新説百物語巻之五 10、鼻より龍出でし事
2023.8.
武州(武蔵の国:今の埼玉、東京)の事である。
ある屋敷の若党が昼寝をしていたが、鼻の内がこそばゆく、起きて鼻をかんだ。
その時、鼻の中から飛虫のようなのが飛び出て畳の上に落ちた。
不思議に思って枕もとの茶わんでふせ置き、又一眠りした。
目を開けて思い出し、茶わんをのけてみれば甚だ大きくなり、茶わん一杯になった。
屋敷の主人がその事を聞いて桶に入れて、ふたをしておいた。その日の夕方に見ると、桶一杯の大きさになっていた。
更に大きな半切桶に入れて置けば、これにも一杯大きさに成長していた。
何となく恐ろしくなり、明日は河へ捨てようと庭に出して、大石をおもしにしておいた。
しかし、夜が明けてみれば、石もふたもそのままで、その物はどこに行ったのか見えなくなった、との事であった。
これほど、霊妙なものはないであろう。
もしかしたら、龍ではないのかと話した。
2023.8.
武州(武蔵の国:今の埼玉、東京)の事である。
ある屋敷の若党が昼寝をしていたが、鼻の内がこそばゆく、起きて鼻をかんだ。
その時、鼻の中から飛虫のようなのが飛び出て畳の上に落ちた。
不思議に思って枕もとの茶わんでふせ置き、又一眠りした。
目を開けて思い出し、茶わんをのけてみれば甚だ大きくなり、茶わん一杯になった。
屋敷の主人がその事を聞いて桶に入れて、ふたをしておいた。その日の夕方に見ると、桶一杯の大きさになっていた。
更に大きな半切桶に入れて置けば、これにも一杯大きさに成長していた。
何となく恐ろしくなり、明日は河へ捨てようと庭に出して、大石をおもしにしておいた。
しかし、夜が明けてみれば、石もふたもそのままで、その物はどこに行ったのか見えなくなった、との事であった。
これほど、霊妙なものはないであろう。
もしかしたら、龍ではないのかと話した。
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