78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎小野と芋子(8)春デート萌え服グランプリ

2018-02-15 23:24:15 | 小野と芋子

芋子「小野先輩。来月の滝口君とのデートで着る服なんですけど、こんなのはどうですか?」

小野「さっきから熱心に女性ファッション誌を読んでいてどうしたと思っていたが、そういうことか。そもそも滝口に告白されたと言っている5回目の記事(画像参照)が削除されているから、ちゃんと説明しないとブログの読者が混乱するだろ」

芋子「失礼しました。私は昨年の花火大会で滝口君に告白され、迷いはしましたが結果的に付き合うことになりました。その後も順調なお付き合いが続いています」

小野「で、彼女も居ない僕にその質問をするのは、幸せ自慢というやつか?」

芋子「お願いします。先輩は私が唯一相談できる男子なのです」

小野「……そ、そうか。それなら致し方ない。そのファッション雑誌(『non・no』2018年3月号)の中から、男性目線で良いと思うコーデを選定してみよう」


※以下、あくまで個人の見解であることをご了承下さい。

 

<女性のファッションのインフレ化>

芋子「というわけで雑誌をパラパラめくって見てもらっていますが、いかがですか?」

小野「うーん、全体的に良いよ。良いんだけど、レベルが上がりすぎというか、インフレしすぎではないだろうか」

芋子「どういう意味ですか?」

小野「昨今の女性のファッションは、男ウケするかどうかにあまり重きを置いていないような気がする」

芋子「それは言い過ぎではないですか?」

小野「どちらかというと、女子会とか、女性同士で会う時の為のファッションなんだよね。他の女子には負けたくない、みたいな。そんなライバル意識的なものが紙面から伝わってくる」

芋子「まあ一つの意見としては受け入れるべきなのかもしれません」

小野「うん、そう思って欲しい。こっちも言いづらいよ。言いづらいけど、誰かが男性の意見を言わないといけないと思うんだ。だからこそ一個人の見解として言う」

芋子「どうぞ」


<女性のファッションに求めるもの>

小野「僕の場合は、ぶっちゃけ女性のファッションに多くを求めていない。例えばデートなら、フレアスカートを履いていればそれで良いかな」

芋子「えっ、それだけで良いのですか?」

小野「動くとふんわり揺れるじゃん。それだけで素敵だと思う」

芋子「やはりミニのほうが良いですか?」

小野「いや、膝丈かミモレ丈くらいで良いよ。短くする必要性を感じない。なんかそれも勘違いされていそうだけど、ミニスカートに魅力を感じる男って、実はそんなに居ないと思う。確かにミニがステータスの時代もあったと思うけど、今なら“やりすぎ”とか“あざとい”になるんじゃないかな」

芋子「そんなものですかね」

小野「あと、春デートで一つポイントがある。デートの日を3月の少し暖かくなってきた頃に設定し、思い切ってタイツを履かない

芋子「生足を見せるわけですか」

小野「言い方が嫌らしいよ。冬デートで黒コートに黒タイツが長らく続いてからのノーコート、ノータイツは萌える。ついでに萌え袖とベレー帽も加われば尚良し。これは春にしか出来ないテクニックだから要チェックや」


<何を参考にすべきか>

芋子「ファッション雑誌のファッションがインフレしていて、男性はそこまで求めていないとするなら、他に何を見て情報を得れば良いのでしょうか」

小野「情報源は色々あるけど、良いことを教えよう。声優のファッションを参考にするんだよ」

芋子「ええ!? 流石に今回はその言葉を聞かないと思っていました。このブログはいつから声優ブログになったのですか?


<女性声優のファッション>

小野「話を最後まで聞いて。ちゃんと理由がある。声優のファッションは総じて派手すぎず、かつ地味すぎず、男ウケするちょうど良いラインを行っている気がするんだよ」

芋子「例えばどんな感じですか?」

小野「『声優服どっとこむ』というサイトがある。Twitter(@seiyu_fuku_com)でも良いや。どちらかを軽くで良いからざっと見てみて」

芋子「うーん……確かに派手すぎず地味すぎずですね。どうして声優はちょうど良いラインを素で行けるのでしょうか?」

小野「例えばアイドルのファッションは派手なものが多い気がするのだよ。AKB48が握手会を私服で行っているのは有名な話だが」

芋子「いや、知りませんけど」

小野「元NMB48藤江れいなが現役時代に『22時の嫁』と題し、毎日私服をGoogle+にUPしていた(※)。それをまとめたサイトがこちらなんだけど、2013年の1月~3月を見ていると、ちょっとミニスカート率が高めな気がする」

※現在も『嫁again』と名前を変えてブログに週1ペースで上げています。

芋子「まあAKBは選抜メンバーしか歌えなかったりと、競争社会ですからね。握手会で着る服も競争要素の一つになってしまう。その結果、パリピ系な派手目の服になりがちな傾向にあるのかもしれません」

小野「それに比べて声優は、オタク気質やインドアな人が多いし、そもそも職業柄、ファッションのレベルを求められていないから、何も気にせず気楽に着た結果、ちょうど良いラインになっていると思うんだ」

