78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎劇場版『ラブライブ!サンシャイン!!』感想……ルビィの成長とSaint Snowの本気を見た

2019-01-08 22:19:50 | ほぼ週刊サンマイ新聞

※壮大なネタバレがあります。

『ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie ~Over the Rainbow~』を劇場で観た。2回も観てしまった。

 感想については色々と言いたいことがあるが、全体的には素直に感動したので細かい部分の批判や突っ込みはやめておく。以下の2点に絞ろう。

(1)黒澤ルビィの輝かしい成長
(2)Saint Snowのライブシーン

 まず(1)だが、TVシリーズを1期から追いかけてきた視聴者の多くは、ルビィの成長に驚かされたことだろう。1期1話では他者との会話すらままならない人見知りだったのに、Aqoursの活動を通して少しずつ話せるようになり、2期8・9話の函館回での成長にも感慨深いものがあったが、劇場版ではそれを更に上回っていた。イタリアでのライブ会場を決め、沼津のライブでは衣装を制作。そして何よりも、姉・鹿角聖良の卒業により一人で新たな仲間を探すこととなったSaint Snow理亞を気遣う発言の数々には、他人を思いやる聖人の心を感じた。

 それにも関連するが、(2)は本当にやばい。ラブライブ予選敗退を悲しむ理亞の為に実現された『ラブライブ決勝・延長戦』だが、Saint Snowの『Believe again』のパフォーマンスは本当に格好良すぎて痺れた。楽曲はもちろん、鹿角姉妹が初めて3DCGでモデリングされたことで、2D作画だった1期8話の『SELF CONTROL!!』を遥かに上回るステージ演出も見応えがあった。問題はその弊害として、直後に披露されたAqoursの『Brightest Melody』が何の印象も残らなかったことである。2回視聴したにも関わらずだ。

 これが何を意味するのか。そもそもSaint Snowはラブライブの地区予選で理亞がコケてさえいなければ予選を通過し、決勝戦でAqoursのライバルと成り得ていたかもしれなかった。そのifルートが今回の劇場版での仮想対決だとすれば、Saint Snowの優勝は間違いなかったと思えるほど、劇場版での両者のパフォーマンスには雲泥の差があった。それでもAqoursがラブライブで優勝した事実は変わらないが。

 では今後はどうか。Aqoursは6人で再スタートを切った。一方Saint Snowは姉の卒業で活動終了したものの、理亞がメンバーを集め新たなユニットを結成することが本編で示唆されている。
 その両者が今後のラブライブでもし激突したらどうなるか……当方はそれを見てみたい。Aqoursの物語なのにSaint Snowに尺を割きすぎだと思った人は多いだろうが、今後の展開を期待させてくれるという意味では、その通過点としてこの劇場版は完璧なストーリーだと当方は思っている。

 あとは続編が制作されるかどうかだが、ED後のエピローグを観る限り、これで完結になってしまうのかもしれない。それはとても惜しいことなので制作陣には今一度ご検討いただきたい。

(#29:1199字)


◎Paravi版『中学聖日記』で悲報……最終話の重要なシーンが改変されてしまう

2019-01-08 21:04:00 | ほぼ週刊サンマイ新聞

※壮大なネタバレがあります。

(関連記事:◎小野と芋子(11)ドラマ『中学聖日記』5話まで(中学生編)の感想を今更語る

 主にTBSとテレビ東京の番組をネット配信する『Paravi』初月無料なので試しに加入し、連続ドラマ『中学聖日記』を今更ながら全話視聴した。

 誤解しないでいただきたいのは、当方はこの作品、間違いなく感動した。高校生編で多少の中だるみはあったものの、最終話まで観ればそれも無駄ではなかったと思っている。

 教師と生徒、それも未成年という禁断の恋を、地上波で全国放送、しかも22時という子供も観ている時間枠でPTAの魔の手からどう逃れるのか、その結末は興味深かった。そして迎えた最終話、末永聖先生は誓約書にサインをするというクレーム回避の決断を下した。

 誓約書というのは、黒岩昌の母・愛子の代理人の弁護士が聖に渡したもので、『聖が今後一切晶と連絡・接触しない』と誓う為の書面だった。日付と署名を記入すれば、愛子が警察や教育委員会への訴えを取り下げるという、聖の決断が迫られる重要なアイテムである。サインしたということは、昌とは二度と会えないことを意味する。理由は「黒岩君にとって大事なのは未来」だから。昌はその後の観覧車のシーンで「聖ちゃんに幸せになって欲しいからもう会わない」と応える。

 そこで終わりにしても良かったくらい感動したが、本当のラストシーンは5年後。
 バンコクで日本語学校の講師をしている聖のもとに、23歳になった昌が現れ、誓約書を聖に返し、夕陽をバックに笑顔で見つめ合う2人をラストカットに物語は幕を閉じる。
 このラストシーンだが、調べていくうちに本当の意味が隠されていることを知り、衝撃を受けた。

 

 

 お気づきだろうか。誓約書に印刷された「平成」と「年」の間に、聖は「2018」と書いた。西暦ではなく「平成」の2018年であれば、遥か遠い未来に効力を持つことになるので、2018年だろうが5年後の2023年だろうが、余裕で二人は会うことが出来たというギミックだったのだ。

 もちろん聖は天然で間違えた可能性が高いが、結果的にこの伏線が5年後に二人を再び結びつける重要なファクターになっていたことに鳥肌が立ち、カタルシスを得られた。

 しかし、問題はここからだ。再びParaviにアクセスし本編を観返すと、問題の誓約書のシーンに「平成」は印刷されておらず、ただの「2018年」になっていたのだ。どうやらネット配信版では修正されたようなのだ。元々当方は細かいことを気にしない性格ではあるが、ギミックそのものが改変されているのなら当然気付くはずもない。

 なぜ余計な改変をしたのか理解に苦しむ。ちなみに通常版もディレクターズカット版も同様の改変が見られた。それなら2パターンを配信する意味も無いではないか。せっかくParavi自体は魅力的なサービスなのだから、せめて重要なギミックだけは可能な限りTV放映版と同じにしていただきたい。多くの視聴者は本編を観た後にSNSで感想や考察を共有し合うまでがセットなのだから。

(#28:1195字)