「王はギブオン人たちを呼び出し、彼らに話した。このギブオンの人たちは、イスラエル人ではなくアモリ人の生き残りで、イスラエル人は彼らと盟約を結んでいた。だが、サウルはイスラエルとユダの人々への熱心のあまり、彼らを討とうとしたのである。」(Ⅱサムエル21:2新改訳)
ヨシュアがカナン征服戦を続けていたとき、ギブオン人を滅ぼさないとの盟約を結び、神に誓った(→ヨシュア記9:18)のだが、サウルはその盟約を無視して彼らを滅ぼそうとした。彼の行動はいかにも熱心に見えるが、じつはイスラエルが神に誓った誓いを破る行為だった。ギブオン人はそれをうらんでいたのである。▼そもそもサウルの行動は支離滅裂(しりめつれつ)であった。神に油注がれたダビデまでほろぼそうとしこと自体が大きな反逆なのに、それを何とも思わなかったからである。要するにサウルの望みは、自分の王位を存続させ、イスラエルをサウル王国として統一することにほかならなかった。神を無視し、自己の完全支配を実現しようとした思いは悪魔のそれと一つだ。こうしてダビデと友情の誓いを結んだヨナタンの子孫だけを残し、サウル家は断絶したのであった。