芋子「いやこれ、わりと本気で参考になるかもしれません」


<ファッション雑誌から男性目線でグランプリを選出>

小野「前置きが長くなってしまったが、そろそろ表題の“萌え服グランプリ”を決めようか」

芋子「ここからが本編です。『non・no』2018年3月号から、小野先輩がデート服として良いと思うコーディネート、“萌え服”を5つ選出します」

小野「前述のとおり、僕は女性のファッションに多くを求めていない。よって順位も付けないでおく。派手すぎず地味すぎず、これくらいで良いんだというふうに思ってもらえれば幸いである」

芋子「クドいようですが個人の見解ですからね! それではグランプリの発表です」


◎小野と芋子(7)泣ける日常アニメという新ジャンルを確立した『スロウスタート』

2018-02-13 09:38:31 | 小野と芋子

芋子「とある高校の『対話部』の部員2人が様々な議論を繰り広げる『小野と芋子』シリーズ、今回から気を取り直してリニューアルスタートです」

小野「といっても、過去6回中、半分も削除されては、こちらもやる気が起きないのだが」

芋子「色々とコンプラとか大人の事情がありまして……そこはお許し下さい」

小野「しかも今回は一応7回目なんだけど、本来の7回目がボツになって(画像参照)、テーマを変えて仕切り直しだからね」

芋子「モチベーションが上がらないようなので、今回は先輩がテーマを選んでもかまいませんよ」

小野「ありがとう、それなら頑張るよ。では『アニメ『スロウスタート』は何がスゴイのか』について語ろうではないか」

 

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※以下、壮大なネタバレがあるので注意

 

<泣ける日常アニメ?>

芋子「いや、アニメの話をするはまだ良しとしても、何故よりにもよってこれなのでしょうか。私には量産されている日常アニメの一つにしか見えませんが」

小野「しかも『きらら枠』だからね。僕も最初は普通の話かと思って1話を視聴していた。普通の女の子が、普通に高校に入学して、普通に友達が出来て、それで終わりだと思っていた。しかし、エンディングも終わり、Cパートを観た途端、仰天してしまった」

芋子「一体何が始まるんです?」

小野「主人公の一之瀬花名(いちのせ はな)が、中学浪人していたのだ」

芋子「えっ!? 日常アニメにそんな鬱設定を取り入れたのですか?」

小野「まあアニメは原作をなぞったに過ぎないけど、原作も『まんがタイムきらら』で連載している4コマ漫画で、鬱とは無縁の雑誌なのは言うまでも無い」

芋子「あの、『がっこうぐらし!』は……」

小野「それは置いておこう。他の人より一年遅れで入学したから『スロウスタート』というタイトルになったわけだ。どこにでもある日常アニメにその設定を一つ入れただけで、要所要所の日常のシーンが感動になり、泣けるという人さえも居る。高校に入学し、普通の学校生活を送るという当たり前のことがどれほど幸せなことかを考えさせてくれるアニメだよ。ここで話を聞くよりも、実際に観ていただければ良さが分かると思う」

芋子「現在6話まで放送済みですが、ニコニコ動画やdアニメストアなどの各種配信サイトで1話から視聴できます」


<声優・伊藤彩沙の成長>

小野「僕が語りたいのは内容だけではない。百地たまて(ももち たまて)というメインキャラを演じている声優・伊藤彩沙をご存知だろうか」

 

伊藤彩沙 【バンドリ】『BanG Dream!4th LIVE Miracle PARTY 2017!at武道館』生写真

 

芋子「『ミルキィホームズ』の白とか、『バンドリ』のキーボードとかですよね」

小野「明神川アリス(みょうじんがわ ありす)に市ヶ谷有咲(いちがや ありさ)ね。他にも舞台『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の花柳香子(はなやぎ かおるこ)や、ゲーム『めがみめぐり』ではなんと主演を演じている」

芋子「アニメ以外にも多方面で活躍されているのですね」

小野「ミルキィ時代から声を聞いてきた身としては、彼女の声優としての成長は凄まじいと思う。ちなみに前述の4作品は全てブシロードが携わっており、これまで事務所内部の仕事しか無い声優と言われてきたが」

芋子「そんなことはありません!」

小野「2018年、デビュー5年目にしてついに『スロウスタート』というブシロと無関係の仕事をオーディションで勝ち取ったのだ。しかも『ごちうさ』や『きんモザ』など数多のヒット作を飛ばしてきた『きらら枠』である」

芋子「ちょっと落ち着いて下さい」


<日常アニメにしては良く動く作画>

小野「そして、作画班の本気も忘れてはならない」

芋子「日常アニメに作画や動きを求める人はそんなに居ないと思うのですが……」

小野「だからこそ驚かされたわけだ。教室での会話とか、別に止まっていても良いシーンでさえ良く動くし、ただ教室を出るだけのシーンでも、おそらく通常の何倍もの動画枚数を駆使している」

芋子「制作は安心と信頼のA-1 Picturesですか。『SAO』の戦闘シーンや『四月は君の嘘』での演奏シーン、そして『あの花』の泣けるシーンなど、多くの作品で良く動くシーンを観て来ましたが、日常系でここまで本気を出している作品は前代未聞です」

