江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

新説百物語巻之五 9、薪の木こけあるきし事 

2023-08-05 22:38:21 | 新説百物語
新説百物語巻之五 9、薪の木こけあるきし事  
   薪が消える話   2023.8.5
因州(因幡。今の鳥取県)の人の語ったことである。
その人の伯父の家には、昔から代々奇異なる事があった。
薪を買って、十束を積んでおき、九束めを積んである部屋へ取りにゆくと、十束めの薪木が残っているはずであるが、帰え失せていた。

この事は、むかしより今に替る事はなかった。
二十束、三十束を買って置いていても消え失せるせる薪木は、必ず十束めの薪であった。

それで、考えて工夫をし、常時九束づつ取り置けば、何の変わったこともなく、薪が消え失せる事もなかった。
しかし、九度めの薪木を取り置きいた時の事である。しばらくして、九束の薪木が一つ残らず消え失せた。

仕方が無いので、今に至るまで、十束づつ買い取っているが、一束が消えるのは、そのままにしている、との事である。

怪しく不思議な事である。


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