カラスといちごとクロッカスと

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リリー・ツリーに文句つけたい

2023年08月18日 08時00分00秒 | ユリ科
2023.07.16撮影

今日は、「リリー・ツリーは、オリエンペット」のつづきで、リリー・ツリーに関しての最終回となります。


冒頭画像は、全く世話のされていないわたしの庭です。お見せするのは恥ずかしいのですが、うちの「木のように大きい」「木のようにぐんぐん伸びる」という触れ込みのユリがどれほどの丈か、周りの植物の丈と比べていただけたら、と思いました。このリリー・ツリーは、2年目の株です。

今日は、リリー・ツリー以外のお花も見てくださいね。

冒頭の画像で、左手から見ると、手前に、ノカンゾウ(Hemerocallis fulva var. disticha)の花殻とツボミが見えます。一般的な丈のノカンゾウです。


2023.07.10撮影

ノカンゾウの向こう側には、フロックス(Phlox)が何種類も植えてあるのですが、この画像ではっきり見えるのは、2種。ごく普通の高さの白いフロックス(園芸種 'David'「デイヴィッド」)と、丈の低い赤いフロックス。

 
2022.09.03撮影               2023.07.14撮影

画面ほぼ真ん中の薄紫のものは、通常よりもかなり丈の低いアガパンサス(Agapanthus)で、ツボミの色づいてふらんだものです。


2023.07.21撮影

アガパンサスの奥には、普通の丈のデルフィニアム(Delphiniumがもう薄茶色のタネになっています。

 
2022.06.08撮影               2023.07.10撮影

右側にリリー・ツリーに寄りかかるように出ているシダの葉、これは、特大のシダ(種類は不明)なんです。なんでこんなに大きくなるのかわかりませんけど、葉の長さは大きいのは150cmにもなります。よっぽど住環境が合っているんでしょう。上にかぶさってくるキウイ(Actinidia deliciosa)のツルもモノともせず、ぐんぐん伸びます。


2021.07.19撮影

さて、これらの植物を比較の基準にしてみて、このリリー・ツリーは、丈が高いと言えると思いますか。わたしはちっとも高いと思わない。オリエンタルなら、もっと大きいんじゃ? 他にも丈の高いユリはいっぱいある。


2022.08.04撮影

リリー・ツリーに文句つけたいこと、その1
リリー・ツリーは、オリエンタルとトランペットの交配種なんですから、草丈の高いオリエンタルの性質を受け継いでいても不思議ではありません。でも、リリー・ツリーは、主張されるように、2.5mにもなるのか?

リリー・ツリーに文句つけたいこと、その2
ユリは、毎年大きくなっていくのが普通であるのに、「木のように毎年大きくなっていく」と言って売り物にするのは、道徳的か。


2023.07.21撮影

リリー・ツリーに文句つけたいこと、その3
「ツリー」、つまり、「木」は、冬でも地上に生きて立っています、落葉樹が葉を落としても。それなら、冬に地上から姿を消すユリを「ツリー」と言うのは、おかしい。

リリー・ツリーに文句つけたいこと、その4
「木」には樹皮があります。ユリの茎には樹皮はない。うわ〜〜〜、ユリには、枝もない。少なくとも、わたしは見たことない。「枝」みたいに見えなくもないものは、花柄よね? つまり、「木」とは言えない。

2023.07.21撮影

これは、わたしのリリー・ツリーにだけ当てはまることなのかもしれませんが・・・

リリー・ツリーに文句つけたいこと、その5
わたしのリリー・ツリーには、芳香はない。昼間も、夜の間も、匂わない。

リリー・ツリーに文句つけたいこと、その6
わたしのリリー・ツリーは、花期が短い。2週間も咲いていない。あっという間に花弁が傷んでくる。

2023.07.21撮影

わたしは、「リリー・ツリー」というのは、どう考えても、だまし商法だと思います。「ツリー」というのは比喩だ、と言うにしても、2.5mになる、というのは、ウソだろう。

リリー・ツリーはオリエンペット(オリエンタルとトランペットの交配種)のひとつでしかなく、オリエンペットは、平均、1.2m。

その他にも、宣伝文句がいろいろあるのですが、それらのウソッパチさについては、以下の記事(英文ですが)に、理由を添えて詳しく説明されています。ユリ専門の栽培・販売家による記事です。

Lily Tree Nonsense(英文+画像)

これによると、わたしが間違って思い込んでいたことがあることに気づきました。リリー・ツリーという名称は2008年に使い始められ、2009年に登録商標がつけられたそうです。そんなに前からだったのか。ですから、リリー・ツリーに関してのわたしの最初とそれに続く記事には、間違った記載があります。

ここに訂正し、お詫び申し上げます。そこに書いたことは、「気持ち」がそうだった、と受け取ってください。汗



ただ、販売する植物に学名を長くつけていなかったのは、確かだと思います。学名がどこかに書いていないか、と、カタログ上を一生懸命に探したのを覚えていますから。

でも、自分の記憶に自信がなくなってきたなあ・・・げ、歳?


