『浪華奇談』怪異之部 3.龍巻(たつまき)
2024.3
龍は、悪臭を嫌う
去る文化十一年(1814年)八月、私は、難波から西の方へ船で行った。
ふと北の方を見ると、黒雲の一群が私が乗ってる船の方へ降りて来た。
船頭があわただしく指示して、
「すわ、龍巻なり。用意の物を火にいれよ。」と大声で、叫んだ。
船員たちは、ある物を取り出して火中に投じた。その悪臭は、ひどかったが、かの雲気が今や船に迫ると見えていたが、たちまちに東方へ走り去った。
それて初めて平安になった。
乗合の旅人が船頭にそのわけを尋ねると、船頭がこう言った。
「只今の黒雲は、龍巻と言うもので、龍が上を往き来きしているものです。それが、船のあたりへ近づく時は、いかなる大きな船でも、空中に釣り揚げられる事が、しばしばあります。
人の毛髪を焼くと悪臭がします。龍は、神のような物でして、この臭気を嫌って逃げ去るものです。」と。
2024.3
龍は、悪臭を嫌う
去る文化十一年(1814年)八月、私は、難波から西の方へ船で行った。
ふと北の方を見ると、黒雲の一群が私が乗ってる船の方へ降りて来た。
船頭があわただしく指示して、
「すわ、龍巻なり。用意の物を火にいれよ。」と大声で、叫んだ。
船員たちは、ある物を取り出して火中に投じた。その悪臭は、ひどかったが、かの雲気が今や船に迫ると見えていたが、たちまちに東方へ走り去った。
それて初めて平安になった。
乗合の旅人が船頭にそのわけを尋ねると、船頭がこう言った。
「只今の黒雲は、龍巻と言うもので、龍が上を往き来きしているものです。それが、船のあたりへ近づく時は、いかなる大きな船でも、空中に釣り揚げられる事が、しばしばあります。
人の毛髪を焼くと悪臭がします。龍は、神のような物でして、この臭気を嫌って逃げ去るものです。」と。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます