ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩するのか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

手術を希望される方はこちらをご覧ください。

医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

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子宮筋腫の診療ガイドライン その6

2009-01-03 | 子宮筋腫
7. Uterine artery occlusion may be offered as an alternative to selected women with symptomatic uterine fibroids who wish to preserve their uterus.

8. Women choosing uterine artery occlusion for the treatment of fibroids should be counselled regarding possible risks, and that long-term data regarding efficacy, fecundity, pregnancy outcomes, and patient satisfaction are lacking.

子宮動脈閉塞術にはいろいろな方法があるが、もっともポピュラーなのは動脈カテーテルによる子宮動脈塞栓術(UAE)である。腹腔鏡による子宮動脈結紮もあるが、本邦では普及していない。UAEは私の施設では施行していない。日本ではもっとも問題なのは保険適応にならないので、治療費は自費で50-60万円くらいかかることである。(生命保険の特約では、給付金が出る者もあるらしい。)

UAEは、子宮温存を希望する患者で腹腔鏡下手術が容易ではないと判断される場合によい適応になるかもしれない。とくに多発性筋腫で取り残しが出そうな場合には良さそうに思える。子宮が大きな場合、頸部に筋腫があって膣動脈からの栄養を受けていると考えられる場合などでは、良い適応かどうかはよくわからない。

妊娠や不妊治療に対する予後は明らかになっていないので将来的に挙児希望がある場合の適応は慎重であるべきだが、最近では妊娠分娩例の報告も出てきていて、あまり問題はないのかもしれない。
コメント
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