カラスといちごとクロッカスと

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個人の目をとおしてお届けします。

スノーフレーク

2023年02月16日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科
Summer snowflake (Leucojum aestivum) 「夏のスノーフレーク」
撮影者:Hans Bernhard
撮影日:2010.05.01
オリジナルからの改変、なし

今日お話ししたい花は、昨日のスノードロップに続き、スノーフレークです。和名があるにも関わらず、この花も、スノードロップのようにカタカナの名称、スノーフレーク、の方で知られているようです。(昔の幼い少女であるわたしも、そのころから「スノーフレーク」という名称で知っていました。)

学名 Leucojum aestivum
英名 Summer snowflake
和名 オオマツユキソウ(大待雪草)
別名 スズランスイセン(鈴蘭水仙)
別名 スノーフレーク
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)スノーフレーク属(Leucojum

スノードロップが「マツユキソウ」で、それより大きいけど似ているスノーフレークが「オオマツユキソウ」ということです。

でも、スノーフレークの花の形は、スノードロップの花によりスズランの花の方に似ています。葉は、スイセンの葉に似ているので、スノーフレークは「スズランスイセン」。

2021.05.17撮影

上の画像は、スズラン(Convallaria majalis var. majalis)の花です。いわゆる、ドイツスズラン(日本のスズランは、花柄が短い)。花が下に向いて咲き、花びらの先がそっているところが、スノーフレークの花と似ています。でも、スズランには、スノーフレークにある子房の膨らみはありません。花びらには、模様もつきません。

スズランの葉は広いので、これは、スノーフレークの葉とは全く異なります。スノーフレークの葉は、冒頭の画像の、花の背景に見ることができます。

2021.03.20撮影

スイセン類(Narcissus)の葉の様子は、上の画像でどうぞ(花ばかり写して、葉はあまり撮らないので、スイセンの葉が見えるのはこのような写真しかありません)。

ここには2種類のスイセンが写っていて、黄色い方は、'Jetfire'(ジェットファイアー)という園芸種。右の白い方は、大きめの白い花が咲くのですが、園芸種名は失念しました。

ここまでに出てきた4つの花の所属を比べてみると、

スノードロップ:ヒガンバナ科・マツユキソウ属
スノーフレーク:ヒガンバナ科・スノーフレーク属
・・・スイセン:ヒガンバナ科・スイセン属
・・・スズラン:キジカクシ科・スズラン属

「科」は、ヒガンバナ科とキジカクシ科に分かれていますが、「科」より上の分類の「目」は、すべてがキジカクシ目(Asparagales)です。みんな、アスパラガスなんですね。いや、でも、スズランとか、食べないでくださいよ〜〜お腹が痛い、どころでは済まなくなりますから。

Spring snowflake (Leucojum vernum) 「春のスノーフレーク」
撮影者:IKAI
撮影日:2006.03.25
オリジナルからの改変、なし

スノーフレークは、わたしの子ども時代の心象風景に出てくる植物で、母が育てていて、わたしは、こんなきれいで変わった植物があるんだ、と夢見心地にながめていました。名前を教えてくれた時に、「スノーフレーク」って。その外国語の響きに、ますます酔ってしまいました。

それで、わたしのバンクーバーの今の家に引っ越してきた時には、ぜひ植えたい植物のひとつだったんです。でも、見つからないんです。流通しているのをやっと見つけたら、これがとんでもなくでかい。全く、夢のぶっ壊しでした。

スノーフレーク属(Leucojum)は、2種からだけなります。(その他に、園芸種があります。)

Leucojum aestivum(Summer snowflake)「夏のスノーフレーク」
草丈35-60cm、花3-4cm、普通は緑色の模様

Leucojum verucum (Spring snowflake)「春のスノーフレーク」
草丈12-35cm、花1.5-2.5cm、緑色、または、黄色の模様

なんと、「夏のスノーフレーク」には、大きさを誇る「ジャイアント・スノーフレーク」なんて園芸種もある。

わたしが選り好みすることもできずに手に入れたのは、この「ジャイアント」。春には葉っぱがどんどん伸びるばかり、夏に花が咲いたころには、わたしは興醒めしていました(ごめんね、スノーフレークちゃん)。

そして、都合がいいことに(ますますごめんね)、「ジャイアント」の植わったあたりは樹木の成長するのに従い陰になり、太陽光線の不足ででしょう、「ジャイアント」君は、姿を消してしまいました。

でも、日本で植えられているのは、サイズの小さい「春のスノーフレーク」ではなく、「夏のスノーフレーク」としか考えられません。ただ、日本では、気候の関係上、「夏のスノーフレーク」が春に、夏に咲くより草丈が低めに、咲くようです。

