ビーンの不定期日記

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 「思いつき
   いかげん日記」

【父の戦争体験③】

2020-09-20 22:16:25 | 日記
私の父は大正4年生まれ。91歳の天寿を全うした。農家の三男として生まれ兵役後そのまま軍隊に残り職業軍人として終戦まで満州に駐留した。中学出の父だったが准尉まで出世し下士官となった。終戦時ソ連軍の捕虜となりシベリアに抑留され昭和24年に帰国。
戦争のことはあまり話したがらない父だったが私(現在64歳)に時々話してくれたいくつかの戦争の話を書き留めておきたい。
戦争体験者が少なくなってきている日本で貴重な体験談を受け継ぎ次の世代に伝えていくことは私達子供の役目ではないかと思う。私は平和主義を蔑(ないがし)ろにする今の日本の風潮に危機感を持っている。
「戦争は絶対してはならない」の立場から父が話してくれた戦争の話をお伝えしようと思う。



【父の戦争体験伝言③】

夜戦。
ある日、夜戦となった。皆喉が渇いていた。もはや水筒に水は残っていなかった。闇の中で一晩中敵と対峙していた。
するとチョロチョロと水の流れる音が聞こえてきた。塹壕に何処からか水が流れてきたのだった。兵隊たちは「水だ!水だ!」と喜び、手ですくい、またある者は直に口を付けて飲んだ。お陰で喉を潤すことが出来た。
夜が明け辺りが明るくなり出すと1人の兵隊が隣の兵隊を見て言った。
「おまえの顔、真っ赤だぞ」
するとその兵隊が言った。
「おまえの顔も真っ赤だぞ」
どの兵隊の顔も赤くなっていた。そして塹壕に流れてきた水を見るとその水は赤かった。戦死者の血であった。
戦場で多数の兵隊が流した血が合流し川のように流れていたのだった。
戦場とは血の海であり、血の川なのだ。



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