「動物界霊異誌」中の蝦蟇(ガマがえる) その1
蝦蟇の魂で遊ぶ
蝦蟇がえるの魂で遊ぶ、ということが「動物界霊異誌」の蝦蟇の項にあります。
本ブログは、江戸時代の物を扱ってはいるのですが、大変面白いので、紹介します。
なるほど、面白いやり方ですね。
ガマの体から蒸発してくる気体を受けて、袋にためる。それの温度が下がると、気体と個体の混じった状態、つまり煙状になったのを、小出しにする。
その煙の一塊をガマの魂に見立てる、という遊びですね。
以下、本文。
数年前、奇術師の天一(松旭斉天一:1853~1912年)が、洋行(実際には上海に行ったことがあるだけ)の土産話として、奇妙なことを雑誌に書いている。
これは、いかにも奇術師らしい話で、一寸聞くと眉唾ものらしい話である。しかし、天一はこれぱかりは、ウソや手品ではない、疑う人は、検証実験をすると良い。ウソであったら、百円進呈する、とまで附け加えての発表であった。
そうであるから、満更(まんざら)ウソではあるまい、と言うことと思われる。
その話と言うのは、こうである。
蝦蟇を宙づりにして、下から火を焚いて焙(あ)ぶると、熱くなってもがき出す。
(ゆでがえるでなく、焼き蛙。日本の一部の識者が、ウクライナ侵攻でも、その他の異常な諸国の振る舞い・嘘、自国民他国民への圧迫・虐殺もに対しても、ゆで蛙状態でいるのは、恐ろしいことである。:編者の意見)
すると、蝦蟇の魂が気体になって、体から脱け出てゆく。
この時、ゴムの袋、又は豚の膀胱(袋状)などを蝦蟇の頭の上にかぶせるようにして、気体を吹い込ませる。
この後に、ゴムの袋、または、豚の膀胱の口を強く締めて閉じる。こうすると蝦蟇の魂を保存する事ができて、夜の楽しみの用意が出来る。
先づ障子を二三枚、裏を出して列(なら)べ立てるか、又は活動写真用の映写幕(スクリーン)を張るかして、その前面にあの袋を持ってくる。
その袋の口には、細い竹の管を挿込んで置いて、蝦蟇の気体化した魂の漏れ出る道をつけて置く。
さて、袋のロを障子又は映写幕(スクリーン)の方に向けて、サッとその下部を握ると、管の先から、シャボン玉が出るように、煙細工(けむりざいく)のような蝦蟇が一個飛ぴ出して行く影が映る。
ニ度握れぱ二個出で五度握れぱ五個出る。
大小濃淡、握りかたに応じて、蝦蟇の魂の気のある限り、何十個の煙の蝦蟇が飛ぴ出してくる。・・・
蝦蟇の油や小便は、古来我国や中国で、種々なことに使用される、と言われている。
しかし、西洋のように、その魂を使う、という考えには及ぱない。
天一の土産話が、果して実際に西洋に行はれているならば、西洋人も案外話せる人たちである。
丹念に捜せば、西洋にも何所(どこ)かに、蝦蟇仙人がいるかもしれない。
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