安倍睛明の術くらべ
安倍睛明が、藤原道長の御前で、術くらべをした話
訳者注:この話は、江戸時代に流行した「百物語」の一つである、「諸国百物語」にある。睛明は、平安時代の人であるが、睛明についての逸話は、江戸時代にも広まった。
元の話とは、少し違っている。
以下
道長の御前にて三人の術くらべの事
長徳年中(995年から999年)の相国 藤原道長の前に、比叡山の僧の欽朱(きんしゅ)と安倍睛明と医師の重正(しげまさ)と、三人が同座していたことがあった。
お茶受けに瓜が出された。
睛明が見て、「この瓜のうちに、毒がある瓜がございます。」と占った。
それを道長が聞いて、「それでは、この沢山ある瓜のうちのどれに毒があるのか?」と質問した。
欽朱が、瓜に向かって、印を結んで、呪文を唱え、すぐに一つの瓜を取り出した。
すると重正は、ふところから針を取り出して、その瓜を刺すと、この瓜は動くのをやめた。
道長がこの瓜を割って見ると、そのなかに蛇が一匹いた。
見ると、蛇の目に針が刺さって死んでいた。
三人が同じように優れた術に通じていた事に、道長は、大いに感心したとの事である。
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