睛明の母は狐
2022.4
睛明の出自、母については、面白い説がある。
本人が自身の神格化を計ったのか、後生の人が神格化したものであろう。
母は、狐だが、ただの狐ではなく稲荷大明神である、だから神通力があるのだろう、と。
「燕石雑志」(滝沢馬琴先生著)には、こうある。
ホキ抄というものに、睛明の母は、人ではなく物の怪であった、とある。あちこちさまよい歩く遊女となったが、猫島(茨城県筑西市)で、ある人に引き留められ、三年ほどとどまったが、その間に今の睛明が生まれた。
童子(睛明)が三歳の暮に、
歌の一首を、
恋いしくば たづね来て見よ 和泉なる 志の田の森の うらみ葛の葉
と詠んで、かき消すように消え失せた。
睛明が、上洛したおりに、まず母が詠んでいた歌は、本当なのであろうかと思った。
そこで、和泉の国(大阪府和泉市)へ行き、しの田の森を訪ねて入ってみると、社(やしろ:今の信太森神社)があった。
伏し拝んで、母の様子を教えてくれるよう祈った。
すると、年老いた狐が一匹、睛明の前に出てきた。
「我こそ、汝の母なり。」と言って、消えて行った。
これが、すなわち、しの田の明神であった、と云々。
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