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リリー・ツリーは、オリエンペット

2023年08月16日 08時00分00秒 | ユリ科
2023.07.16撮影

今日は、「リリー・ツリーは、やっぱりユリ」のつづきです。


今日の冒頭の画像は、そのリリー・ツリー(Lilium OT-hybrid)のオシベの葯がキウイの葉にもたれかかり、その葉の上に花粉をこぼしているところです。強烈な色ですね。

リリー・ツリーというのは、初め、登録商標がついていなかったのですが、最近は(わたしは、2年前に気づいた)、Lily Tree® と表示されています。

登録商標をつけた理由は、lily「ユリ」と tree「木」というごく普通にある一般名詞をふたつ並べて、特別なものだ、と主張することが批判されたためだと思います。その批判は、消費者から来たかもしれないし、同業者から来たのかもしれません。

わたしでも、消費者として、苦い思いをしていましたもん。リリー・ツリーって、一体、何よ、と。まあ、そう思っても、文句をつけには行かず、商品を買わない、という「不買運動」をしただけですが。

すると、なんと、カタログにも、やっと、OT-hybrid(OTハイブリッド)と記載してくれるようになりました。オリエンタル・ハイブリッドとトランペット・オーレリアン・ハイブリッドの交配種です。

これを、Orienpet(オリンペット) 、あるいは、Orienpet(オリエンペット)とも呼びますけど、わたしには「オリンペット」は、「え? オリンピック?」ぐらいにしか思えません。「オリエンペット」の方が、「オリエント」風情が残っていていいかな?

2023.07.16撮影

以下、
・オリエンタル・ハイブリッドを「オリエンタル」
・トランペット・オーレリアン・ハイブリッドを「トランペット」
・OTハイブリッドを「オリエンペット」
と略して呼びます。

オリエンペットは、オリエンタルとトランペットを交配することによって生み出された交配種で、次のような性質を持ちます。

オリエンタルから
・芳香
・花の華麗さ、優雅さ
・花の形
・花期の長さ
・大きい草丈

トランペットから
・花の各種の色

交配することにより
・花びらの厚さ
・耐寒性
・強健さ

以上の情報は、以下などを参照しました。
What are OT Hybrid Lilies?(英文+画像)
Orienpet(英文+画像)

では、次に、オリエンタルに貢献した原種の例をご覧ください。
これは、オリンタルの代表格、ヤマユリ(Lilium auratum)です。多くの日本人にお馴染みの姿ですね。近畿地方以北の本州(北陸地方を除く)に自生します。

次は、ヤマユリ(Lilium auratum)の変種、サクユリ(Lilium auratum var. platyphyllum)です。サクユリは伊豆諸島にしか生えないので、全国的には知られていないか、と思います。
次は、カノコユリ(Lilium speciosum)です。四国、九州、台湾、中国の江西省に自生します。
それでは、これら、3種のオリエンタルの草丈を比べてみます。サクユリは、最大2mにもなるそうです(わたしは見たことがありませんが)。

オリエンタル
サクユリ(最大2m)
ヤマユリ(100〜150cm)
カノコユリ(100〜150cm)

オリエンタルって、みんな、草丈が高いんですね。

リリー・ツリーの話しは、さらにつづく。


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リリー・ツリーは、やっぱりユリ

2023年08月14日 08時00分00秒 | ユリ科
2023.07.16撮影

わたしの庭には、リリー・ツリー(Lily Tree)が3本あります。

一昨年の秋に鱗茎(りんけい)を3つ買って植えつけたもので、去年は2本しか発芽しませんでした。でも、鱗茎は土中に残っていて太りつつあるはずだ、とその時は思い、今年を期待していました。

