TLMの他に、腹腔鏡を用いて行う筋腫核出術としては腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術(laparoscopically assisted myomectomy, LAM;ラムと読む)がある。これは、腹腔鏡を併用して下腹部に3-5cm大の小切開を加えて筋腫核出を行うもので、子宮の縫合や筋腫の分割回収は経腹的に行うことになるので厳密に言えば開腹手術の一種である。
・腹腔鏡下での手術操作が少ないため(特に体腔内で縫合しなくてもよい)、腹腔鏡下での操作が比較的容易になる。
・TLMをするのには無理があるような筋腫の手術(大きな筋腫、多発性筋腫)でも適応できることが多い。
などの利点がある。
しかしながら、非常に小さな切開部位から手術操作を行うものであるから、筋腫が大きかったり変性をおこしていたり、また非常に数の多いものだったりすると、手術が予想外に困難であることもある。多量の出血をきたしたり、また術後血腫ができたり、変性筋腫では取り残してしまったりすることもありうる。術後癒着も開腹と変わらないだろう。(むしろ狭い術野でラフな手術操作をすれば、かえって開腹より癒着しやすいかもしれない。)
そういう意味では何でもかんでもLAMでできるわけではないが、TLMではどうかな?(時間がかかりすぎるとか)という症例がLAMでスムーズにできることもある。(とくに大きな漿膜下筋腫など)
腹腔鏡下手術に固執して、非常に大きな筋腫や多発性筋腫でも腹腔鏡を希望して来る人も少なくないが、客観的に考えるとLAMの適応は"TLMと同等かもう少し大きなものまで"にしていたほうがいいかもしれない。本来、開腹手術でもかなり難しいような手術はLAMでも簡単にできるわけがない。