以下によくまとまった記事がありますので、ご参照ください。


この記事や、他の多くの記事を読むと、スノーフレークは育てるの、かんたん〜〜、と書いてある。なんでや〜〜、わたしが失敗したのは。やっぱり、お陽さんの加減よね。

「春のスノーフレーク」(「夏のスノーフレーク」としても知られる)にとまろうとするメスの Hairy-Footed Flower Bee (Anthophora plumipes)
撮影者: Charlesjsharp
撮影日:2014.03.31
オリジナルからの改変、なし

画像につけられた説明
>「春のスノーフレーク」(「夏のスノーフレーク」としても知られる)
って、そんなわけがない。撮影者が知らないだけだ。

このスノーフレークが「春の」か「夏の」かは、この蜂(Anthophora plumipes だそうです)の大きさが分かれば、花の大きさと比べて同定できるわけです。どなたか試してみてくださいまし。(わたし、調べたけど、わかんなかった。)

でも、この花の同定は、もっと簡単な方法があります。ひとつの苞から花がいくつ・・・

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スノードロップ(+ハートの印)

2023年02月15日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科
2021.01.19撮影

今日は、スノードロップをご覧ください。

学名 Galanthus nivalis
英名 Snowdrop
和名 マツユキソウ(待雪草)
別名 スノードロップ
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)マツユキソウ属(Galanthus

スノードロップは、「マツユキソウ」なんて素敵な名前を持っているんですね。こんな和語の美しい名前を「スノードロップ」なんてカタカナに置き換えるのは忍びない・・・でも、もう「スノードロップ」で通っちゃっているし・・・ジレンマ(泣)

冒頭の画像は、ツボミは固く閉じてはいるものの、「花びら」の白さが見える状態です。これが見えると、冬が終わりに近いづいたか、とうれしくなってきます。落ち葉をかき分けると、こんなに大きくなっていました。

2023.02.08撮影

スノードロップの花の部分を形成するのは、花弁(かべん:petal)でなく、花被片(かひへん:tepal)です。花被片とは、花弁(花びら)とも萼(がく:sepal)ともはっきりしないものを、指します。

花被片
花冠(「花弁」より転送)

スノードロップのツボミは、形成されてすぐは、上を向いています。花が開く直前になってくると、頭を垂らします。

ツボミが上を向いている時には、花被片は苞(苞葉)によって包まれています。その苞は、緑色で、2片に分かれていて、その2片は、紙のような薄い膜でつながっています。どうか上の画像でお確かめください。

スイセン(Narcissus)のツボミも苞に包まれていますね。ちなみに、スノードロップもスイセンも、ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)です。

2021.02.08撮影

スノードロップの学名は、マツユキソウ属(Galanthus)で、Galanthus の gala というのはギリシャ語で「乳(ミルク)」という意味です。anthus は「花」。Galanthus で「乳のような色(=白)の花」ということでしょうか。もう少し想像を逞しくすると、花の根本についている膨らんだ緑色の部分(子房)を、乳首に例えたのかもしれません。(ほんまかいな)

マツユキソウ属(=スノードロップ属)のうち、よく広まっているのは、今日取り上げている Galanthus nivalis です。「スノードロップ」と言えば、だいたいこの Galanthus nivalis のことが考えられている、と言ってもいいのではないでしょうか。

種小名の nivalis は、「雪の」という意味です。雪の色のような花、ということか、あるいは、まだ雪のあるような早春に咲く花、ということかもしれません。

2021.02.16撮影

上の画像では、花が開いています。うつむいているので、咲いている、と実感しにくいかもしれません。

スノードロップの現在使われる英語名 Snowdrop の語源は確かではないのですが、1600年代にイギリスで出版された植物図鑑に Snowdrop の名称があるそうです。そして、当時(イギリスで?)人気のあったイアリングのドイツ語でつけられた名称 Schneetropfen から来ているのかもしれない、ということです。Schneetropfen は、文字通り、Snowdrop です。

2021.02.16撮影

花を下から見上げて写すと、このようになります。

「花びら(花被片)」は、合計6枚。外側が3枚、内側が3枚。外側の「花びら」の方が大きく、内側の「花びら」には、その外部にも内部にも緑色の模様がつきます。外部の模様は、多くは、「V」あるいは「U」のひっくり返った形、と形容されますが、内部の模様は、ハートの形の、これもひっくり返った形のようにも見えます。どうか、画像でお確かめください。

咲いた花の上に飛びでたように見えるものは、花がツボミであった時にツボミを覆っていた苞です。苞の緑の2片がこのようになっています。(最後の画像では、もっとはっきりとこの2片の苞が見えます。)

2021.02.26撮影

スノードロップは、一般的には、ひとつの球根から2枚の葉と1本の花柄を出します。そして、花柄の先にひとつの花をつけます。ですから、上の画像のように花が群れて咲いていても、花の数を数えれば、成熟した球根がいくつあるかわかります。

子房は3室に分かれ、そのそれぞれに小さい種ができ、その種のそれぞれに「エライオソーム(elaiosome)」、日本語で「種枕(しゅちん)」、がくっついて、アリさんを呼びます。アリさんたちは、「タネ+タネの枕」を巣に持ち帰り、「枕」だけ食料にし、種子は巣の外に廃棄し、これでタネの拡散が起こります。

2006.03.27撮影

今日の記事は、以下の記事等を参照して知っていたことを確かめ、新たに知ったことはさらに他の文献で確認して、書きました。

Galanthus nivalis(英文+画像)

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アリアムは、お好き?

