「福島県耶麻郡誌」中の怪異伝説 その6
2023.6
26.猿楽沼(さるがくぬま)
布藤の村の南四町(約440m)ばかりにあり。
これより北に??僧(こうそう)沼がある。
この沼より、年老いたるコウ??僧が白馬に乗って猿楽沼に行ったと云ふ
編者注:耶麻郡誌には、カウソウ=こうそう、とルビがふってある。
??は、上は、髟(かみかんむり)、下は害。「漢和大辞典」三省堂、明治26年、には、音「カツ」「ケチ」とある。意味は、かぶろ(禿)とある。
すると、こうそうは、髪の毛のない僧ということになる。しかし、僧というのは、剃髪しているものです。
こうそうとは、奇妙な名前ですね。)
27.道徳清水(どうとくしみず)
同村字一沢の村東五町(約550m)にある。
昔、道徳と言う富豪がいた。
この水を汲ませて、常に飲んでいたと言う。
28.殺生石(せっしょうせき)
翁島村(今は、猪苗代町翁島オキナジマ)字土田新田の村西一町(109m)余りにある。
高さ一間半(270cm)、長さ三間半(450cm)。
那須野の殺生石が、源翁(げんのう)和尚に打たれて、この翁島に飛んで来た。
また、源翁が来て、杖で打ち破ったと言う。
29.人取石(ひととりいし)
土田新田の村の北 二十間(36m)にあり。
高さ七尺(210cm)余り、周(めぐ)り九間(約15m)余りである。
毒のある石であって、往来の者がこの毒にあたって死ぬこともあると言う。
何人(なにびと)かの歌に、
「会津山 麓(ふもと)の野辺の 傍(かたわら)に 人取石の あるとこそきけ」
の一首がある。
30.駒形原馬頭観音堂(こまがたはら ばとうかんのうどう9
姥堂村(うばどうむら:今は喜多方市の一部)字(あざ)上江の村の東三町(約330m)余りにあり。
昔、源義家が安倍氏を討った時に、願いごとがあって、熊野三社を河沼郡熊野堂村(会津若松市河東町熊野堂)に建立した。
その愛する所の馬を献じて神馬とし、駒形原に放牧した。
その後、馬がいなないて天に昇り、雲の中に声があること七日間であったそうである。
よって、原を駒形原と名づけ、馬頭観音を祭り、この村の鎮守とした。
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