小野「無理をしすぎて万策が尽きないことだけを祈ろう


<主題歌は2曲とも良曲>

芋子「最後は主題歌についてです」

小野「OP『ne! ne! ne!』は歌詞に注目したい。『はずかしがりなスタートでも バラバラのスピードでも』の部分なんか正に本編とリンクしている。純粋に元気をくれる歌だよ」

芋子「そしてED『風の声を聴きながら』を歌っているのは三月のパンタシア。ボーカルと複数のクリエイターで結成された、決して素顔を見せないユニットです」

小野「クリエイター集団なのでMVの映像も自ら手がける。僕はその映像にも注目したい。小説『君の膵臓を食べたい』の装丁イラストを担当したloundrawさんなど複数のクリエイターがイラストを描いているが、映像込みで曲を聴いて欲しいくらい完成度が高い」

芋子「もちろん映像が無くとも、心が浄化するようなとても良い曲になっています」

小野「というわけであらゆる面において斬新なアニメ『スロウスタート』は、TOKYO MXで土曜24時30分から、他にも一部の地域・放送局にて放送中」

芋子「映らない地域は前述のとおりネット配信もしているので是非」


◎小野と芋子(4)「デートは男が奢って当然」は正しいのか? 女性の美容代を検証

2017-09-19 22:31:06 | 小野と芋子

芋子「歩きづらい衣服と履き物、都会の喧騒をも上回る人々の雑言、耳に違和感を与えるまで鳴り響く癇癪玉の破裂音。私はそれらを好む人々の理解に苦しみます」

小野「どうした芋子? 花火大会にでも行くのか?」

芋子「正確には行こうか迷っています。滝口君に誘われてしまったからです」

小野「良かったじゃないか。僕は行けば良いと思うよ」

芋子「私は花火大会が好きではありません」

小野「どうして? こんなにも楽しくて美しい夏の風物詩を嗜めるイベントは他にないではないか」

芋子「私は歩きすぎて疲れることを嫌がります。そう考える女性も少なくはありません」

小野「別に好きにすれば良いが、そのネタはせめて先月に話すべきだった

芋子「それはブログの管理人に言って下さい」

 

<男がデート代を払うのは当たり前?>


小野「では今回の『対話部』の活動に入るが、テーマは『女は美容代がかかるからデートは男が奢って当然』という女性の主張は果たして正しいのか?

芋子「ああ、この主張は良く言われますね」

小野「例えば僕の兄だ。もう立派な成人だが、最近婚活パーティーで知り合った女性とデートをした。事前に飲食店を調べて予約もした。当日は女性が遅刻した。店の中の会話は兄から話題を振ってばかりで女性は飲んで食べるほうに集中していた。兄は最後に会計の8000円を支払ったが、女性は財布を出そうせず、お礼の言葉さえも無かった。それが当たり前であるかのように

芋子「店の予約から当日の会話、そして支払いまで、お兄さんばかりが苦労していますね。女性が支払ったのは自宅からデート場所までの往復交通費ぐらいでしょうか」

小野「この現実を兄は受け入れられなかった。確かに高級料理店ではないし、少しおしゃれなだけのリーズナブルな居酒屋だった。8000円なんて働く成人男性にとって、あるいは目腐れ程度の金額なのかもしれない。しかし兄は『金額の問題ではない』と嘆いていた。『男が奢るのが当たり前という風潮はバブル時代の負の遺産だ』と」

芋子「それに対する女性側の反論の一つに『私たちは美容代がかかるからデートは男に支払わせても許される』というのがあります」

小野「僕は疑問符を投げたい。その主張は果たして正しいのか」

芋子「私は正しいと思います。世の男性の想像を遥かに上回る額が、女性の美容維持に費やされているのです」

 

<女性はメイク道具にお金がかかる>

小野「それなら具体的な金額を知りたい。例えばメイク道具を一式揃えるのにいくらくらいかかるのか」

芋子「その前に、お化粧の手順について説明します。大まかな流れは『ベースメイク(BASE)アイメイク(EYE)リップメイク(LIP)』の順番に行います。さらに細分化した流れを画像にまとめましたので↓をご覧下さい。もちろん個人により多少の違いはあります」


小野「なるほど。予想はしていたが、メイクだけでも多くの道具を使うのだな」

芋子「このうち(1)化粧水と(2)乳液または美容液を『基礎化粧品』と言い、残りの(3)~(10)は『コスメ』と呼ばれます。後者が厚化粧かナチュラルメイクかで使用する道具も金額も大きく変わってきます」

小野「そりゃ厚化粧よりはナチュラルのほうが安いよね。公私問わず流行っているらしいし、そちらの金額を知りたい」

芋子「その金額も価値観や考え方、好みなどによって人それぞれです。あくまで一個人の金額として、Youtuberとしても活躍中のNMB48吉田朱里さんの場合で計算してみましょう」


小野「えっ、ナチュラルでもこんなに使うのか!?