2022年09月16日 11時37分29秒 | ヒガンバナ科
2022.05.11撮影

これは、チャイブ(Allium schoenoprasum)の、まだ固いツボミです。花茎がすくっと立っています。ツボミのついていないのは、葉です。先細りしたのがそうです。手でさわれば、葉と花茎は全く違います。

チャイブはお食べになったことがありますか。アサツキと同じように食べることができます。アサツキはチャイブの変種です。

・チャイブ(Allium schoenoprasum
・アサツキ(浅葱 Allium schoenoprasum var. foliosum

風味は少々違うのかもしれませんが、わたしは両者を比較できるほどアサツキを食べた経験がないので、わかりません。

その理由のひとつに、日本で食用に売られている「あさつき」がアサツキではなく、ネギ(葱 Allium fistulosum)を若採りしたもの、というのが挙げられます。つまり、ニセモノ。

次の画像は、向こう側にピンクに色づいてきたツボミ、手前の方に既にかなりほころんでいるツボミ、が見えます。チャイブの左手後ろにちょっと見える青い花は、ワスレナグサ(勿忘草 Myosotis scorpioides)です。

2022.05.25撮影

チャイブもアサツキもネギ属(Allium)です。ネギですから、花が咲けば、それはネギ坊主です。そのネギ坊主の「鑑賞に値する」のが、園芸用にアリアムとして流通しています。学名をカタカナにしただけ。

そんなお美しいアリアムの例が、これ。‘Persian Blue’「ペルシャの青」という園芸種です。(わたしには、いくら見ても、ネギ坊主にしか見えない。)

2022.05.25撮影

ネギ属(Allium)は、ヒガンバナ科(Amaryllidaceae「アマリリス科」)なんですが、ヒガンバナと聞けば、食べて大丈夫なのか(特にタマネギ)? 「アマリリス科」と聞けば、あんなに大きい花といっしょ? と感じるかな、とも思います。異なる文化圏で歴史的に採用してきた名前が、ずれているんですね。

次の画像は、昨日ご紹介したシューベルト・アリアム(Allium Schubertii)です。園芸種ではなく、原種。

2022.06.18撮影

日本では、ネギ(Allium fistulosum)は主に食用として育てますが、バンクーバーなんかでは観賞用に育てている人もいます。食用と兼ねているのかもしれません。きれいですよ、花。でも、日本でも、庭に作ったネギが食べ切れなくて、結局きれいな花になっしまった、ということもあると思います。


ネギ(Allium fistulosum)の花
撮影者:Ping an Chang
撮影日:2019.04.06
オリジナルからの改変、なし

チャイブは、葉も花も食べられます。わたしが好きなのは、花です。

わたしが初めてカナダに来た時、カナダ人のお家に1週間ほど居候していたのですが、その時、サラダを作る、というので、ほい、これ、切って、とチャイブを渡され、へえ、こんな細いネギみたいなものがあるんだ、と思いながら、包丁が要るので「ナイフがいるよ」と言ったら怪訝な顔をされ、「まな板も」と言うとますます怪訝な顔をされ、一応「道具」がそろったところで、切れないペティナイフで小口切りをしていたら、え? 何しているの? チャイブは切るならこうやって切るのよ、と2センチの長さでばっさばっさと切って見せてくれました。あっという間にできあがり。それと、ナイフなんか使わずに、手でねじってちぎるんですって。わたしは、現在では、チャイブの葉はキッチンナイフでちょきんちょきんとやります。

その点、花は便利です。ばらせばいいだけ。サラダにも、スープにも、パスタ、チャーハンにもいけます。花の風味の方が、わたしは好きです。

2022.05.25撮影

上の画像のチャイブの花は、まだ全開していません。薄い皮のような総苞(そうほう)がまだきれいに見えます。次のリンク先に、チャイブの花の変化を示した画像がありますが、その右から2番目ぐらいです。その画像の左上には、花がばらされた様子が見えます。

All About Chive Blossoms(英文+画像)

チャイブは、一度根づくとまずはなくなりません。うちでは増えすぎて困っていて、人様にもらっていただくのですが、もう大抵のところへは差し上げてしまったので、もうもらってくれないんです。せっせと食べるしかないんでしょうか。花を生花にするのは、ネギの匂いがして、ちょっと苦手な人がいるかもしれません。


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