「私たちは、いつまでも続く都をこの地上に持っているのではなく、むしろ来たるべき都を求めているのです。」(ヘブル13:14新改訳)
ヘブル書の記者は、「地上のエルサレムはいつまでも存在する都ではなく、やがて新天新地といっしょに出現する新しいエルサレムこそ永遠に存続する都なのだ」、と強調する。▼本書の受け取り手は、たぶん、聖地に住むユダヤ人キリスト者たちだったろう。彼らは非キリスト者のユダヤ人から排斥され、エルサレム神殿に入ることをゆるされなかったと思われる。▼だがそれは問題ではない、地上のエルサレムはいずれ破壊され、なくなってしまうのだ。それにくらべ、私たちキリスト者が待ち望むエルサレムは永遠の都、現在の天地が消滅したとき現れる復活の世界に属しているのだ、と記者は励ますのである。▼このことばのとおり、パレスチナのエルサレムはAD70年と135年の二回にわたり、ユダヤ人の反乱を鎮圧しに来たローマ軍のため攻略され、神殿は灰燼(かいじん)に帰した。そのときから21世紀の現代にいたるまで、再建されていない。だが教会は心の中にほんとうの神殿、イエス・キリストの内住が与えられている。世界中の信仰者たちは心に存在する神の宮を通して、いつでもどこでも真実の礼拝をささげることができるのである。「あなたがたは知らないのですか。あなたがたのからだは、あなたがたのうちにおられる、神から受けた聖霊の宮であり、あなたがたはもはや自分自身のものではありません。」(Ⅰコリント6:19同)