芋子「ベース、アイ、リップの合計で12,588円。アイメイクを省略したとしても5,000円を超えます。実はこれでも『プチプラ』と呼ばれるリーズナブルなものを揃えており、もっと高額な商品を使用する女性も多いということです」

小野「ていうか、最初の画像の(1)(2)にあたる『基礎化粧品』が抜けているじゃないか」

芋子「そちらも調べました。(1)(2)はあくまで『メイク前のスキンケア』です。基礎化粧品は他にもあるのですが、何だと思いますか?」

小野「メイク落としかな?」

芋子「そうです。メイク落とし、いわゆるクレンジング。それと洗顔です。以上を含めた『基礎化粧品』、吉田さんの場合の合計額は6,400円となります」



小野「揃える金額が高いのは良く分かった。ただ、出てくる道具は一回買えば長く使えるものばかりだよね」

芋子「確かにコスメは長期間にわたり使用できますが、基礎化粧品は消耗が早く、購入する頻度は多くなります。加えて化粧水や乳液は、綺麗なお肌を維持する為に金額面で妥協できない部分でもあります」

 

<女性が1ヶ月に費やす美容代>

小野「では1ヶ月あたりの美容代は、いくらぐらいなのか? それが知りたい」

芋子「データを見てみましょう。コスメのみならず、エステやネイルサロン、ジムに通う費用なども含めた月平均は、20代女性で17,906円、30代は19,461円だそうです」



※参考:『1ヶ月の美容代の平均ってどのくらい?美意識と金額の関係』http://josei-bigaku.jp/biyoudaiheikin23567/


小野「なるほど。女性の美容代が高いのは良く分かった。ただジムや美容室まで加算しちゃうのはどうなのか? 男も美容室や床屋に行くし、ジムに通う人もいる。もっと言うと、男だって顔に何も塗っていないわけではない。女性のデータばかりを提示するのではなく、男女で比較してこそ説得力を持つのではないか」

芋子「では、男性のデータも提示しましょう。平均額に関する資料は見つかりませんでしたが、ざっくり言うと、男性の過半数が月に費やす美容代を2,000円以内に抑えています。そのうち20代、30代については下の画像を参照下さい」

※参考:『消費実態調査「美容に対する意識調査」』http://asu-read.com/report/%E7%BE%8E%E5%AE%B9%E5%AE%9F%E6%85%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB

 

小野「これに美容室を加算してもせいぜい6,000円程度か。これは男性は安いと認めざるを得ない」

芋子「でもそれも美容室の場合です。QBハウスならもっと安くなりますよ」

 

<男性は理解を、女性は感謝を>

小野「われわれ男性は、女性の美容代に理解を示す必要があるのだろう。女性は年齢を重ねても常に美しくありたいし、男性も未来永劫、美しい女性を見続けたい。そこの意識は共通している。だから美容代を減らしてデート代を支払えなんて言えないし、デート代を男が奢る風潮は当分の間は無くならないだろう」

芋子「ただ、女性はそれを当たり前だと思わないことが大事です。男性が最初に財布を出したとしても、『いや私も払います』と言うだけでも男性の印象は変わってくるでしょう。本当に良い男性なら、それに対しても『払わなくて良いですよ』と返してくれるはずです」

小野「それを信用できないなら『払います』とまでは言わなくても良い。でも、せめて『ありがとうございます』と感謝の言葉は述べて欲しい。その言葉だけでも、男はきっと救われる

芋子「もし性格が悪い女性なら、男性は奢りたくないと思うでしょう。奢られるに値する、身も心も美しい女性でありたいものです」


◎小野と芋子(3)ある人の話をします……

2017-09-08 12:14:11 | 小野と芋子

芋子「小野先輩。まだ昼休みなのに急に部室に呼び出して、どうしたのですか?」

小野「芋子、今日の放課後に予定している対話部の活動テーマは覚えているか?」

芋子「確か『アイドルと声優、安心して応援できるのはどちらか』でしたよね」

小野「そうだ。アイドルオタクの君と声優を愛する僕が、スキャンダルに怯えず安心して応援できるのはどちらかを議論する予定だった。そして僕は今日、アイドルオタクの様子を見ようと2ちゃんねるの地下アイドル板のスレを巡回していた」

芋子「2chにおける地下アイドル板とは名ばかりで、AKB48のことですよね」

小野「彼女たちも地下アイドルからスタートしたから、名前は当時の名残だ。そこであるスレを読んだら、今日交わそうとしている議論が無粋であることを痛感させられた。僕はとても馬鹿で愚かだった。それを一刻も早く伝える為に君を呼び出したんだ」

芋子「何が書いてあったのですか?」

小野「アイドルのファンで、癌を患い闘病生活を送っている22歳保育士の、Twitterのアカウントへのリンクが貼られていた」


<ある若き保育士の話>

芋子「まだとても若い、どこにでも居るような幼稚園で働く普通の女性……」

小野「あえてここにリンクは貼らない。本当に知りたい人だけが自身で検索して見つけ、過去を遡ってじっくり読んで欲しい」

芋子「今、読んでいます。入院生活を始めたのは7月4日。もう2ヶ月以上も経過し、未だに退院できていないのですね」

小野「彼女は闘病の過程を赤裸々に綴っていた。体力が落ちて、移動は車椅子を使うしかなかった。薬の副作用で何度も全身が痛くなった。固形物を食べられず、補給は点滴のみで済ませる日もあった」

