の意味である。この後は、英語にも入っていて、更に現代日本語にも入ってきている。
アクアaquaは、Aqua Lung(アクアラング、水肺),Aquarium(アクアリウム:水槽、水族館)、その他、施設名、商品名に多く用いられておいる。
アクア・ラングが、日本語の閼伽アカと同根の単語である事は、面白いことである。
仏教は、古代インドに発した宗教であるので、仏典の多くはサンスクリット(梵語)=古代インド語でかかれている。サンスクリットは、インドヨーロッパ語族であって、ヨーロッパ語と類縁関係がある。ラテン語(古代イタリア語)のAqua と 仏教用語のアカ(Argha)とが、似ているのはそのためである。また、サンスクリット文字を梵字と言い、サンスクリット文を梵文と言う。
寺院などに、梵字が刻まれた碑などがあるが、我々には読めない文字である。それで、昔の人には、梵字に対して、何か神秘的なものを感じたのであろう。
刻まれている梵字の多くは、ア阿(A)である。
すなわち、サンスクリットのアルファベットの最初の文字である。

 

22.三鈷藤(さんこふじ)
閼伽井(あかい)の上に在あった。
昔、空海が三鈷(さんこ:仏具)をなげうった時にかかった藤であると言う。

 

23.金上盛備墓  
磐梯村(磐梯町)字(あざ)大寺の北一町五十間(190m)余りに在り。
摺上原(すりあげはら)の役に忠死した金上遠江守盛備を葬った墓である。
その霊威は、今にも残っている。
瘧(おこり)を病む者は、竹や木で太刀・長刀を作り、報賽(ホウサイ:お礼参り)すれば、その霊験があると言う。

 

24.媼石(おうないし)  
磐梯村字(あざ)摺上(すりあげ)新田の西二町(約220m)余りにある。
周(めぐ)りは、一丈(約3m)余り。
何れの頃にか、毎夜化して女となった故に、この名があると言う。

 

25.姥山
磐梯村字布藤(ふとう)の村の東十町(約1100m)ばかりに大谷地と言う所にある。
いずれの頃にか、山上に姥明神の社があると言い伝えられている。
山の中腹に、二十間(約36m)四方の平地がある。
昔の礎石が、今でも残っている。
姥明神の拝殿の跡であると云う。



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