でも、そのリリー・ツリーのことは、日本と行き来していて忙しい気持ちだったので、すっかり忘れていました。すると、この7月半ばに、ピンクがかった大きなツボミが。ツボミが大きくなるまで、気づかなかったのです。

2023.07.14撮影

この画像は、次の記事でもご紹介しました。


去年出てこなかった株(一番手前の)はやっぱり他のより草丈が低く、ツボミもふたつしかついていませんでした。でも、一番陽の当たるところだからでしょうか、ツボミのほころび方が大きいです。株同士は、お互い、30cmも離れたいないんですけど、太陽の力って、偉大ですね。

さて、このリリー・ツリーとはどんなものなのか。

2023.07.16撮影

こんなユリです。でも、色は数種類あるので、姿だけにご注目ください。

リリー・ツリー(Lily Tree)は、某社が、登録商標マークをつけて販売しているユリで、Lily Tree® と表示されています。

その特徴は、その某社によると、
・1年目には、草丈は最高90〜120cmに至る
・2年目には、150〜180cmになる
・3年目には、最高180〜250cmまで伸びる

へ〜〜、そんなにでっかくなるのか。

うちの場合は、
1年目:100cmくらい
2年目(今年):120cmくらい

ふ〜〜ん、2年目の伸びが少ないなあ。

それは、わたしが留守がちで世話をしなかったからか? 今年のバンクーバーのカラカラ気候のためか? それとも、、、わたしが宣伝文句に乗せられただけで、これはウソッパチ商品であったか? 

2023.07.17撮影

リリー・ツリーと呼ばれる「商品」の存在は、もう何年も前から知っていたんです。でも、最近まで買わなかったのは、どうしても信用しきれなかったからです。

この会社の一番イヤなところは、とんでもない高値をふっかけておいて、それを斜め線で消し、セールス価格をつけて、今ならお安いです、75%引きです、などと売るところ。これを、年がら年中やる。

おまけに、この会社は、販売している植物に学名をつけていなかった(今は、つけている)。そういうことは、カナダやアメリカの植物専門の会社では、まず考えられない。学名がなければ、一体何かわからないじゃないですか。「リリー」が「ユリ」、「ローズ」が「バラ」とも限らないのだから。

それで、この会社には、なるべく近寄らないようにしていたのですが、まあ、カタログは、慰みに見ていたの。それで、再び Lily Tree が目に止まったのが2年前。

おや? 前は、®、ついてなかったよね? ついに登録商標にしたのか? そんなら、もうちょっと、出自をはっきりさせなくていいのか?

と思って見てみると、おっや〜〜、Lilium OT-hybrid と書かれている。ありがとう、ありがとう、ありがとう、これで Lily Tree® が何であるかがわかりました〜〜、少なくとも、どんな交配種であるかが。

それで、買ってみる気になったの。

2023.07.17撮影

では、Lilium OT-hybrid とは何か。

Lilium ユリ属
O = Oriental(オリエンタル・ハイブリッド)
T = Trumpet(トランペット・オーレリアン・ハイブリッド) 
hybrid 交配種

OT-hybrid は、日本語では、OTハイブリッドと呼ばれます。英語では、Oriental と 
Trumpet をくっつけて、Orienpet(オリンペット) とも呼ばれます。

つづく。


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バイモにも〜〜

2022年12月22日 08時00分00秒 | ユリ科
2021.04.17撮影

バイモにも「ジャポニカ」があるんです。クサボケ(Chaenomeles japonica)、ヤマブキ(Kerria japonica)、ヤブツバキ(Camellia japonica)、だけではありません。

「ジャポニカ」なんていう植物

ツバキ? サザンカ?

冒頭の画像は、コバンユリです。

和名 コバンユリ(小判百合)
ユリ科(Liliaceae)バイモ属(Fritillaria
学名 Fritillaria meleagris「ホロホロチョウの(ような点々のついている)バイモ」
英名 Snake’s head「ヘビ頭」
別名 Checkered lily「市松・格子模様のユリ」
原産 ヨーロッパ、西アジア

ホロホロチョウ科(Numididae)

コバンユリは、「小判」だの「ホロホロ鳥(のような点々のついている)」だの「蛇」だの「市松・格子模様」だの、全然 japonica ではないのですが、そのうち、japonica のバイモ(Fritillaria)も出てきますので、しばらくの間、ご辛抱をお願いいたします。

