新説百物語巻之五 8、桑田屋惣九郎の屋敷の事
2023.8
京の油小路に、桑田屋惣九郎という茶屋があった。
夫婦とむすこ一人小者(こもの)一人の四人で暮らしていた。
ある朝、父親の友心が朝早く起きて小便に出たが、屋敷の下に火の影が見えた。
ふしぎに思ってのぞいて見れば、縁の下に新しいしい土器があって、それに火がともしてあった。
いまだ誰も起きていないのに、何事であろうかと思い、誰か起きていないかと見たが、誰一人も目がさめていなかった。
そのままにして置いたが、又一日二日過ぎて、母親が二階へ上がると、麻の上下を着た男と打ちかけわた帽子の女とが、差しむかいにいた。
驚いて、二階より飛び下りて、その様子をこうだと告げたので、惣九郎や皆が一緒に2階に上がって見た。
すると、一対の燭台に小袖をきせ、上下打掛をきせてあった。
やっとのことで片づけ、二階から四人とも下りたが、四人のものの帯に、紙を四手を切ったのが付いてあった。
すこしの間に、どうしてどのように付けたのだろうかと肝をつぶした。
ふと見ると、又々 縁の下に、火があった。
よくよくみれば、新しい小さなお宮があって、燈明がともされていて、洗い米が供えてあった。
又、その翌朝おきてみると、父親の友心の夜着の下には小者が入っていて、むすこの惣九郎の夜着のすそには母親を入っていた。
目をさまして、皆々きもをつぶした。
その二十日ばかりの内に、いろいろさまざまの怪しい事が起こった。ある日は、排水溝から何かが出て来たと、小者が言った。それで、追いかけたが、もう何も見えなかった。
それから、怪しい事は、やんだ。
しかし、果たして両親と惣九郎の三人は、相次いで亡くなった。
2023.8
京の油小路に、桑田屋惣九郎という茶屋があった。
夫婦とむすこ一人小者(こもの)一人の四人で暮らしていた。
ある朝、父親の友心が朝早く起きて小便に出たが、屋敷の下に火の影が見えた。
ふしぎに思ってのぞいて見れば、縁の下に新しいしい土器があって、それに火がともしてあった。
いまだ誰も起きていないのに、何事であろうかと思い、誰か起きていないかと見たが、誰一人も目がさめていなかった。
そのままにして置いたが、又一日二日過ぎて、母親が二階へ上がると、麻の上下を着た男と打ちかけわた帽子の女とが、差しむかいにいた。
驚いて、二階より飛び下りて、その様子をこうだと告げたので、惣九郎や皆が一緒に2階に上がって見た。
すると、一対の燭台に小袖をきせ、上下打掛をきせてあった。
やっとのことで片づけ、二階から四人とも下りたが、四人のものの帯に、紙を四手を切ったのが付いてあった。
すこしの間に、どうしてどのように付けたのだろうかと肝をつぶした。
ふと見ると、又々 縁の下に、火があった。
よくよくみれば、新しい小さなお宮があって、燈明がともされていて、洗い米が供えてあった。
又、その翌朝おきてみると、父親の友心の夜着の下には小者が入っていて、むすこの惣九郎の夜着のすそには母親を入っていた。
目をさまして、皆々きもをつぶした。
その二十日ばかりの内に、いろいろさまざまの怪しい事が起こった。ある日は、排水溝から何かが出て来たと、小者が言った。それで、追いかけたが、もう何も見えなかった。
それから、怪しい事は、やんだ。
しかし、果たして両親と惣九郎の三人は、相次いで亡くなった。
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