ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

手術を希望される方はこちらをご覧ください。

医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

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子宮筋腫の診療ガイドライン その18

2009-01-21 | 子宮筋腫
TLMの他に、腹腔鏡を用いて行う筋腫核出術としては腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術(laparoscopically assisted myomectomy, LAM;ラムと読む)がある。これは、腹腔鏡を併用して下腹部に3-5cm大の小切開を加えて筋腫核出を行うもので、子宮の縫合や筋腫の分割回収は経腹的に行うことになるので厳密に言えば開腹手術の一種である。

・腹腔鏡下での手術操作が少ないため(特に体腔内で縫合しなくてもよい)、腹腔鏡下での操作が比較的容易になる。
・TLMをするのには無理があるような筋腫の手術(大きな筋腫、多発性筋腫)でも適応できることが多い。
などの利点がある。

しかしながら、非常に小さな切開部位から手術操作を行うものであるから、筋腫が大きかったり変性をおこしていたり、また非常に数の多いものだったりすると、手術が予想外に困難であることもある。多量の出血をきたしたり、また術後血腫ができたり、変性筋腫では取り残してしまったりすることもありうる。術後癒着も開腹と変わらないだろう。(むしろ狭い術野でラフな手術操作をすれば、かえって開腹より癒着しやすいかもしれない。)

そういう意味では何でもかんでもLAMでできるわけではないが、TLMではどうかな?(時間がかかりすぎるとか)という症例がLAMでスムーズにできることもある。(とくに大きな漿膜下筋腫など)

腹腔鏡下手術に固執して、非常に大きな筋腫や多発性筋腫でも腹腔鏡を希望して来る人も少なくないが、客観的に考えるとLAMの適応は"TLMと同等かもう少し大きなものまで"にしていたほうがいいかもしれない。本来、開腹手術でもかなり難しいような手術はLAMでも簡単にできるわけがない。

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