江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

『浪華奇談』怪異之部 3.龍巻(たつまき)

2024-03-02 19:57:17 | キツネ、タヌキ、ムジナ、その他動物、霊獣
『浪華奇談』怪異之部 3.龍巻(たつまき)
                  2024.3
龍は、悪臭を嫌う
                 

去る文化十一年(1814年)八月、私は、難波から西の方へ船で行った。
ふと北の方を見ると、黒雲の一群が私が乗ってる船の方へ降りて来た。
船頭があわただしく指示して、
「すわ、龍巻なり。用意の物を火にいれよ。」と大声で、叫んだ。
船員たちは、ある物を取り出して火中に投じた。その悪臭は、ひどかったが、かの雲気が今や船に迫ると見えていたが、たちまちに東方へ走り去った。
それて初めて平安になった。

乗合の旅人が船頭にそのわけを尋ねると、船頭がこう言った。
「只今の黒雲は、龍巻と言うもので、龍が上を往き来きしているものです。それが、船のあたりへ近づく時は、いかなる大きな船でも、空中に釣り揚げられる事が、しばしばあります。
人の毛髪を焼くと悪臭がします。龍は、神のような物でして、この臭気を嫌って逃げ去るものです。」と。
            


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