演芸見ブんログ

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08/06/05 宝井琴調の会 “新旧火消し噺” (お江戸日本橋亭)

2008-06-05 | 講談協会
宝井琴柑…『牛若丸と弁慶 五條の橋の上の巡り合い』

神田山緑…『寛永宮本武蔵伝 狼退治』

立川吉幸…『幇間腹』

宝井琴調…『は組小町』(長谷川伸・作)

《お仲入り》

日向ひまわり…『加藤孫六 出世馬喰』

宝井琴調…『火消しと男爵』(志賀虚舟・作)


そろそろ講談が聴きたくなり、浅草に未練を残しながらも日本橋へ。
ひまわり先生と琴柑さんが出るんじゃ、外せませんな!

琴柑さんは弁慶と牛若丸の出会いの一席。
相変わらず口跡が実にハッキリしているので非常に聴き易い。
聴き易いから情景が頭の中にハッキリ浮かんで来る。
開口一番という任を見事に果たしたと言えるでしょう

山緑さんはおなじみの「宮本武蔵伝」から。
この読み物は神田きらりさんで何度も聴いているだけに、こちらも心地良く聴けた一席でした

吉幸さんは「おばあさんのスイミングスクール」の小噺や、落語界の前座が高齢化しているマクラで笑いを取ります。
増えている落語家と対照的に数少ない“幇間”の話題が出たので、「鰻の幇間」かな?と思いましたが『幇間腹』でした。
講談2本の後に落語という、普段の定席と違うパターンは新鮮ですね。

琴調先生の1席目は、「瞼の母」や「一本刀土俵入り」、「沓掛時次郎」でおなじみ長谷川伸先生の『は組小町』
「女の一念岩をも通す」を地で行く内容で、惚れた男を殺された恨みを見事に火消しで果たすという、女性の情の深さを表した一席でした。

お仲入りの後はひまわり先生が颯爽と登場!
以前に馬琴先生とひまわり先生で聴いた事がある読み物ですが、加藤孫六嘉明が出世する運命を鮮やかに表現していました!
孫六が14歳の時に“徳”を積んだそうですが、
『人間、徳を積むは十四の時にあり』
という言葉(?)の説明で、ひまわり先生が、
「徳という字を分解すると、ぎょうにんべんに“十”“四”の“心”と書きます」
と言っていました。
ウソかマコトかわかりませんが、話のタネにはなりそうですね!

琴調先生の2席目は1932(昭和7)年の「ロサンゼルス五輪」と「白木屋火災」を融合させた読み物。
まずは「ロサンゼルス五輪」の馬術で金メダルを獲った西竹一男爵(バロン西)の物語に、クリスマスイルミネーションが原因で起きた「白木屋火災」に出動した消防団員(火消し)の物語。
この2人をコラボレートさせるという斬新な内容で、「オリンピックに出場した軍人」と「火消しに命を賭ける男」という、およそ相容れないような結び付きを楽しく聴くことができました

ここで私の反省点を一つ。
琴調先生が2席目の高座に登場するなり、
『皆さん、今日はお勉強です。新しい真打が出て来たら、“おめでとう!”って声を掛けてあげてくださいよ!』
通常なら声を掛けるのですが、今夜は琴調先生の会という事で遠慮してしまいました。
そういえば、琴調先生への『待ってました!』もなかったなぁ・・・。
今後は気を付けます