芋子「そんな辛い日々でも、受け持っているクラスの園児たちや職場の同僚、友人や家族がお見舞いに何度も駆けつけ、その度に元気と生きる勇気を貰い、フォロワーからの数多のリプライも励みになっていました」

小野「そして、大安となる7月12日。彼女は集中治療室にて手術をした。5日後には無事に終了した旨をツイートした。しかし、その数日後には薬が増え、来年の桜が見られるかどうかを憂えていた」

芋子「それでも、5歳の頃からの夢を叶え、幼稚園の先生に従事できたことを思い出し、一日も早い職場復帰を望んでいました」

小野「少しずつ痩せていることを自覚し始めた頃には終活ノートと遺言書を書いた。彼女は覚悟を決めた」

芋子「8月17日、髪の毛が全て抜けてしまいました。友人たちはお金を出し合ってウィッグをプレゼントしました。ツインテールを愛する彼女は、再び髪を2箇所、結わくことが出来ました」

小野「その後もリアルでありのままの出来事と心情を吐露するツイートは続き、昨日の9月7日、実家に一時帰宅をした。しかし今日中には病室に戻ることだろう」

芋子「まだ彼女は生きています。一刻も早い回復を心よりお祈り申し上げます」


<誰を応援しても良いじゃない>

小野「彼女はアイドルを好きになって本当に良かったと思う。病室はアイドルのグッズで溢れている。アイドルが側に居ることで心の支えになっている」

芋子「冒頭の当初予定していたテーマに戻りますが、アイドル・声優を問わず、スキャンダルを恐れず安心して応援できるかを考えるのは全くの無意味です。本気で好きなら、その人がスキャンダルを起こさないと信じられるはずです。誰を好きになっても、応援しても良い。大事なのは信じる気持ちと愛です」

小野「ツイート主がアイドルオタクなら、リプライで励ます人たちもアイドルを愛する同士だ。声優オタクの僕は、これまでアイドルオタクに対してあまり良いイメージを持たなかったというか、『安全性が担保されない人たちを良く好きになれるね』としか思えなかった。でも今日、彼女のツイートを見て考えを改めることが出来た。アイドルオタクの皆さんは、とても良い人たちで素晴らしいと強く思う

芋子「最後に、テーマと無関係ではありますが、癌は早期発見が何よりも大事です。早めに検診を受けましょう」

小野「そして、どんな辛い悩みを抱えているとしても、まずは生きていられることを心から喜ぼう」


◎小野と芋子(2)LINE普及の危険性について……今こそメール時代に戻りませんか?

2017-08-29 01:35:13 | 小野と芋子

芋子「透き通るような青みを帯びた空に、ライムグリーンの吹き出しが交互に飛び交う風景を見て、頬を緩ませながら親指を上下左右に動かす。それだけで私はとても幸せです」

小野「いや、片想いの相手とLINEするだけで満足しているんじゃないよ」

芋子「想い始めてから3ヶ月、ようやく滝口君のアカウントを知ることが出来たのです。こんなにも嬉しいことはありません」

小野「管理人の過去作に登場する人物の名前を再利用しちゃったよ」

芋子「新たに名前を考える時間が勿体無いと判断したのでしょう。名前を決めるのは意外と難しいのです」

小野「ところで、その滝口って人のTEL番は知っているの?」

芋子「電話番号? それを知る必要性が感じられません。LINEには通話機能があるのですから」

小野「じゃあメールアドレスは?」

芋子「もちろん知りません。LINEのチャット機能で充分じゃないですか」

小野「その考えはとても危険だ。昨今の中高生は、いや社会人までもがLINEをメールの代替ツールにしてしまっている。僕はその現状に警鐘を鳴らす。LINEでのコミュニケーションが当たり前の現代社会をこのまま放置するわけにはいかないのだ」

芋子「考えすぎじゃないですか? LINEのほうが色々と便利ですし、そもそもメールもLINEも似たようなものじゃないですか」

小野「そこで今回の対話部の活動だが、テーマは『LINEの功罪』について、メールとの違いに着目しながら話し合おう」

芋子「異議はありません。というか、今回も二人だけなのですね」


<メールとLINE、それぞれの特徴>

小野「まずはメールとLINEの特徴は何か、誰もが分かりきっていることだとは思うが改めて言語化してみよう。芋子、メールの特徴とは何だろう?」

芋子「便宜上、携帯電話のメールに限った話をしますが、例えば私の端末から小野先輩にメールを送ったとします。そのメールは先輩側の端末のメールボックス、いわゆる郵便受けのようなものに一旦入ります。先輩がその郵便受けを開き、中を覗くことで初めて私からのメッセージを確認することが出来ます。しかし、人は自宅の郵便受けを何度も開いたりはしません。もし先輩が一日に一回しかメールのチェックをしないのなら、メールの交換は一日一往復が限度となり、なんとも非同期的なツールとなります」

