績古事談に見える安倍晴明
2022.4
丹波守貞嗣(たんばのかみただつぐ)は、北山に詣でて百寺の金鼓を打ったが、
洞照(とうしょう:または登照)と言う人相見がこう言った。
「あなたの顔色はよくない、恐らくは、鬼神のために犯されたのであろう。」
貞嗣は、
「心地が悪いことは無い。いつもと変わりない。」
と答えた。
洞照が、「早く、お帰りなさい。」
と言っているうちに、貞嗣は、急に、気絶した。
それから、回復してから家に帰った。
するとモノノケが現れて、
「つまらないことだが、我らが遊んでいる前を通ったので、おまえの胸を踏みつけたのだよ。」
と言った。
これは、天狗のしわざであった。
それから、三日すぎて死んだのだ。
洞照の人相見のあらたかさは、大変勝れたものであった。
睛明は大舎人(おおとねり=官職)であったが、笠をかぶって勢田橋を通りかかった。
滋光(じこう)は彼を見て、
「あの人は、一道の達人であることを、看破した。」
そのことを、睛明に告げた。
それを聞いて、晴明は、陰陽師の具?(口+廣)(ぐこう)の家に行ったが、相手にされなかった。
また、賀茂保憲(かものやすのり)のもとに行った。すると、保憲は睛明の人相をみて、大事にもてなしてくれた。
睛明は、陰陽の術の達人ではあったが、世渡りの才覚は、さほど優れてはいなかった。
睛明は賀茂光栄(かものよしみつ)と言い争った事があった。
睛明は、保憲のもとにいた時、「光栄に遅れをとったことはない。」と言った。
光栄は、「そんなことはない。」と反論した。
睛明は、「保憲様は、百家集を私にくれた。」と言った。
すると、光栄(よしみつ)は、「私も百家集を持っている。」と、これだ、と見せた。
また、「歴道も伝えられた。」と言った。
2022.4
丹波守貞嗣(たんばのかみただつぐ)は、北山に詣でて百寺の金鼓を打ったが、
洞照(とうしょう:または登照)と言う人相見がこう言った。
「あなたの顔色はよくない、恐らくは、鬼神のために犯されたのであろう。」
貞嗣は、
「心地が悪いことは無い。いつもと変わりない。」
と答えた。
洞照が、「早く、お帰りなさい。」
と言っているうちに、貞嗣は、急に、気絶した。
それから、回復してから家に帰った。
するとモノノケが現れて、
「つまらないことだが、我らが遊んでいる前を通ったので、おまえの胸を踏みつけたのだよ。」
と言った。
これは、天狗のしわざであった。
それから、三日すぎて死んだのだ。
洞照の人相見のあらたかさは、大変勝れたものであった。
睛明は大舎人(おおとねり=官職)であったが、笠をかぶって勢田橋を通りかかった。
滋光(じこう)は彼を見て、
「あの人は、一道の達人であることを、看破した。」
そのことを、睛明に告げた。
それを聞いて、晴明は、陰陽師の具?(口+廣)(ぐこう)の家に行ったが、相手にされなかった。
また、賀茂保憲(かものやすのり)のもとに行った。すると、保憲は睛明の人相をみて、大事にもてなしてくれた。
睛明は、陰陽の術の達人ではあったが、世渡りの才覚は、さほど優れてはいなかった。
睛明は賀茂光栄(かものよしみつ)と言い争った事があった。
睛明は、保憲のもとにいた時、「光栄に遅れをとったことはない。」と言った。
光栄は、「そんなことはない。」と反論した。
睛明は、「保憲様は、百家集を私にくれた。」と言った。
すると、光栄(よしみつ)は、「私も百家集を持っている。」と、これだ、と見せた。
また、「歴道も伝えられた。」と言った。
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