コロナの騒動で色々な社会常識が変化している。手洗い・うがいの浸透でインフルエンザの流行が完全に抑えられたと聞く。コロナウイルスのワクチンが開発されてもこの習慣は定着させたいものだ。
大きく変化したものに、葬式というものがある。現在は、感染リスクもあり「家族葬」が主流である。かなりの有名人でもお別れの会も開催できない。
まして市井の一般市民の葬式は絶滅するだろう。もともと簡素化の方向にあった上に、コロナ禍で家族葬が標準となった。死の儀式がこれほど軽んじられるのは如何なものだろう。
古代より、死の儀式は最も重んじられてきた。それは、死の恐怖と裏腹に死後の世界を信じて来たからだ。宗教も哲学もそのことから始まったはずだし、子供にも死ぬことの重大性を教える事は、イコール生きることの重要性を教える事に他ならない。
葬式を軽んじると、生きる意味を考える機会も失くす。香典と言う金銭のやり取りは、イザという時には互助会形式にお互い助け合うという市民の知恵でもあった。
何より、遠い親戚や近い知り合いが一堂に会することの意味は、軽視できないのである。日本が世界に誇る伝統的儀礼の継承も今を生きる我々の使命である。コロナよ早く去れ。