小野「なるほど。次はLINEのチャット機能の特徴について」

芋子「LINEの前に、従来のチャットというツールについて語る必要があります。チャットにはメールボックスという概念がなく、チャットルームという仮想空間にメッセージを同期的に表示します。物理的には離れている二人でも、バーチャルの部屋に両者は等しく存在し、会話をしているというわけです」

小野「メールは郵便受けチャットは部屋の中か。実に分かりやすい例えだ」

芋子「そんなチャットは当初、PCの操作によるものが主流で、Windows Live Messenger(旧:MSNメッセンジャー)やSkypeなどのソフトが有名でした。唯一のデメリットとしては、チャット機能を使用するには利用者の双方がログインしている必要がありました」

小野「相手がログインしていないとメッセージを届けることが出来ないからね」

芋子「よって、友人などとチャットをしたい場合は、事前に『今からチャットをしよう』とメールを送り、わざわざチャットルームに誘い込んだりしたものです。その煩わしさを解消したのがLINEだと私は思います」

小野「確かに、LINEは相手がログインしていなくてもメッセージを届けられる。では改めて聞こう。君はメールとLINE、どちらのツールを支持するのか?」


<LINEの功績>

芋子「断然LINEです」

小野「その理由は?」

芋子「まず、これまでの会話の内容が表示された状態で文章を打つことが可能だということ。特定の相手のメッセージだけをまとめるには、メールならフォルダ分けという操作が必要でしたが、LINEはデフォルトで人物別にメッセージが振り分けられ、自分の送信した内容まで一緒に表示してくれる。会話の内容を脳内で整理することが容易になったという点にはとても魅力を感じます」

小野「他には?」

芋子「写真の送受信がメールよりも圧倒的に楽です。大容量でも複数枚あっても一瞬で送れます。今ではpdfなど画像以外のファイルも送信が可能になった為、その利便性から学校のみならず職場でも大の大人たちがグループLINEを結成する傾向になりつつあります」

小野「とうとう書類をLINEで送る時代になったか」

芋子「何よりも忘れてはならないのが、スタンプ機能既読機能です。前者の異常な人気はLINEがここまで普及した理由の一つと言えるでしょう。そして後者は例えば災害時、相手が生存し、メッセージをちゃんと読んでくれているかどうかを『既読』の2文字で示してくれる、日本に無くてはならないとても大切な機能だと言えます」


<LINEの罪過>

小野「僕はその既読機能、功績なのは認めるけど、時に罪過にもなりうると思っているよ」

芋子「どうしてですか?」

小野「返信を焦らせるんだよ。既読が付いてから早急に返信しないと、相手に『無視をされた』と思われるかもしれない」

芋子「口頭会話のごとく瞬時にメッセージを交換するのがチャットというものですよ」

小野「そうだね。だから僕はLINEというよりは、チャットツールの総てを否定しているのかもしれない。瞬時に文字を打って送信しなければならないのなら、チャットは口頭で会話をするのとそれほど大きな差は無い。使いこなすには本来、高度なコミュニケーション能力を必要とするはずなんだ」

芋子「そう言えば私の友人が、先日LINEグループでチャットをしている最中、自身のふとした失言によって会話が荒れてしまい、文字による壮絶ないじめを受けたと泣いていました」


<文字伝達は考える猶予がある>

小野「誰もが脊髄反射で言語化するから、トラブルが起きやすくなってしまうんだ。文字伝達のコミュニケーションって、そういうことじゃ無いと思う」

芋子「というのは?」

小野「例えば、口頭でのコミュニケーションが苦手な人が居るとして、君はその人に同情できるだろうか?」

芋子「出来ます。想定外の質問にも瞬時に的確な受け答えをするというのは、とても簡単なことだとは思えません」

小野「では、文字で丁寧かつ正確に相手に伝える能力の低い人をどう思う?」

芋子「それも致し方ないことだと思います」

小野「僕はそうは思わない。一発勝負の口頭とは違い、文字伝達には考える猶予がある。例えばメールの返信なら、送る前に1分でも2分でも読み返し、それが本当に自分の伝えたいことなのか考え直し、違うと思うならいくらでも修正すれば良い。削除も加筆も、言語の移動や並べ替えさえも自在に出来るのだから」

芋子「LINEでも削除や加筆は可能ですよ」

小野「確かにそうだが、文字の入力画面が小さすぎて、読み返すのが面倒だ。加えて前述のとおり、既読機能が返信を焦らせてしまう。実際、推敲作業を省いて送ってしまう人が多いのではないだろうか」

芋子「……それには反論の言葉が思い当たりません」


<おわりに>

小野「僕は一刻も早く、この国の誰もがLINEよりもメールを多く使う生活に戻って欲しいと切に願う。メールのほうがコミュニケーション手段としては遥かに安心で安全だ」

芋子「しかし、LINEの既読機能だけは捨てがたいものがあると思います。前述の災害の件です」

小野「僕もLINEを全否定しているわけではない。災害などの非常時など、本当に必要な時だけLINEを使用し、相手の安否を確認すれば良い。普段からLINEをメールの代替にする必要は無いと言いたいのだ。それぞれのメリットデメリットを踏まえた上で、両者を正しく使い分けるのが一番の理想だろうけどね」

