カラスといちごとクロッカスと

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うちのモミジバフウをご紹介します

2022年12月03日 07時10分55秒 | 樹木
2022.09.03撮影

この木は、うちのモミジバフウです。モミジバフウって、漢字で「紅葉葉楓」。え? 「紅葉の葉っぱのカエデ」。何だ、それは? カエデなの?

上の画像は9月に撮影したので、葉っぱが青々としています。

下の画像は、このモミジバフウの葉です。数日前、この冬初めての雪の降った翌日に、庭から、なるべく緑なのを選んで拾ってきました。拾った場所からして、この葉がモミジバフウの葉であることは、確かなのです。

2022.11.30撮影

実は、これが、昨日の記事「この葉は、カエデの葉でしょうか」の冒頭でお見せした葉。どう見ても、カエデの葉の形をしていますよね。


それで、モミジバフウって、やっぱりカエデなの? ここで学名が活躍します。

カエデ
学名 Acer(属名)
英名 Maple
和名 カエデ(楓)
ムクロジ科(Sapindaceae)カエデ属(Acer

モミジバフウ
学名 Liquidambar styraciflua(種名)
英名 Sweetgum
和名 モミジバフウ(紅葉葉楓)
別名 アメリカフウ(アメリカ楓)
フウ科(Altingilaceae)フウ属(Liquidambar

モミジバフウ


この葉はモミジハフウ(紅葉葉楓)の葉、つまり、カエデ(楓)の葉じゃなくて、フウ(楓)の葉なんだ〜〜

2022.11.30撮影

そんなら、モミジハフウ(紅葉葉楓)なんてややこしい名前をつけないでよ、と言いたい。「カエデ」も「楓」と書き、「フウ」も「楓」と書くんかい。と、毒づく。「フウ」なんて、名前そのものが、へんてこりんだ。

だいたい、葉っぱの形がどう見てもカエデの葉の形なので、わたしはすっかりだまされていた。互生だとか対生だとか、観察すべきところを見ていなかったし。

やせっぽちのちっちゃい木だったんですよ。

ですから、葉の形を見て、これはカエデだ! と(若かったわたしは)速攻で結論いたしました。そして、カナダのカエデって、こんなものなのかな、と思っていました。

が、木肌がちょっと違うような・・・とは、そのころでも思っていたのです。

ところが・・・

2019.05.09撮影

上の画像の左側に写るような枝が発達してきた。まるで、ニシキギ(Euonymus alatus)みたい。このあたりから、わたしはうちの「カエデ」に疑いの目を向けるようになりました。


ほどなくして、上の画像のように幹がどんどん太く成長し、その幹に縦皺が深くつくようになりました。

ここまで来ると、わたしでもこの木がカエデでないことはわかりましたよ。

で、周りに聞いて回ると、この木は英語で Sweetgum(なんで gum なのかは知りませんが)と呼ばれるらしい。そこから辿って、和名のモミジバフウにたどり着いたのでありました。

画像中の鳥は、カラスですが、日本のカラスで言うと、ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)ではなく、ハシボソガラス(Corvus corone)に近い、体が小さめのアメリカガラス(Corvus brachyrhynchos)です。


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昨日の記事のクイズの答え

クイズ1
この葉は、カエデの葉でしょうか。
答え
一見似ていますが、違います。モミジバフウの葉です。

クイズ2
次の画像の中から、この種類の葉を探し出してください。
ヒント
カエデの葉の方には突起が出ています(日本産のカエデの葉には突起が出ません)。
突起の出ていないのがこの種類の葉です。この画像中ではほとんどがカエデの葉です。

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ハナミズキ? ヤマボウシ?

2022年09月08日 08時48分23秒 | 樹木
2022.08.22撮影

これが結構美味しい。特別美味しい、までは行きませんが。木から落ちているのを拾って(洗って)食べます。そのままパクついてもいいし、口の内部に引っかかる感じの表皮のざらつきが気になるなら、ヘタを引き抜いて、実を指先でつまんで押して、ぶちゅっと(もちょっと上品な言い方はできないのでしょうか)食べればいいです。

これは何か、というと、ミズキ属(Cornus)の1種、Cornus nuttallii の実です。この木は、和名はないようですが、英名 Pacific dogwood を訳せば、「太平洋ヤマボウシ」。北アメリカの太平洋岸、カナダのブリティッシュ・コロンビア州南部からアメリカのカリフォルニア州北部にかけて分布します。分布図は以下でどうぞ。


日本で、類似の植物が、ミズキかヤマボウシか、という議論があるようですが、ここで分類は試みません(滅相もない)。Wikipediaの英語版によると、亜属は、全部で、認められているのだけでも10亜属あるもようです。でも、日本語版では、「ミズキ(水木)」「ヤマボウシ(山法師)」「サンシュユ(山茱萸)」「ゴゼンタチバナ(御前橘)」の4つしか挙げられていません(なぜ?)。


その点、英名は便利で、すべて、Dogwood です。

今日、紹介の Cornus nuttallii(Pacific dogwood「太平洋ヤマボウシ」)は、白い「花弁みたいなもの」が4〜8枚。この「花弁みたいなもの」は、本当の花弁ではなく、ツボミを包むように特化して発達した葉で、苞(ほう)と呼ばれるものます。以下の画像で見える「花」は、苞片が4枚のものばかりです。この画像は、雨の日の夜に撮影したもので、フラッシュがたかれています(それで画面がテカテカしている)。

2020.06.09撮影

苞片の中央にある小指の先ぐらいの塊が、小さい花の集合です。苞片が落ちると、次のようになります。茂った葉の後ろに見える幹が、この木の本体です。

2022.08.22撮影

そして、この(本物の)花の集合が、後に赤い実になります(冒頭の画像)。

この「太平洋ヤマボウシ」の木は、実は、うちの敷地に植わっている木ではないんです。西隣のおばさん(わたしより年上なので、「おばさん」と呼んでおく)とわたしは、敷地の境界に近いところに何か植えたい時には、お互いに相談をして決めるんですが、この「太平洋ヤマボウシ」は、おばさんが、お互いの「目隠し」のために、わたしに「いいね」と確認してから、敷地ギリギリ(のおばさん側)に植えたんです。

ところが、彼女が剪定を怠ったために、あっという間に大木に成長し、ふたりでびびっていると、見事な枝をかざして「花」を咲かせてくれるようになったので、剪定は、うるさいところだけにすることに決めました。「目隠し」の役目は全然しない。下の方には枝がないので。

でも、代わりに、わたしのうちの方まで枝がかざすように伸びて、「花」が咲いている時には、来る人来る人、いいですね、と言ってくれます。真っ白で、涼しげなんですよ。枝全体が風にたわんで揺れるところも風情があります。

ところで、この Pacific dogwood「太平洋ヤマボウシ」は、わたしの住むブリティッシュ・コロンビア州の州花です。(下にリンクした記事には、2022年9月7日現在、学名の最後に 'i' がひとつ抜けていますが、このページを管理する州議会教育担当事務室に訂正を求めたところ、訂正するとのことです。)

The symbols of British Columbia(英文+画像)

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