ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

手術を希望される方はこちらをご覧ください。

医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

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子宮筋腫の診療ガイドライン その4

2009-01-01 | 子宮筋腫
4. Hysteroscopic myomectomy should be considered as first-line conservative surgical therapy for the management of symptomatic intracavitary fibroids.

5. It is important to monitor ongoing fluid balance carefully during hysteroscopic removal of fibroids.

子宮鏡下筋腫核出術についての勧告である。(当院では、この手術は行っていない。)子宮内腔に突出した子宮筋腫は、過多月経や不正出血、不妊や反復流産の原因になることが多い。その中で、筋腫の基底部の面積の小さなものに対しては、子宮鏡下筋腫核出術のよい適応になる。

腹腔鏡下手術で粘膜下筋腫を切除した場合、子宮筋層を深く切開することになるため、術後の分娩については帝王切開となることが多い。一方、子宮鏡下手術で行った場合、子宮内腔に大きく突出した筋腫であれば子宮筋層に対する侵襲は小さくなるため経膣分娩も可能なことが多い。そういう点では子宮鏡下手術のほうが優れている。

しかしながら、勧告の中にわざわざ術中の電解質バランスのチェックの項目を加えているように、低ナトリウム血症(潅流液の過度の吸収による)、子宮穿孔や術中出血など重大な合併症もありうるので、どういう術式を選択するかについては適切でなければならない。筋層内筋腫に近いような粘膜下筋腫では、開腹もしくは腹腔鏡下による筋腫核出術を行う方が賢明であろう。
コメント
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