芋子「人間って、そこまで賢いわけでも無いですからね」

小野「それでも文字伝達くらいは落ち着いて正確に出来るように頑張ろうよ」


◎小野と芋子(1)退職時の労働問題について考える

2017-08-27 21:40:34 | 小野と芋子

芋子「たった5.5センチ位置が違うだけで、彼の胸が騒ぐのは何故なのでしょうか」

小野「あのー、芋子?」

芋子「それは私には馬の尾にしか見えないというのに、何故彼にとっては感情を高ぶらせる要因にさえ成り得るのか、理解に苦しみます」

小野「芋子? さっきから何を言っているの?」

芋子「小野先輩。私は明日から馬になろうとしていますが、まだその覚悟が出来ていません。後押しとなる言葉を下さい」

小野「要は今まで一本結びにしていた髪型を、片想いしている男子のアドバイスによってポニーテールに変えようとしているのね」

芋子「ご名答です」

小野「勝手にやっていろ。以上」

芋子「冷たいです先輩。校内の多くの女子が茶髪に染めていく風潮の中、私はこの部で最後に残った黒髪の素朴な女子、通称『芋娘』ですよ?」

小野「自分で言うかそれ。ちなみに今日部員は僕と君しか居ないので、このまま『対話部』の活動を始めようと思う」

芋子「まあ、初回から人数多いと読者は混乱しますからね。二人だけにしたのは妥当な判断だと思います」


<実際に起きた労働問題>

小野「このブログも今月で開設9周年を迎え、投稿記事数も450を超えたが、全編対話形式にするのはおそらく初だと思う。ただくっちゃべっているだけの対話部という都合の良い存在に対する突っ込みは置いておいて、今回の対話テーマは『労働問題』だ」

芋子「ズバリ、このブログの管理人・当方128さんが実際に体験したことですね。読者の皆様は最初に前回の記事をお読み下さい」

小野「前回の『リザイン・ブルーになって社蓄の人生』という記事だが、急いで執筆したという事情を抜きにしても、文章の構成に稚拙さが目立った。特に結論が短すぎて、当方さんが何を言いたかったのか、少なくとも客観視だけでは理解できない」

芋子「そこで、我々の対話によって補足をするというのが今回の目的ですね」

小野「対話形式だと読みやすいし分かりやすいからな」

芋子「この記事で発生した労働問題を整理してみましょう」


<Point>
◎当方は8月10日付けでの退職を希望し、その35日前に会社に退職の申し出をした。退職願も提出し、受理された
◎その4日後の給料日に給料が振り込まれず、翌日に振り込まれたが、賞与が含まれていなかった
◎社長との話し合いの結果、賞与は査定が間に合わなかった為に1ヶ月遅れで支給されることと、勤続5年以上にも関わらず退職金は一切貰えないことが判明
◎当方は就業規則に退職金に関する記載が無ければ納得するつもりだったが、それを見せてもらえなかった


小野「そして記事には書いていないが、その後8月10日に振り込まれた賞与は前回比で5万も減っていたそうだ」

芋子「5年以上も会社に貢献してきた人間に対する仕打ちとしては残酷なものだと思います。1年や2年で辞めていく社員が多い会社だそうですから尚更です」

小野「そうかな。僕は当方さんにも非はあったと思うよ。だから今回の対話によって、会社と当方、双方が悪かった点は何かをそれぞれ検証しようと思うんだ」

芋子「異議はありません」


<会社は何が悪いのか>

小野「まずは芋子、会社が悪いと思う理由を挙げてくれ」

芋子「何よりも言いたいのは法令違反です。少なくとも給料日の未払い、就業規則の未開示、労基署への就業規則未提出、この3点だけでも立派な違反です。加えてサビ残と深夜勤務手当の未払いなど、挙げればキリがありません」

小野「他には?」

芋子「この会社は組織としてあまりにも杜撰すぎます。普通の会社には社長の下に総務部や人事部が配置されます。退職を告げる相手も本来なら人事部だし、有給の取得や就業規則の閲覧も人事を通して行われます。しかしこの会社はそれを社長に直接言わなければならなかった。そして、社長の気まぐれの一声であらゆることが決定されてしまっていた」

小野「労働組合も無かったからね。この会社は社長の権限が大きすぎた。仮に労働者に対して『こいつ腹立つな』と思えば、その人に対して賞与を下げることも出来るし、あるはずの退職金を無しにすることも出来る。しかも、就業規則を労基署に提出しなかったことで、それさえも自由な書き換えを可能にした」

芋子「ほら、先輩も認めているじゃないですか。この問題は100%会社が悪いんですよ」

小野「でも現実問題、そのようないわゆるブラック会社というのは君が想定している以上にたくさん存在する。大事なのは、不利な条件の中で労働者がどう工夫して戦って戦利品を得るかということだと思うんだ。今回の場合、少なくとも賞与に関しては7月10日に賞与が振り込まれているのを確認してから会社に辞めると言えば良かった、それだけのことなんだよ」