2022.06.21撮影

全てのバイモ属の植物がそうなのか知りませんが、コバンユリ(Fritillaria meleagris)は、球根の分球からだけでなく、タネからも増えます。上の画像のようなサヤができて、そこからタネがこぼれます。サヤの中に、ペラペラした薄茶色のものが見えますね。それがタネをひとつずつ覆うセロハン紙のようなもので、その平たいタネ入りの袋が、サヤの下の方までぎっしり詰まっています。

自生地(ヨーロッパ、西アジア)の多くでは絶滅危惧種になっていますが、ヨーロッパやカナダでは、庭によく植えられます。「植物耐寒域区分(Plant Hardiness Zone)」は「4-8」なので、暖かいところでは育たず、バンクーバーあたりが生育の南限となります。

2022.05.13撮影

これもうちにあります。花びらが大変厚いです。

和名 クロユリ(黒百合)
ユリ科(Liliaceae)バイモ属(Fritillaria
学名 Fritillaria camschatcensis「カムチャツカのバイモ」
英名 Kamchatka fritillary「カムチャツカのバイモ」
別名 Chocolate lily「チョコレートのユリ」
原産 アジア北東部(ロシア極東地域、日本北部)、北アメリカ北西部

それで、クロユリの学名ですが、Fritillaria camschatcensis です。Fritillaria の部分は属名でバイモ属ですが、camschatcensis の部分は種小名で「カムチャツカの」という意味です。そうです、地名のカムチャツカです。japonica 以外の地名が種小名である、一例です。

カムチャツカ地方

コバンユリ(Fritillaria meleagris)とクロユリ(Fritillaria camschatcensis)は、和名に「バイモ」が出てきませんが、次の植物の和名には、「コバイモ」が現れます。

Fritillaria japonica
撮影者:Alpsdake
撮影日:2014.04.12
オリジナルからの改変、なし

和名 ミノコバイモ(美濃小貝母)「美濃国で発見されたコバイモ」
ユリ科(Liliaceae)バイモ属(Fritillaria
学名 Fritillaria japonica「日本のバイモ」
英名 ないもよう
固有 日本

これが、バイモ属の japonica です。日本の固有種なので、japonica と呼ばれて然りなんですが、それでも、ミノコバイモが他のバイモ属の日本固有種を押さえ、なぜ特に japonica と呼ぶに値する、とされたか、は、???です。西洋人によって一番最初に発見されたバイモなんでしょうか?

ミノコバイモ

Fritillaria koidzumiana(コシノコバイモ)
撮影者:Qwert1234
撮影日:2017.05.02
オリジナルからの改変、なし

以下のWikipedia記事から、日本国内の地名を和名に持つ種を拾い、その中で、学名に地名の入っているものに「*」の印をつけます。上の画像は、そのうちのコシノコバイモ(Fritillaria koidzumiana)です。和名には地名「越」が入っていますが、学名には入っていません。

日本でも、絶滅危惧種が多いんですね・・・中には、盗掘を恐れて、撮影地を明かさない撮影者もいるようです。

バイモ属

*ミノコバイモ(コバイモ)(Fritillaria japonica)【美濃】絶滅危惧II類
・イズモコバイモ(Fritillaria ayakoana)【出雲】絶滅危惧II類
*カイコバイモ(Fritillaria kaiensis)【甲斐】絶滅危惧IB類
・コシノコバイモ(Fritillaria koidzumiana)【越<越後】
・アワコバイモ(Fritillaria muraiana)【阿波】絶滅危惧II類
*トサコバイモ(Fritillaria shikokiana)【土佐】絶滅危惧II類
*トクシマコバイモ(Fritillaria × tokushimensis)【徳島】

最後のトクシマコバイモですが、Wikipediaの記事では、
> アワコバイモとトサコバイモの交雑種
とされ、学名は、交雑種の表示である「×」を使って、Fritillaria × tokushimensis となっています。

しかしながら、交雑種ではなく、独立の新種である、という記事もあります。

アワコバイモ・トサコバイモ・トクシマコバイモ
> トクシマコバイモ(徳島小貝母)
> 一見してアワコバイモとトサコバイモの中間型に見えますが、この花の生育地付近にはアワコバイモは見られず、トサコバイモも遠く離れた場所に生育しており、両種の雑種とは考えられない
> 2005年8月発行の英国王立キュー植物園発行の植物学会誌「ボタニカルマガジン」に紹介され、正式に新種として認められた

トクシマコバイモの写真
> トクシマコバイモは2005年に発見された新種(Naito2005)

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