ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

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子宮筋腫の診療ガイドライン その8

2009-01-05 | 子宮筋腫
10. Concern of possible complications related to fibroids in pregnancy is not an indication for myomectomy, except in women who have experienced a previous pregnancy with complications related to these fibroids.

11. Women who have fibroids detected in pregnancy may require additional fetal surveillance when the placenta is implanted over or in close proximity to a fibroid.

妊娠と筋腫に関する勧告である。

10.は、以前の妊娠において筋腫による合併症(流早産など)の経験がなければ筋腫核出術は必要ないとのべている。筋腫合併妊娠では切迫流産や切迫早産などで入院管理が必要になることが多いように思われる。しかし、それらでも適切に管理できれば、満期産になるものがほとんどで、実際に流早産の原因になるのはかなり少ない。

11.は、胎盤が筋腫の上に付着しているときには合併症(流早産、前期破水、常位胎盤早期剥離)が起こりやすいので注意が必要であるという内容である。筋腫合併妊娠は多く診てきたが、(入院管理は別として)合併症がおこることはほとんどなかった。

未経妊女性の子宮筋腫の場合、妊娠を前提として考えて手術適応を決めるのは難しい。このガイドラインから考えれば、将来の妊娠のために筋腫を核出する必要はないということである。
コメント
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