<当方は何が悪いのか>

芋子「つまり賞与が振り込まれる前に退職を申し出たのが悪いと言うのですね?」

小野「それが当方さん側の一つ目の非だね」

芋子「でも、新しい会社には8月11日に入社する予定でした。だから10日に退職する必要があり、社会通念上のルールとして1ヶ月以上前に会社に申し出る必要があった。だから7月6日には会社に退職の申し出をした。もし7月10日に振り込まれてから申し出たら、社長はもっと怒っていたかもしれない

小野「最後に1週間の有給を貰おうとしていたから、尚更急いじゃったんだろうね」

芋子「でもその有給も労働者には請求する権利がありますからね。例えば有給が30日間未消化だとして、退職日の31日前に退職を申し出て、その翌日から30日間有給を消化してそのまま消えていったとしても法的には問題ないし、実際に行使した人を私は知っています」

小野「人としては最低だけどね」

芋子「でも今回の場合、請求した有給は7日、たった7日ですよ! それくらい良いじゃないですか」

小野「誰も悪いとは言っていない。当方さんは転職活動の時点で間違えていたと言いたいんだよ。そもそも、どうして次の会社の勤務開始日を8月11日からにしたんだ? 会社が勝手に決めたのではなく、当方さんの意思で決断したそうじゃないか」

芋子「確かに、新しい会社の勤務開始を9月1日からに設定し、辞める会社は8月末付けで退職、それを賞与が振り込まれるはずだった7月10日より後に会社に申し出れば、辞める1ヶ月以上前に申し出たことになりますし、賞与は満額貰えますし、有給も7日だけなら難なく取得できるはずです」

小野「結局、転職のプランニングが甘かったんだよ。もっと言うと、例年8月12日~16日はお盆休みをとるアルバイトスタッフが多くなり、会社が人員不足になるのは必至だった。そんな時期に居なくなるという会社に迷惑をかける選択をすべきではなかった」

芋子「でも、この時期に辞める決断をしたのには深い理由があるんですよ」

小野「よし、聞こうじゃないか」

芋子「当方さんは実家のある秋田に帰りたかった。しかも、竿灯祭りの開催される8月3日~6日のあたりを狙っての帰省を目指していたのです」

小野「なるほど。退職にあたって有給を消化する際は、在籍期間の最末期に消化するのが普通だからね。それを竿灯祭りに合わせるには、8月10日付での退職と、最後の1週間を有給消化にする必要があった」

芋子「理解が早くて助かります」

小野「でもそんなの誰が決めた? 『在籍期間の最末期に有給を消化する』なんて、世間がやっているというだけで、自分も真似する必要はあったのだろうか。8月31日付けで辞めます、最後に8月3日~6日だけ有給を下さい、お盆期間やその後も全部出ますから。それで良いじゃないか」

芋子「えっ、4日間だけですか? せっかくの有給は実家に帰るだけ?」

小野「いや、当方さん、結果的には8月2日~4日と10日の計4日間しか有給を貰えなかったそうだよ」

芋子「えっ? 社長は7日間の有給消化を許可したんですよね?」

小野「だから酷い会社なんだよ。社長と現場が噛み合っていなかった。8月5日~9日は人員が足りなくて、当方さんは半日勤務とはいえ出勤していたんだ。そして現場の社員が『有給』に対して理解を示さなかった。彼等は『何で有給なんて貰っているの?』としか思ってくれなかったんだ」

芋子「有給は法令で決められているのにですか!?」

小野「日本人は何よりも人間関係が円滑であることを望むからね。当方さんも自ら無難なほうを選んでしまったんだ。で、さっきも言ったように、会社が酷いのは日本では当たり前のことで、酷い中でどう工夫して戦うかが大事なんだよ。厳しいことを言ってしまえば当方さんは思慮が浅かった。問題が起きてから友人や労働相談所など色々なところに相談したりネットで調べまくったそうだが、そんなの問題が起きる前にすべきだったんだよ。ついでに言うと、就業規則は入社した時点で読ませてもらうべきだった」


<おわりに>

芋子「初回から考えさせられるテーマでしたね」

小野「まあ今回は前回の記事を補足するという大人の事情があったからね。全く、当方さんの文章力の低下には驚きだよ。それでもこの対話はとても意味があったと思う。退職というのは誰がいつ経験することになるか分からない。未来の退職をする予定の若者たちは、当方さんと同じ過ちをしない為にも、今からこの話を読んで勉強しておくべきだ」

芋子「ネガティブすぎますよ。そもそも退職というのは止むを得ない手段であって、しないことが一番です」

小野「それも一概には言えないけどね。労働者を退職に追い込むのは過酷な労働環境や、会社の杜撰な体制だったりもする」

芋子「それにしても我ながら、高校生二人の会話とは思えない内容でしたね。次回はもっと学生らしい、明るい話題にしませんか?」

小野「……善処するよ

芋子「ああ(察し)」